上 下
287 / 387
3章 希う大学生編

温泉では気をつけて

しおりを挟む

 夕飯の前に、冷えた身体を温泉で温める事にした。湿った服を脱ぎ捨て、浴衣に着替え温泉へ······


「えっと、こっちが上でしょ。わ··長いなぁ····。でぇ、ここで····ん? あれ? んぇー··ねぇ八千代、なんか着れない」

「ぁんでだよ。啓吾でも自分で着れてんぞ」

「ちょっとー、失礼なんですけどー」

 皆みたいに上手く着れない。背が低いからなのか、凄く丈が長いんだもん。子供用は意地でも着ないと断った手前、自分で着たかったんだけどな。
 断念して八千代に着せてもらう。文句を言いながらも、テキパキ着せてくれる八千代。やっぱり、面倒見がいいんだよね。
 そして、漸く着た浴衣を、くるっと回って皆に見せる。

「どう? 大人用のでも大丈夫でしょ?」

「エッロ♡ なぁ、今すぐ抱いていい?」

「え、エロくないもん。啓吾のばぁか。もう! 先に温泉に入るんだかr──んわぁっ」

「待てるわけねぇだろ」

 待てができずに押し倒してくる啓吾。畳の香りと啓吾の甘い匂いが混じって酔いそうだ。
 思わず、両手を開いて受け入れてしまいそうになる。

「やぁっ、啓吾····待っ、んぁっ····」

 首筋に唇を這わせ、浴衣に手を突っ込んできた。けれど、八千代が啓吾を引き剥がす。

「アホが。せっかく着せたのに秒で脱がすな」

「えーっ、先に抱きたーい」

「猿か。先に温泉入って結人あっためねぇと、風邪ひいたらどうすんだ。雪遊びで身体冷えてるんだぞ」

「····はーい」

 叱られた子供のように、ムスッとしながらも従う啓吾。可愛いから、浴場まで手を繋いで向かった。


「わぁ! 温泉だぁ~」

「ぶはっ····アホな反応してんなよ。もうちょい他に感想ねぇんか」

 八千代に笑われてしまった。

「むぅ····だって、温泉なんだもん。····あ、露天風呂だー」

 りっくんも驚くほどの棒読みになってしまった。啓吾とりっくんにまで笑われてしまい、僕の頬が膨らむ。

「感想なんかなんでもいいじゃねぇか。結人がイイ笑顔見せてくれたんだ。充分だろ」

「朔ぅ····」

 僕の肩を抱いて、しれっと身体を洗いに誘導される。

「え、待って。自分で洗えるよ?」

「誰も居ねぇから俺が洗ってやる。何か文句あんのか?」

「······ないです」

 言い知れぬ圧を感じた。もしかして、朔もテンションがバグってるのだろうか。

 ええいままよと朔に洗ってもらい、早々と温泉に浸かる。冷える鼻先で日常との違いを感じながら、温泉に溶け出すように日々の疲れが癒えてゆく。
 と、すーっと啓吾が寄ってきた。隣に座り、肩を寄せ合う。

「温泉気持ちぃな。熱くねぇ?」

「うん、大丈夫だよ。気持ちぃねぇ」

 啓吾の肩に頭を預け、幸福なひと時に浸る。隣に座っていたりっくんは、ヤキモチを妬いたのか手をキュッと握ってきた。
 その手を一度握り返し、少し緩め指を絡める。そして、もう一度キュッと握った。

「りっくんも気持ちぃ?」

「気持ちぃ。死にそうなくらい幸せ」

「んへへ。まだまだ死なないでね」

 僕から手を握ると、りっくんはいつも幸せを噛み締めるように俯く。そろそろ慣れればいいのに。なんて、僕の言えた事じゃないけれど。


 雪がチラついてきた。冷えないようにと、啓吾が僕の肩に手を回す。すっごくあったかいや。
 そして、りっくんと八千代が頭を洗いに行ってる隙に、啓吾が僕を対面で膝に乗せる。啓吾の首に手を回し、甘いキスを執拗く交わす。
 こんな所で、ダメだと分かっているのに止まらない。目が合うと、吸い寄せられるように唇を重ねてしまう。

