6 / 12
叔父さんだって男
しおりを挟む世の中の理に反してしまう。それでも、この気持ちを抑えきる自信はない。
誰からも祝福されない。認められない。なのに太一は、まっすぐ僕の目を見つめて言うんだ。
「俺はコタが好きだ」
まいった。観念するしかないみたいだ。僕よりも大人な太一が言ってくれた。そんなの、甘えちゃうじゃないか。
「······僕もだよ」
「え?」
「だからぁ、僕も太一が好きなの」
「うっそだ~」
「ほんと。いつからかわかんないけど、いつの間にか好きになってたんだ。まぁ、自覚したのはキスのおかげだけどね。一晩、寝ずに自分と向き合ったから」
「コタくん、怒ってます?」
「ぜーんぜん」
「怒ってんじゃん」
「怒ってないよ。だから、もう1回····キスして? そんで、今度はちゃんと覚えてて」
僕と太一は恋人として、再び唇を重ねた。
1枚ずつ仮面を外していくかのように、僕の知らない太一が次々と顔を見せる。太一の恍惚な表情は、まだこの先を知らない僕でさえ昂らさせた。
腰を引き寄せる手の温もりから、ゾクゾクとしたものを感じる。きっと、僕もそんな表情をしていたのだろう。太一が頬を紅潮させ、そっと僕のTシャツに手を忍ばせた。
そうだ、ちゃんと言わなくちゃ。
「太一、ちょっと待って。先に言わなくちゃいけなくって」
「ん? なに?」
ねっとりと絡みつくような、耳元で響く甘い低い声。大人の男の人だ。耳が熱くなって思考が止まってしまう。
ダメだ、言わなくちゃ。
「あのさ、僕が昨日太一に犯されたの、口だけだよ」
「······ん? え? え!? 俺、お前の口に突っ込んだの?」
「······っ! ばっ、ばーか!! 違うから! キスしかしてないんだよ! まぁ、めっっっちゃ濃いやつだったけど!?」
「はぁぁぁぁぁ!? そんだけ? いや、充分問題だけれども! なーんだ、てっきりイクとこまでイッたのかと······」
「バカ太一」
「じゃあまぁ良かったわけだ。これからちゃんと、初めてを食べれるんだよな」
太一はそう言って、また僕に跨った。そして、厭らしい大人の表情で僕を見下ろす。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

絶対にお嫁さんにするから覚悟してろよ!!!
toki
BL
「ていうかちゃんと寝てなさい」
「すいません……」
ゆるふわ距離感バグ幼馴染の読み切りBLです♪
一応、有馬くんが攻めのつもりで書きましたが、お好きなように解釈していただいて大丈夫です。
作中の表現ではわかりづらいですが、有馬くんはけっこう見目が良いです。でもガチで桜田くんしか眼中にないので自分が目立っている自覚はまったくありません。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/110931919)

美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

罰ゲームって楽しいね♪
あああ
BL
「好きだ…付き合ってくれ。」
おれ七海 直也(ななみ なおや)は
告白された。
クールでかっこいいと言われている
鈴木 海(すずき かい)に、告白、
さ、れ、た。さ、れ、た!のだ。
なのにブスッと不機嫌な顔をしておれの
告白の答えを待つ…。
おれは、わかっていた────これは
罰ゲームだ。
きっと罰ゲームで『男に告白しろ』
とでも言われたのだろう…。
いいよ、なら──楽しんでやろう!!
てめぇの嫌そうなゴミを見ている顔が
こっちは好みなんだよ!どーだ、キモイだろ!
ひょんなことで海とつき合ったおれ…。
だが、それが…とんでもないことになる。
────あぁ、罰ゲームって楽しいね♪
この作品はpixivにも記載されています。
捨て猫はエリート騎士に溺愛される
135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。
目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。
お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。
京也は総受け。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる