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6 エピローグ

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 で。

 それから、どうしたって?
 フェリシアはお父様と話し合って、綺麗に婚約を解消したわ。
もともとダリスの家側が申し入れた縁談を、身勝手な浮気でフェリシアを傷付けた挙句に、図々しくも復縁まで頼み込まれて、オースティン伯爵はお怒りのご様子。

 フェリシアは心機一転、自分がやりたかった美術史の勉強に、打ち込んでいるの。魔石には見えるわね。近々、あの子に相応しい、知的な王子様が現れるって。

 ん?
 あのゴブリンの2人?
 まだ改心は遠く、鏡を見ては、絶叫する毎日のようね。あれでは恋どころではないし、しばらく火遊びもお預けだわ。


 で、私、魔石は……

 今はまた、真っ暗な場所にいるの。
 ここは地上から何百メートルも深く潜った、泉の底。複雑な水脈を持ち、人が潜ればすなわち死を意味するという、畏れ多い泉らしいわ。水底は暗すぎて、魚も見えないのが残念ね。

 あの後、不実を断罪する呪いの魔石だと騒がれて、フェリシアの必死の願いも受け入れられず、私は教会に運び込まれたの。
 聖水に漬けられ、お香で焚かれ。
 司祭様も聖女様も、みんな恐れ戦いていたわ。
 最後には、お怒りをおしずめくださいって、聖なる泉にドボーン、よ。

 まさか魔石に自我が芽生えた挙句に、呪いが使えるとは、私が一番びっくりしたわ。
 久しぶりに、大笑いしたしね。

 ああ……きっとまた何百年も、暇になる。
 フェリシアの笑顔が、恋しいわね……。
 しばらく、深淵の魔石は眠る事にしよう。

 世界よ、おやすみなさい……。
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