 ど平日なのでお客さんが少なく、ほぼ貸切状態だ。とは言え、全く居ないわけではない。僕たちと同い歳くらいのお客さんだって居た。
 もしも、こんな所を見られたらどうするつもりなのだろう。上に乗っかっているだけでも、充分見られたらマズい状況だ。
 僕は、そろそろやめなくちゃと顔を離す。けれど、後ろから朔が耳を噛んできて、嬌声と共に力が抜けてしまった。
 朔が止めてくれないとなるとヤバい。このまま、ここでする気みたいだ。それだけは阻止しなくては。

「ね、待って。部屋に戻ってか··ら、あんっ、やっ··朔、お湯入っちゃう」

 僕の声など聞こえていないのか、待ったナシで入ってくる。雄を剥き出しに求められて、阻止などできるはずがなかった。

「なぁ、ここの効能知ってるか?」

 じゃぷじゃぷと水音を立てながらピストンを速める朔。効能····そう言えば、さっき朔が一生懸命読んでたっけ。

「んぁっ····し、知らない」

「やっぱり聞いてなかったのか。温泉だつって可愛くはしゃいでたもんな。ここの効能な、血行促進とか疲労回復なんだって。良かったな。いつもより元気いっぱいで抱いてやれそうだぞ」

 なんだ、『元気いっぱい』って····、可愛いな。それより、大変な宣言をされたような気がする。けれど、高鳴る胸は正直だ。
 ふわふわしてゆく脳で、皆と沢山触れて繋がる事を妄想してしまい、胸の奥がきゅぅっと切なくイクんだ。

「あぁっ···ん、ぇ··いちゅもより··? いっぱい、気持ちくて、死んじゃうやちゅ?」

「あぁ、イかせまくって苦しくなるやつ、いっぱいシてやる。朝まで離せねぇぞ」

 耳元で甘い囁きを放つ。脳が痺れてイッてしまう。けれど、何も出せなくて苦しい。
 啓吾が、僕のおちんちんをギュッと握っているのだ。お風呂の中で射精してしまわないように。その所為で、余計にお尻が締まる。

「んぁ····締まりすげぇな。ケツでイッてんのか。ナカのうねりヤバいぞ」

「さっくん、俺も挿れたい」

 頬を紅潮させた啓吾が、おちんちんを滑り込ませようと押し当ててくる。

「まだそこまで解れてねぇだろ。て言うか、俺と挿れて大丈夫なのか?」

「ん、結人が力抜いてくれたらいけそう」

「む··無理らよぉ····おちんちん、ギュッてしてぅからぁ、力入っちゃう」

 諦めた啓吾は、舌で口を犯すことに徹する。勿論、おちんちんは握ったまま。
 お返しに、僕も啓吾のおちんちんを握ってシコシコしてみる。

「んぅ····しこしこ、気持ちぃ?」

 意地悪のつもりで、耳元に声を落としてみる。

「んぁ····ヤバ。気持ちぃ、つかイク。飲んで」

 そう言って、啓吾は僕のおちんちんを朔に預けて立ち上がる。そして、口内を目掛けて射精した。

「見せて」

「んぁー··」

「ん、ごっくん」

 甘い声で下される指示に従う心地良さ。トロンと瞼が重くなってゆく。


「ねぇ、後ろおっぱじめてるけど」

「あ? しゃーねぇだろ。俺も後で犯すつもりだったしな。どうせお前もだろ」

 なんて、遠くに聴こえる低音に腰が跳ねる。八千代もやる気だったのか。皆、そんなに待ちきれないのかな。
 昨日も夜中までシていたのに、早くも温泉の効果が出ているのだろうか。だとしたら凄いや。

