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3章 希う大学生編
2日目なんだけど
しおりを挟む2日目の夜。今夜は啓吾から始めるようだ。
昨日と同じようにベッドで待っていると、啓吾が部屋へ入ってきた。八千代と朔はまた走っているらしい。
昨日と違うのは、途中でりっくんも参加するという事。待てをさせすぎると危険なゴリラがいるからだと、啓吾は呆れ顔で言った。
「今日はちゅー··してもいいんだよね?」
「いいよ。したかった?」
「····うん」
2人とも裸でベッドへ横になり、抱き合うほど寄り添って話す。僕に触れていないと落ち着かないのか、啓吾は僕の腰や脇腹を撫でる。
「俺も。昨日めっちゃ頑張って我慢した」
そう言って、早速キスをする。唇を食むような、甘いキスだ。
「んへへ。僕もね、いっぱい我慢した」
昨日の我慢を振り返って、キスができる幸せを噛みしめる。
それをお互いに共感し合い、2人してにはっと笑う。温かい時間が始まる、その瞬間へ足を踏み込んだこの安心感がとても心地好い。
そう思った次の瞬間、啓吾は僕をうつ伏せにした。そして、腰から数センチずつ、唇を這わせながら上へあがってくる。
ゆっくり、ゆっくり、1箇所ずつ丁寧に愛情を込めて口づけているようだ。擽ったさや快感よりも、静かながらも激しい僕への想いが流れ込んできて熱い。
「やっ··啓吾、イッちゃう····」
「これでも感じちゃう?」
「違····えっとね、そうじゃないけど感じちゃうの。啓吾の··あ、愛? でね、嬉しくて、わーってなっちゃって··で、イきそうなの····」
どうしよう、上手く伝えられない。それに、とんでもなく恥ずかしい事を言った気がする。
啓吾は、照れたように『なーにそれ、めっちゃ恥ずかしいんですけど~』と言って僕の背中に乗り、ずいっと耳元に顔を寄せた。
「でもま、いっぱい愛込めてっかんね。そんでイクんならしゃーねぇよな。いいよ、イッて」
「んぅ··」
啓吾は口づけを再開し、さっきよりも執拗く背中を愛でる。僕はと言うと、許可を貰ったので心置きなく軽イキを繰り返す。
先走りでシーツが濡れてしまった。今日はタオルを敷いていないから、後で洗わなくちゃ。そんな、どうでもいい事を、ふわふわしていく中で考える。
キスでの愛撫が激しくなってきた。これでは、えっちの前と変わらない。止めなくては、そう思うのに、僕はシーツを握り背中を占める温もりに神経を向けたまま。
そこへりっくんが来て、流石の情報処理の速さを見せる。僕の横に寝転ぶと、握り締めた僕の拳にキスをする。
そぅっと、唇の先が触れるだけの擽ったいキス。僕が視線をやると、しっかりと目を合わせて吸うようなキスに。
2人の唇から落とされる熱で、僕の感情は止め処なく煮えたぎってゆく。2人を抱き締めて、めちゃくちゃに犯されたい。そんな欲望は、いとも容易く見透かされていた。
「んふ♡ ゆいぴ、すっごい物欲しそうな表情してる」
「腰もすっげぇ振れてる。かーぁい♡」
分かっていて緩めてくれない意地の悪さ。僕はどんどん蕩けていって、ついに我儘を強請ってしまう。
「りっくんと、啓吾のおちんち····欲しい。一緒に、挿れてほしい····欲しいよぉ····」
ポロッと涙が落ちてしまった。また困らせてしまうじゃないか。
「「ン゙ッ····」」
2人は息を飲んだ。
啓吾の背中へのキスが激しさを増す中、僕は強引に転がって仰向けになる。そして、両手を押さえつけられている時みたいに頭の上へ置き、僕は2人を誘う。
「シて··?」
僕がお強請りすると、啓吾が僕の両膝を持ってガバッと開いた。お尻を少し持ち上げアナルにおちんちんを当てられると、僕のお尻はそれをキュッと飲み込もうとする。
りっくんが慌てて啓吾の肩を押し、挿れる寸前で止めた。僕は、残念そうな顔を隠せない。
「ゆいぴマジでやめて。俺ら止まんなくなるから。ん゙っ··残念そうな顔しないでっ」
りっくんは、僕の顔を視界に入れないよう顔を逸らす。
「だって··、おちんちん欲しかったぁ」
「なぁ、もう良くね? ちんこ爆死する。マジで痛ぇ」
