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3章 希う大学生編
想像しただけで
しおりを挟む朔は僕をそっと抱き締め、ジッと見つめてキスを待つ。触れなくとも息がかかる距離。朔の熱さが分かる。
「す、するよ?」
「ん、頼む」
頼まれてしまった。朔も舌を拾ってくれないのだろう。きっと、八千代にシたようなキスを待っているんだ。顔を見れば分かる。
「下手くそでもいいの?」
「キスって上手い下手じゃねぇだろ。愛情を確かめ合う為のものなんじゃないのか? まぁ、セックスでもなんでもそうだと思うけどな」
朔らしいや。僕はそれを聞いて妙にしっくりときた。確かにそうなんだけど、それに気持ちいいが加わればもっと良いじゃないか。
皆はどうやって上手くシてるんだろう。
「僕もそう思うんだけどね、折角するんだったら皆に気持ち良くなってほしいんだ。ねぇ、どうやって上手くするの?」
「どう··やって····?」
僕の問いに、真剣に悩んでしまう朔。キスは一旦お預けで考え込んでしまった。ふと見ると、皆も僕にアドバイスをくれようと、それぞれ思考を巡らせている。
「ゆいぴの場合、経験値じゃなさそうだもんね」
「技術面なんか慣れだと思ってたからなぁ····。えー、そこのカバーって経験以外にあんの?」
「ンなもん見よう見まねできるもんじゃねぇのかよ」
「それな。けど、結人はそれができないから困ってんでしょうが。まぁでも改めて考えっと、主導権って渡した事ねぇから“キスされる”ってのがよく分かんねぇな」
「あー、確かに。ゆいぴにえっちなキスされるトコって想像したことないかも」
「確かにそりゃねぇわ。今までもできねぇ前提でさせてたしな。ぶっちゃけ、あんだけされてできねぇ意味も分かんねぇけどよ」
「そうそう、あっぷあっぷしてる結人見てっとさぁ、もっと必死こかしたくなってやりすぎちゃうんだよな。んで結果これだろ? 結人がキス上達する以前に、どんな風にシてんのか分かんなくさせてる俺らにも原因あんじゃねぇの?」
「それはそう。けどさ~、ゆいぴが目ギュッてしてビクビクしながら口犯されてんのに段々ふわふわしてきて目がトロンて開きだして必死にしがみついてきて····って、そうなったらもうイかせるまでマジで止まんないよね」
「「「わかる」」」
言いたい放題言ってくれるじゃないか。僕だって、どうして自分がここまでできないのか不思議でしょうがない。
散々上手いキスを受けてなおできないのだ。おそらく、持って生まれたものが違うのだろう。そう結論づける他ない。
そして、さらに数十秒ほど考え、切り出したのは啓吾だった。組んでいた腕を片方解き、まだ少し考えを深めているように唇へ指を当てて話し始める。
「やっぱ気持ちなんじゃね? 結人は俺らとキスする時なんか考えてる? あーしたいとか、こーしてやりたいとか」
「え、っと、んー··喉奥までされるのかなぁとか、ちゃんと息しなきゃとか····あっ、キスだけでイッちゃわないように頑張ろう! って思ってる」
「「「「ン゙ッ····」」」」
皆は一瞬、悶えた様に目をギュッと瞑った。なんなのだろう、何かおかしな事を言ったのだろうか。
「それだ。そこだよ、ゆいぴ。やっぱさ、する側とされる側の違いなんじゃない?」
「それ、その問題かなり前にぶち当たってなかったか?」
「「「「あー····」」」」
朔に言われ思い返してみる。確かに、こんな話題が上がった事があった気がする。その時はどうなったんだっけ。覚えてないや。
「ま、いいや。ねぇ朔、目瞑って? 気持ちくはできないだろうけど、好きって気持ちがいっぱい伝わるように頑張るね」
「ん゙····」
朔は、僕の握り拳を胸からお腹の方へ下ろして、目をキュッと瞑った。なんだか怯えているみたいに見える。
怖がらなくたって、皆みたいに食べたりしないんだけどな。
緊張を僅かに孕みながら、朔の頬を両手で包んで持ち、正座から少しお尻を上げて唇を重ねる。強ばっているのか、いつもより心做しか唇が硬い。
僕はそれを、甘く食んで和らげる。『怖くないよ』と伝えるつもりで、優しく愛情を込めて食む。
すると、朔から微かに吐息が漏れた。極々小さな甘い声と共に。気持ち良くなってくれているのだろうか。
感じてくれているのだと思うと嬉しくなり、僕はなけなしの勇気を振り絞る。結ばれた唇の隙間へ、そっと舌を差し込んでみた。
朔の肉厚で大きな舌を、僕の小さな舌でちろちろと舐めるように拾う。お世辞にも絡めているとは言えない。