「まぁね。でもあれ、そろそろ逆上せるんじゃない?」

「あー··、ぽいな。おい朔、結人逆上せっから一旦やめろ」

「部屋戻ってから続きシなよ」

 八千代とりっくんの声が届いたらしく、朔が深呼吸をしてからおちんちんを抜こうとする。と、その時、脱衣場から人の声がした。
 マズいと思った次の瞬間、ふわっと身体が浮き、直後にガラッと戸が開いた。例の同い歳くらいの人達が入ってきたようだ。若い声が数人分、背後に聞こえる。

 朔は、僕を膝に乗せて背中を向けた。それで完全に隠れてしまう僕。おちんちんは入ったままだ。これは非常にマズい状況じゃないか。

 八千代とりっくんが隣に入ってきた。啓吾は正面で見守ってくれている。

「朔、ぬ、抜いて?」

「声、我慢できるか?」

「············頑張る」

「や、待て。コイツが我慢できるわけねぇだろ」

「じゃどーすんの? このままじゃゆいぴが逆上せちゃうよ」

 僕たちはコソコソと対策を練る。

「ゆっくり····抜いたら、大丈夫だもん」

「お前、毎回そう言うけど我慢できてねぇんだよ」

「朔が後ろから口塞ぐんがベストじゃねぇ? 俺らが塞いだら怪しすぎんだろ」

 そうこう言っているうちに、本当に逆上せてきた。

「おい結人、大丈夫か? 口塞いで抜くからな」

「はぇ····ん、頑張る」

 朔が僕の口を手で塞ぎ、僕を少し前へ押し出しておちんちんを抜いた。

「ふ、んぅっ····」

 ゆっくり引き抜くと、抜ける瞬間、僕が朔を離さないように絡みつくんだ。それを無理やり離される名残惜しさと快感が、少しだけ声を溢れさせた。

「ちょっ····」

 受け止めてくれた啓吾が、慌てて口を塞ぐ。

ごめんねほぇんへ

「はぁ~····もう一瞬頑張れたら良かったんだけどねぇ~」

 啓吾が呆れ顔で言う。その一瞬で気を抜いてしまった、僕の落ち度だ。

「ンなもん期待してねぇわ。結人、立てっか?」

「こ、腰抜けてる····。もうちょっと入ってるから、平気──」

「じゃねぇだろ。逆上せてんじゃねぇかよ」

 八千代がお姫様抱っこで脱衣場まで連れて行ってくれる。ほんの数メートルだが、僕を隠すようにりっくんが壁になってくれていた。

「ゆいぴ、顔真っ赤だよ。無理しちゃダメでしょ」

「····うん、ごめんなさい」

 椅子に座らせてもらうと、りっくんが水を飲ませてくれた。人が居ないからって、当たり前のように口移しで。

「んっ、んっく··んん····っはぁ」

 唇を離すと、零れた水を指で拭ってくれるりっくん。その目が雄々しくて、お尻がキュンとしてしまった。

「ゆいぴ、大丈夫?」

「だいじょばない····。りっくんの所為で、またお尻キュンてしたぁ」

「あは、甘えるの上手♡ ちょっとだけ指でイかせて──ってぇ!!」

 顎クイをして迫ってくるりっくんの頭を、八千代が後ろからはたいた。

「アホ。お前も落ち着けや」

 りっくんを押し退け、八千代が浴衣を着せてくれる。フラフラする僕を支えながらとは思えないくらい手際が良い。

「ぁんで今日はストッパーのお前らがはっちゃけてんだよ」

 確かに今日は、いつも問題児の八千代と啓吾のほうが大人しい。て言うか、りっくんと朔をストッパーだと思ってたんだ。いつも好き放題なのは、その所為だったんだね。

 僕が落ち着いた頃、朔と啓吾も戻ってきた。漸く、朔のおちんちんが落ち着いたのだろう。
 それにしても、朔が見るからに落ち込んでいる。大丈夫だろうか。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父に前立腺をいじめてもらう息子

ミクリ21
BL
父に前立腺をいじめてもらう息子の話。

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

処理中です...