「言い出しっぺしっかりしろよ! お前が最終日目標に頑張ろうってゆいぴ丸め込んだんだろ!? こんっっっっっっな可愛いお強請りされてんだよ!? 俺だって今すぐブチ込みたいしちんこ痛いっつぅの!!」
りっくんと啓吾がギャーギャー揉めていると、朔がやって来た。
「おい、まだか····って、何揉めてんだ。何かあったのか」
「ハッ、おおかた啓吾が我慢きかなくなったんだろ」
八千代が、入り口で立ち止まっていた朔を押し、扉を締めながら言った。覗いていたのだろうか、大正解だ。
「ホンット信じらんない! 啓吾のそういう軽いっつぅか行き当たりばったりなとこ、マジでいい加減にしなよ。俺らいっつも振り回されてんの。もっと自分の言った事に責任持てよな!」
りっくんは相当お怒りらしい。対して啓吾は、また始まったと言わんばかりの顔で、りっくんのヒステリックを聞き流す。
けれど、今回は啓吾に非があるように思う。それにしたって、だ。
「僕が誘ったのが、そもそもダメだったんだよね。ごめんね。啓吾、一緒に頑張って我慢しようね。りっくん、僕も最後まで頑張るから、もう怒らないで? また優しくてあったかいのシて?」
「ん゙ん゙~~~っ····はぁぁぁぁぁ······もう、ゆいぴには敵わないや。いいよ、今度は朔と場野と一緒にシてあげる♡ 啓吾はそこで頭とちんこ冷やしてな!」
「へ~い」
啓吾は背もたれの方へ向いてソファに膝をつき、2日目にして挫折しかけた不甲斐なさを悔いているようだ。背もたれに肘をつき、自分を責めるように項垂れている。
注意されると、反抗的だったり不貞腐れたりもするけれど、ちゃんと反省するのが啓吾の素直でいい所だ。少ししたら呼んであげよう。
りっくんは、僕の足の指1本1本へ丁寧にキスをして愛でる。朔は鼠径部から胸まで、貪るような激しめのキスで欲望を抑え込んでいるのがよく分かる。
八千代なんて、キスと言うより食べている。それも、脇や首筋、耳の裏なんかを。もしかすると、りっくんと同じくらい変態っぽい。
こんないっぺんにされて、感じるなって言うほうがおかしい。なんなら、もう既に何度か軽くイッている。
皆もそれには気づいているはずだ。2日目ってイッてもいいんだっけ。甘イキならいいのかな。
「んっ、ふ··ぁ····」
「結人、それ以上深くイクなよ」
と、八千代に耳元で囁かれ、さっきよりの深い甘イキをした。
「ふはっ、イクなつってんだろ。んなに気持ちーかよ」
「き、きもちぃ····もっと、いっぱいイキたい····」
さっきの反省など、もう忘れてしまった僕は、八千代の首に手を回して強請る。
「おい、コイツなんも反省してねぇぞ。あー··軽くお仕置きすっか」
「だね。可愛いが過ぎるよ」
りっくんが便乗する。どうやら、お仕置きが始まるらしい。期待なんてしていない。全然、してないもん。
「お前ら、お仕置きなんて言ったら結人が期待するだろ。見ろ、腰くねらして待ってんぞ。可哀想だろ」
「き、期待なんかしてないもん····」
皆のペースで事が進むのなんていつもの事だけど、今のは酷いと思う。絶対に誘導されたんだ。
それなのにお仕置だなんて、僕が悪いみたいじゃないか。
「ほっぺ膨らまして何言ってんだよぉ。なぁ結人、俺もお仕置き参加していい?」
啓吾が、甘えた声で頬をつつきながら言う。僕は、むすくれたりっくんを横目に、『仕方ないなぁ』と啓吾のほっぺを撫でて許してあげた。
「ねぇ、お仕置きって、僕何されるの?」
皆は顔を見合わせ、ふっと笑った。何かを企んでいるような、そんな怪しい笑い方だ。期待よりも不安が勝る。あ、期待なんてしてないけど。
「そんなにお強請りしたいんだったら、好きなだけお強請りさせてあげようかなって」
りっくんの言っている意味を理解できないまま、寸止め地獄が始まる。寸止めって、4日目に来るはずの地獄じゃなかったっけ!?
だけど、お尻やおちんちん、性感帯への刺激はできないんだ。いつもほど辛くはないだろう。
そう甘く見積った僕がバカだった。どんな条件があったって皆の手にかかれば、僕を寸止め地獄へ堕とすなんて事、僕をイキ狂わせるよりも簡単だったんだ。
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