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3章 希う大学生編
大丈夫って言ったけどさ
しおりを挟む朔のお説教が終わるのを待って1時間。ようやく解放された八千代とりっくんが、少しやつれた顔でヤリ部屋に戻ってきた。その後ろを歩く朔は、怒りが収まらないのか険しい顔をしている。
けれど、僕が起きているのを見るなり、とても心配そうに駆け寄ってきた。
「起きてて大丈夫なのか? 痛いとことかねぇか? どこかおかしいと思うところがあったら全部言えよ」
この勢いでは、検査の為に病院に行くとか言い出しそうだ。もし病院に行ったとして、どう説明するのだろう。
朔の事だから、ありのまま話しそうだな。それはもう、僕を社会的に殺すのと同義だ。
「大丈夫だよ朔、ありがと。起きてすぐはちょっとね、痛みっていうかお腹の奥に違和感があったんだけど、皆とお喋りしてるうちになくなっちゃった」
僕が“えへっ”と笑うと、朔はコンポタの入っていたマグを回収し啓吾に渡した。そして、力一杯抱き締める。
「良かった。けど、何かあったらちゃんと言うんだぞ。我慢してんのが分かった瞬間、病院に連れて行くからな」
やっぱり。これじゃ下手な事はできないや。
僕は、朔をギュッと抱き返し、改めて大丈夫だと伝えた。病院なんて、本当にお腹が破けちゃった時だけにしてほしいものね。
僕が朔を宥めていると、おずおずと近寄ってきた八千代とりっくん。バツが悪そうな顔で言葉を探っているようだ。こういう時は、待たずに僕から声を掛けてあげたほうがいい。
だって、りっくんと啓吾はそうすると、おやつを貰う犬みたいにぱぁぁっと表情が明るくなるんだもの。八千代は、表情を和らげいつにも増して優しく頭を撫でる。
僕が2人に『気持ち良かったね』と笑いかけると、朔は大きな溜め息を吐いて僕を押し倒した。かける言葉を間違えたようだ。
僕に覆い被さる朔。上から見つめられるのは、未だに緊張してしまう。だって、顔が良すぎるんだもの。
「····するの?」
「するわけねぇだろ」
朔は、また険しい表情を浮かべ、いつになく冷ややかに返した。
いくらテンパったとは言え、流石に無神経だった。こんなに心配してくれているのに、朔が我欲のままに僕を抱くなんて有り得ない。
これは酷い失態だ。朔から返される冷たい言葉や態度には慣れがなく、一瞬にして不安が膨れ上がり胃がチクッと痛む。
「ふぇ··ご、ごめんなさい····」
反射的に涙が浮かぶ。それを見た朔は、ハッとしていつもの優しい表情に戻る。
「お··、わりぃ、怒ってるんじゃねぇんだ。今のは押し倒した俺が悪いよな。もう少し寝かそうと思っただけなんだ」
「そう··だよね。僕が欲しがってちゃダメだよね」
僕は、己の自分本位さに嫌気が差した。きっと、僕が1番僕を大切にできていない。誰よりも欲に溺れている。
こんな僕を、皆は心から大切に想って大事にしてくれているのに。その気持ちを、僕も大切にしなければ。
反省して、僕は朔の頬を包んで引き寄せ、『ごめんね』と『ありがとう』を込めて唇を重ねる。
そっと離れる朔。甘い視線が絡み合い、もう一度キスを交わす。今日は、たぶんこれで終わり。
朔の気持ちが落ち着くまで、長い長いキスをして、漸く朔が僕を離した。それをずっと待っていたりっくんが、静かにちょこんと隣へ座る。
「僕、りっくんの困ってる顔スキ····」
「え、何急に····困ってる顔って?」
僕は、隣に寝転んでいる朔に押し上げてもらいながら、下腹部に力が入らないようゆっくり起き上がる。そして、身を預けるようにしてりっくんを抱き締めた。
「困ってるって言うかね、僕に冷たくされたり、僕に何かやらかして絶望したような顔? 抱き締めたくなるの」
「余計酷くない? で、それが今なの? 俺、そんな酷い顔してた?」
「してた。泣いちゃいそうだから、抱き締めてあげなくちゃって思うくらいには、ね」
「ぅ゙ー····。だって俺、ゆいぴに酷い事した····」
りっくんは、唸って僕を抱き返した。優しく柔らかく、それでもって力強く。
「大丈夫だって言ったでしょ。強がりなんかじゃないよ。本当に大丈夫。だからね、怖がって変に加減とかしないでね?」