段々と、息をする余裕がなくなってきた。僕からシているはずなのに、されている時みたいな余裕のなさだ。吐息がどんどん熱くなってゆく。
「んっ··ふ····は、ぁ··んぅ····」
さっき、啓吾へ感じた“弄りたい”という感情に似ている。もっともっと、深く濃厚に絡めたい。朔を食べてしまいたい。そんな気持ちが込み上げてくる。
その衝動に従うと、舌は動きを滑らかに求めるまま動く。こんなの初めてだ。
僕からシたいと思うことは今までもあった。けれど、こんなに落ち着いてする事に集中できるなんて、思い返せばなかったかもしれない。
だって、僕がどれだけ必死にシていても、絶対に誰かが邪魔してくるんだもん。集中なんてできやしないよ。
ゆっくりと、徐々に、朔を押し倒す。朔は、僕を支えながら押し倒されてくれた。
朔に跨り、お尻に入ろうとするおちんちんをなんとか防ぎキスに集中する。僕は勿論だけど、朔も蕩けているように見えるのは気のせいだろうか。
上気した顔に荒い息、目は雄全開で僕を見据えている。僕を食べてしまわないように、必死で堪えているのだろう。僕の肩を掴む手に力が入っている。
肩っていうか上腕の方なんだけど、結構痛いんだよね。でも、その痛みに朔の想いを感じちゃって、離してなんて言えないや。
「結人さーん、ケツ、ちんここすこすしちゃダメよ~」
啓吾に指摘されハッとした。無意識に、朔のおちんちんへお尻を擦りつけていたようだ。
「あれヤバくない? 可愛すぎるよ。あ、俺もあの体勢に持っていけばシてもらえるってこと? けど対面座位もいいよね。ワンチャンこすこすしてもらえそう···んぁーっ俺もこすこすしてほしい!」
「莉久うるせぇキモい。あのさ、こすこすまだ禁止なんだってば」
「アホ丸出しだな。落ち着けや変態」
「バカ2人に言われたくないよ! つぅかアレは無意識だからしょーがないんですぅぅ! 俺も無意識にされちゃったらセーフなんですぅぅ!!」
「無意識にさせてる時点でアウトだろ。お前ホント結人の事になるとヤバいくらいポンコツだよなぁ」
「ポンコツ言うな。俺はゆいぴを幸せにして気持ち良いを共有する為に生きてんの。外側から見るゆいぴもそりゃ勿論可愛いんだけどさ、できればゆいぴの可愛いを全部体験したいんだよね。ってなったらアレしてもらいのも当然でしょ」
「····あ? ごめん、途中から何言ってんのかマジで理解できてない」
「聞く必要ねぇわ。アホな事しか言ってねぇぞ」
なんだか外野が騒がしい。またりっくんが変態を発揮しているみたいだ。それは勝手にやっててくれて構わないけど、誰か朔を止めてくれないだろうか。
僕がこすこすするのをやめると、朔は僕のお尻を鷲づかんで、アナルに亀頭をぷちゅぷちゅし始めた。入ってしまわないように、僕はお尻をツンと上げる。
すると、完勃ちなんじゃないかなってくらい硬くなったおちんちんが、朔の先走り汁で僕のアナルをヌルヌルにして舐めるように滑っていく。やらしい音が響いて、ふわふわが止まらなくてボーッとしてきた。今にも入っちゃいそうだ。
けど、キスはやめられなくて、『ダメだよ』と注意もできないでいる。このままでは、どちゅっと一気に貫かれてしまうかもしれない。
何も準備していないのに、いや、それよりもルールに反してしまうじゃないか。
頭では分かっているのに、身体が朔のおちんちんを求めている。このまま僕がお尻を落とせば、朔のガチガチにイキり勃ったそれが僕のナカをゴリゴリ潰しながら奥を抉ってくれる。
そんなハレンチな想像と、いつもの圧迫感と衝撃を思い出しただけで、僕のおちんちんから精液が飛び出した。
「あーあ、結人イッちゃったじゃん。結人ぉ、ケチちゅぷちゅぷされただけでイッちゃった?」
「違··、朔の、おちんちん、いつもの苦しいのとか思い出して····」
「えぇ、それだけでイッたの!? おま··どうやって生活してんのマジで····。チョロすぎじゃね?」
「は? イイ育ち方してんじゃん、死ぬほど心配だけど。ゆいぴが悪いみたいに言うなよな」
「言ってねぇし同感だけどさ、俺も心配ンなったの!」
(結局ルール守れていないし、また心配させちゃってる。ホント僕ってダメダメだなぁ····)
そんな不安が伝わったのか、朔が突然後頭部を掴んで深いキスをしてきた。不安は消し飛んだが、またイッちゃいそうだ。
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