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くにざゎゆぅ

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【第五章】日常恋愛編『きみがいるから』

第148話 ほーりゅう

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 すぐに寝たせいか、わたしは爽やかに起床し、年の初めの朝を迎えた。

 さっそく、予定通り叔母のところで新年の挨拶をしてから、おせち料理とお雑煮をいただいた。
 お年玉を貰って、すぐに自分の部屋へ戻る。
 このあとに叔母の仕事が入っているために、長居は逆に迷惑になるからだ。

 戻る前に、マンションの一階にある郵便受けから年賀状を取ってきた。
 引越しをするまで交流があった友人たちから届いた変わらない量の年賀状と、新たに知り合った友人たちからの年賀状。
 そのせいで、昨年よりかなり多い。
 嬉しく思いつつ、出し忘れがないか、名前を確認しながら眺めていった。

 新しく増えた女友だちはマメできっちりきていたし、わたしからの出し忘れもないからオーケーだね。
 けれど、京一郎やジプシーからは届いていなかった。
 まあ、男子ってものは、そんなものだろうな。

 それからわたしは夢乃の家に向かうべく、外出の支度をはじめた。



「ほーりゅう、ごめんなさい!」

 夢乃の家の玄関を開けたとたんに、振袖を着て薄化粧までした夢乃が、待ち構えていたように手を合わせてわたしへ謝ってきた。
 なんのことかとびっくりしたわたしに、夢乃の後ろについて玄関まで出てきていたジプシーが言葉を続ける。

「島本夏樹から連絡があった」
「え? それって」
「ほーりゅう、明子ちゃんたちにも謝っておいてほしいの。ごめんねって」

 そう告げると、なんと夢乃はそのまま、小走りに飛びだしていってしまった。
 呆気にとられているあいだに置き去りにされたわたし。
 えっと……。
 どうすればいいの?

「とりあえず、あがったら」

 ジプシーが声をかけてきた。
 我に返ったわたしは言われるままに、靴を脱ぐ。
 居間に入ると夢乃の両親がそろっていたので、慌ててわたしは新年の挨拶をした。
 そして、ジプシーに促され、二階の彼の部屋へとあがる。

「夢乃は、おまえや藤本ふじもとたちと初詣に行くつもりにしていたが、ついさっき、彼からこっちに戻ったと電話が入ったんだ」

 わたしへベッドの縁へ座るように指示したあと、ジプシーは、勉強机の上に置いていた腕時計を手にとってはめながら説明してくれた。

「え? でも、島本さんって怪我していたよね。そんなにすぐに、こっちへ戻ってこられないと思ったんだけれどなぁ」

 素朴なわたしの疑問に、ジプシーは淡々と答える。

「肩に受けた弾傷のことだろ。彼の鍛え方なら五日もあれば充分に動けるだろう。俺も以前に一度、似たような怪我をしたときも五日で抜糸したし」

 ――ちょっと待って?
 それって、ジプシーも昔、同じように撃たれたことがあるって意味になるよね。
 昔から危ないことをしているんだなぁ。

 そして、島本さんが帰ってきたってことは、我龍も一緒に、こちらに戻ってきたって意味になるのかと、わたしは、ぼんやり考える。

 腕時計に続いて財布もジーンズの後ろポケットに入れたジプシーが、クローゼットから上着をとる姿を見たわたしは、ふいに、あれっと思った。

「ジプシーも、いまから出かけるの?」

 すると、ジプシーは当たり前のような顔をして、わたしへ告げた。

「おまえは藤本たちと、いまから初詣に行くんだろ。俺も一緒に行くから」

 ――え?
 なんでそうなるの?




「ちょっと! ほーりゅう、なんで委員長が一緒なのよ!」

 待ち合わせ場所でジプシーの姿を確認した明子ちゃんは、わたしの腕をとると、少し離れたところまで引っ張っていく。
 そして、押し殺した声で詰め寄ってきた。

「だって、夢乃が用事でこられなくなったのよ。そうしたら、代わりにくるって」
「その理屈がわかんないんだって!」
「まあまあ。きちゃったものは仕方がないじゃない。委員長って考えているほど害はなさそうだから、取りあえずいいんじゃないの? はやく行こうよ」

 紀子のりこちゃんがあいだに入って、ひどい言い方だけれどまとめてくれる。
 そのため、なぜかわたしと明子ちゃん、紀子ちゃん、ジプシーという異色のグループで電車に乗り、四駅先にある大きな神社へ、初詣に向かうことになった。
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