魔女のおやつ 〜もふもふな異世界で恋をしてお菓子を作る〜

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第三章 幽閉塔の姫君編

24 秘密の海岸

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「夏休み! ケイト所長から、貰ったよ!」

 リコはレオの言う通り、ケイト所長にお願いして夏期休暇を取っていた。

 夕食の席で、レオはアレキとミーシャ、マニの顔を見回す。

「皆さん。僕が不在の間、リコさんを守ってくださり、ありがとうございました」

 マニがふんぞり返っている。

「いやぁ、マブダチだもん。当たり前だよ」
「マニさんも、農園のお休みを頂けました?」
「うん。父ちゃんが5日くらい大丈夫だって」

 レオは頷いて、アレキを見る。

「レベッカ姫の件で、王様とローザ夫人から、休暇と褒美を貰えることになったんです」
「へえ~、幾ら貰えるの?」
「金銭ではなく、王族の御用邸がある海岸を貸して頂くのです」

 マニが勢いよく立ち上がった。

「え! 王様の別荘に泊まれるってこと!?」
「はい。王族のみが知る、安全で美しいビーチですよ」

 うわ~い、とマニとミーシャが声を上げて、ハイタッチをしている。リコも紅潮して戦慄いていた。

「ビ、ビーチ……王様専用のリゾート!?」

 レオはリコに微笑む。

「リコさんはこちらに来てから、まだ海を見ていませんもんね。みんなで遊びに行きましょう」

 リコは興奮して満面の笑みになり、リビングは急激にリゾート気分で盛り上がった。

「ようし! そうと決まったらお嬢さんたち、水着を買いに行こうぜ!」

 アレキが意気込んで、三人娘も声を上げてはしゃいだ。


 * * * *


 アレキの金ピカ城から馬車でしばらく走った場所に、王族の御用邸はあった。
 岸壁に囲まれたプライベートビーチは、輝く白い砂浜に遠浅のエメラルドブルーの海水が波打つ、美しい海岸だった。
 海のすぐ近くには豪華な邸宅が建ち、庭のテラスにあるソファから見事な景色が一望できた。

「いやぁ、さすが王族御用達。最高のビーチだね」

 アレキはサングラスに派手なトロピカル模様のシャツを着て、すっかりリゾート地に馴染んでいた。手には南国風のカクテルを持って、チューチュー吸っている。
 隣でレオもソファに座って、爽やかな海風を楽しんでいる。

 三人娘が水着に着替えている間に、アレキはレオからレベッカ姫の事の顛末を聞いていた。

「そんで? お姫様はその護衛長と婚約して、一般人になるって事?」
「勿論、王家からの手厚い護衛と、安全な土地に守られた上でですけどね」
「へえ~、良かったね。お年頃の女の子がずっと幽閉されっぱなしじゃ、可哀想だもんな」
「レベッカ姫は護衛長から改めてプロポーズを受けたそうで、塔はお祝いムード満開でした」
「ローザ母さんが許してくれて良かったね」
「新たな王位継承者をお育てになるためにも、レベッカ姫が落ち着く場所が決まって、安心されたと思います」
「王族も大変だな~」
「勿論、第一王子であるノエル王子が王を継ぐ権利を持っていますが、第二、第三王子にもチャンスはありますからね」
「へへへ。じゃじゃ馬君もうかうかしてられないな」

 呑気にカクテルを飲むアレキに、レオは改めて頭を下げた。

「師匠。この度は、保護者活動お疲れ様でした。三人を指導してくださったようで」
「俺はちょっとした力の使い方のコツと、戦法を教えただけだよ。そしたらお嬢さん達、メキメキ強くなっちゃってさ。怖いわ~」

 あの容赦の無い退散劇を思い出して、アレキは震えている。

「でも、僕はリコさんが自分を守るために能力を使えるなら安心です」
「レオ君はもう、浮気できないよ。氷の竜巻で凍らされちゃうんだから」
「僕が浮気なんてするわけないでしょ?」

 ひそひそ喋っているうちに、後ろの御用邸から、支度を終えた三人娘が飛び出してきた。

「じゃーん!」

 それぞれに水着を着て、ポーズをつけている。

「おぉ!? いいねぇ!」

 アレキが前のめりになって、レオは赤面していた。

 リコは白いレースがふわふわとしたビキニを着て、マニは派手な原色を。ミーシャはモノトーンのキュートなデザインを選んでいる。

「どお? プリン作り隊、オンザ・ビーチ!」

 マニが得意げにピースして、ミーシャが澄ましてポーズを取る横で、リコはモジモジと赤面している。

「は、破茶滅茶に……可愛いです」

 レオの感想に三人娘は笑い声を上げて、海に走って行った。
 ビーチで海水を掛け合い、追いかけっこして、泳いでいる眩しい光景をアレキとレオはポケー、と眺めた。

「ね~。リコちゃんが選んだ水着、レオ君が買ってたワンピースにそっくりじゃん」
「そ、そうですね。リコさんは白が似合いますから」

 レオの鼓動は予想以上に舞い上がって、早鐘を打っている。

「あのさぁ、リコちゃんて……」

 アレキはリコが、北の地のお姫様である疑惑をレオに伝えようとして、寸前で踏みとどまった。レオの心配性と過保護が悪化するのを懸念した。

「何です?」
「えっと、その~……案外グラマーだね」

 レオはアレキを睨んで一喝した。

「リコさんをいやらしい目で見ないでください!」
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