そう、僕は変態らしいのだ。痛くて苦しくされるのが、何より気持ちイイし安心する。きっと、ダメなんだろうけど、本能がそうなのだから仕方ない。
「なぁ、結人が大丈夫だつってんだからそろそろ寝ねぇ? 流石に眠いわ」
冬真は大きな欠伸をしながら言う。その大きな口を、猪瀬くんが手で塞いだ。
「ホント、冬真は空気ぶち壊すの得意だよね。眠いなら客室の方で寝ればいいでしょ。泊めてもらってんのに散々邪魔して、挙句ワガママ言うなよな」
猪瀬くんが、お母さんを発揮している。反抗期の子供のように、冬真は唇を尖らせながらそれに従う。
「武居、今日はもうゆっくり休みなよ。って言ってももうすぐ朝だけど。冬真は責任もって閉じ込めとくから。それじゃ、おやすみ」
そうして、猪瀬くんは冬真の手を引いて客室の方へ引き上げて行った。僕たちもそろそろ寝ようかと、僕の反対側の隣を争うジャンケンが始まった。
僕はそれが終わる前に、朔の腕に抱かれて眠った。
翌朝、背中に張り付いていたりっくんが、寝ぼけて先っちょを挿れた事で目を覚ました。昨日のが相当堪えていたのか、前立腺より奥へは入ってこない。
「ん····」
りっくんは、まだ覚醒していないようだ。けれど、僕の腰をしっかり持って浅くピストンしている。本当に寝ているのだろうか。
朔は、僕をガッシリ抱き締めたままぐっすり眠っている。おかげで、りっくんのをそっと抜く事もできない。
起こさないようにしなければと思うのだが、りっくんがイイ所を擦るから声が溢れてしまう。
眠っているからなのか、りっくんがいつもより甘い声を漏らしている。そのえっちな声と、前立腺をゴリゴリされている所為で、我慢しても精液が溢れ出してくる。
勢い良くは出ない。タラタラと流れ出るように、密着している朔のおちんちんへ垂らしてしまっている。
「ふ··ぁ····んんっ····」
「ん··? 結人どうした? 腹痛ぇのか? ····ヨシヨシしてやろうな」
静かに喘いでいたつもりなのだけれど、朔が起きてしまった。こちらも絶賛お寝惚けらしい。
「だい、じょぶ····」
今お腹をさすられたら、間違いなく奥でイッてしまう。
朔は僕の腰が振れている事に気づく。そして、何を勘違いしたのか、自分のと僕のおちんちんを合わせて、寝起きとは思えない力でしっかりと握った。
「ん゙っ····」
「なんだ、もうぐちょぐちょじゃねぇか」
そう言ってフッと笑った朔は、1人でする時みたいにそこそこのスピードで扱き始めた。
前立腺とおちんちんを同時に責められ、寝起きの身体ではこれ以上我慢などできなかった。
「イ゙ッ··あ゙ぁ゙っ!! はっ、んぅっ、出ちゃうぅ♡」
勢い良く噴き出す潮が止まらない。だって、2人とも止まってくれないんだもの。
腰が痙攣し始めるとりっくんはナカに出し、そのままで完全に眠ってしまった。けれど、僕がイク度にお尻を締めてしまうので、りっくんのがナカでビクンと反応する。
すると、また大きくなるから圧迫感でイッてしまう。僕のお尻め、なんてチョロいんだ。
朔は寝惚けているからなのか、全く力の加減ができていない。ボーッとしたまま力強くシコシコしている。このままでは本当に、僕のおちんちんが抜けてしまいそうだ。
不本意だが、そろそろ朔をちゃんと起こそうかと思う。
「朔····朔ぅ、僕のおちんち····抜けちゃ····ひゃぁぁっ!?」
朔は目も開けず、眉間に皺を寄せてラストスパートに入ってしまった。声を絞り出し何度も呼ぶが、朔は一向に起きてくれない。
「ん゙っ··ぁ··気持ちィ····」
朔の珍しい発言に、心臓とお尻がギュッと締まる。そんな言葉が聞けるなら、寝惚けている朔も悪くない。
けれど、僕のおちんちんに迫っている危機からは脱していない。
「朔ぅっ··、僕、の··ちんぢ··抜けっ、抜ける゙ッ」
おちんちんの感覚が麻痺し、いよいよ抜けてしまったかと思っていると、朔は僕の顔まで飛ぶほど勢い良く射精を果たした。
「んぁ··すげぇ出る。止まんねぇ」
なんて、吐息のような声で囁きながら、出し切るとおちんちんを握ったまま眠ってしまった。なんてこっただ。
暫く呆然としたまま動けずに考えていたのだが、この状況から脱する術が思いつかず、諦めて僕ももう少し眠ることにした。
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