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突然の指名
よくわからないままにピンチみたい
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けれど。
そんなわたしに校長先生は、こぼれんばかりの笑顔を見せた。
「おめでとう、木下さん。きみは適性検査に合格したのだよ」
目を見開くわたしに、校長先生は言葉を続けた。
「きみはまだ適性検査をクリアしただけで、今度は実技試験を受けてもらわなければならない。だが、毎年適性検査で選ばれること自体が一校にひとりいるかどうかというところで、きみは合格したんだよ。我が校はじまって以来の同時期四人目となったのだ。これは非常に喜ばしい!」
「校長先生、肝心な部分の説明が抜けています。彼女は全然理解していませんよ」
白熱しそうな校長先生を冷静にさせるかのように、生徒会長がひんやりと声をかける。
適性検査?
実技試験?
なんのことだかさっぱりわからないわたしへ向かって、「そうか、そうだな」と呟きながらソファに座りなおした校長先生が、話を改めるように咳払いをした。
「実は、きみはまだ正式なメンバーとして認められていないため、組織の詳しいことは教えられないのだが」
そう切りだした校長先生は、笑顔で次の言葉をさらりと言った。
「我が校だけではなく全国すべての高校が所属する、ある組織がある。そこでは、飛びぬけた能力を持つ者を選出してチームを編成し、悪と災害に立ち向かっている」
「――はぁ」
校長先生の話を真剣に聞いているつもりでも、まだわたしには、その言葉がどういうことなのか理解ができなかった。
反応の薄いわたしに、校長先生が頭を掻いた。説明しあぐねている様子がみてとれる。
「そうだねぇ。簡単に言えば正義の味方の組織ということになる。そのメンバー候補として、きみ、木下さんが選ばれたんだ。さて、そこでだが。きみは他人に自慢できるような特技を持っているのかな?」
話についていけていないわたしに細かい説明は無駄だと感じたようだ。
最初に、詳しく教えられないと言われていたせいかもしれない。
急に校長先生は、わたしへ質問をしてきた。
けれど。
突然問いかけられたその内容に、わたしは飛びあがらんばかりに驚いた。
実際にソファから立ちあがらなかったのは、ただわたしに反射神経がなかったからだ。
そんなわたしに校長先生は、こぼれんばかりの笑顔を見せた。
「おめでとう、木下さん。きみは適性検査に合格したのだよ」
目を見開くわたしに、校長先生は言葉を続けた。
「きみはまだ適性検査をクリアしただけで、今度は実技試験を受けてもらわなければならない。だが、毎年適性検査で選ばれること自体が一校にひとりいるかどうかというところで、きみは合格したんだよ。我が校はじまって以来の同時期四人目となったのだ。これは非常に喜ばしい!」
「校長先生、肝心な部分の説明が抜けています。彼女は全然理解していませんよ」
白熱しそうな校長先生を冷静にさせるかのように、生徒会長がひんやりと声をかける。
適性検査?
実技試験?
なんのことだかさっぱりわからないわたしへ向かって、「そうか、そうだな」と呟きながらソファに座りなおした校長先生が、話を改めるように咳払いをした。
「実は、きみはまだ正式なメンバーとして認められていないため、組織の詳しいことは教えられないのだが」
そう切りだした校長先生は、笑顔で次の言葉をさらりと言った。
「我が校だけではなく全国すべての高校が所属する、ある組織がある。そこでは、飛びぬけた能力を持つ者を選出してチームを編成し、悪と災害に立ち向かっている」
「――はぁ」
校長先生の話を真剣に聞いているつもりでも、まだわたしには、その言葉がどういうことなのか理解ができなかった。
反応の薄いわたしに、校長先生が頭を掻いた。説明しあぐねている様子がみてとれる。
「そうだねぇ。簡単に言えば正義の味方の組織ということになる。そのメンバー候補として、きみ、木下さんが選ばれたんだ。さて、そこでだが。きみは他人に自慢できるような特技を持っているのかな?」
話についていけていないわたしに細かい説明は無駄だと感じたようだ。
最初に、詳しく教えられないと言われていたせいかもしれない。
急に校長先生は、わたしへ質問をしてきた。
けれど。
突然問いかけられたその内容に、わたしは飛びあがらんばかりに驚いた。
実際にソファから立ちあがらなかったのは、ただわたしに反射神経がなかったからだ。
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