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2章 覚悟の高3編
僕だってね
しおりを挟む目を閉じてくれない啓吾に代わり、僕がキュッと目を瞑って唇を重ねた。
皆がシてくれるみたいに、上から食むようなキスをする。暗闇の中で、熱くなってゆく唇に集中しているうち、ふとある考えが過ぎった。
(舌、僕から絡めてみたいな····)
折角芽生えたチャレンジ精神を無駄にはしたくない。
(ん? 舌··を、絡める····? とりあえず舌を出せばいいのかな。んゎ····違ったらどうしよう。変に思われないかな····。べろちゅぅってどうやるんだっけ。····あ、コレ無理なやつだ)
以前、朔に教えてもらった事があるが、結局できずじまいだった。今度こそべろちゅーを習得して、僕からもえっちな事をできるようになりたいのに。
「ん··ふ、ぅ····」
「ん? へぁ!? 結人? なんで泣いてんの? どした?」
気がつくと、僕の目からポロポロと涙が溢れていた。もどかしさと焦りで困惑しているうちに、いっぱいいっぱいになってしまったのだ。
(こんな事で泣くなんて、面倒臭いとか思われちゃう····)
「ごめっ····僕からべろちゅぅしたいなって思ったんだけどね、どうやって始めたらいいのかわかんなくって····モタモタしちゃって····ごねんね」
「あぁ、んな事····んぁ~かーわい♡ あんねぇ、結人が頑張ってくれたら後は俺がやったげる。だからさ、何も考えないで舌入れといで」
僕の顔を優しく包み、耳元で優しくそう言ってくれた。安心したはずなのに、今度はドキドキして落ち着かない。
「ひぅ····啓吾のえっちぃ」
言われた通り、もう一度唇を重ねる。啄むような幼いキスをしている間に、ザワザワと落ち着かない心を鎮て勇気を準備しなくちゃ。
その勇気を振り絞って、そっと舌を出してみる。啓吾の唇をチロッと舐めると、僕の舌を掬うように啓吾が絡めとってくれた。
「ふ····んっ、は··ぁ····」
これは成功でいいのだろうか。べろちゅーは始められたが、僕がマスターしたとは言い難い。
けれど、流れるように押し倒され、もはやそんな事はどうでもよくなっていた。今度は、啓吾が上から僕を食べてしまうようなキスをする。
啓吾の吐息が熱くて、流し込まれる唾液は甘くて、ふわふわした中で啓吾の息遣いが脳に響く。いつものように胸や腰を撫でながら、啓吾が僕のお尻に手をやった。指がピトッとアナルにくっつく。
「やぁ····まだキレイにしてないからぁ」
「あっ····今日はここまでな」
「え? 今日はシないの?」
「シねぇ」
啓吾よりも先に、食い気味で八千代が反応した。
「どうしたの? えっと····僕、また何かやらかした?」
「違ぇよ。あー····ヤッてばっかだとマジで身体目当てみたいだろ」
「····へ? 今更何言ってんの?」
皆は、真尋に言われた事を気にしていたらしい。『好き』と言ったお仕置をされなかったのも、その所為だったようだ。
「お仕置きってのもなんかさ、ゆいぴのこと身体で支配したいみたいだねって話してたんだよ。俺ら、そういうんじゃないし」
そういうのじゃなかったんだ····。そういう節は確実にあると思っていたから吃驚だ。
「まぁ、前から気にはなってたっつぅか····。別に中坊に言われたからじゃねぇからな。抱かなくても、お前と一緒に居れたらいいって前にも言っただろ」
「えーっと····。あのね、僕が八千代とシたいの····って、言ってもシない?」
八千代は立ち上がると無言で僕を見下ろし、無言で僕を担ぎ上げた。
「わぁっ! シ、シてくれるの?」
「シたくねぇわけじゃねぇんだよ。むしろ我慢してたっつぅのに······もうしねぇ」
「我慢なんてしなくていいのに····」
僕がぽそっと言うと、八千代は溜め息を漏らしてそっぽを向いた。
急に照れたように目を逸らす八千代は、少し顔を赤くしていて可愛い。さっきの雄みはどこへやらだ。
「ゆいぴ、俺ともシたい?」
血走った眼で僕を見るりっくん。必死なのはわかるが、まずは瞬きをしてほしい。あと、息が荒くて怖い。
「シ、シたいよ」
「じゃぁ俺にも言って? さっきの!」
本当に、りっくんは面倒臭いなぁ····。けど、必死に求められて悪い気はしない。
「えへへ。りっくんとシたい」
「んあ゙ぁ゙ぁぁぁ!!!! 俺もゆいぴとシたい♡ もう我慢なんてできないよぉ!!」
悶えるりっくんは、真尋の数倍煩い。けど、慣れれば可愛いとさえ思える。
「「結人····」」
啓吾と朔も、言ってほしいんだ。こんなに嫉妬に燃えた雄の顔をしていなかったら、2人の事も可愛いと思えたかもしれない。
「啓吾と朔はする時にね! 恥ずかしくてもう言えないよぉ····」
僕は両手で顔を覆ったまま、八千代にお風呂へと連れられた。
身体目当てだなんて、初めの頃に数度過ぎったきりだ。そんなの、皆を見ていれば分かる事なのに。
真尋の言葉を真に受けて、わざわざ気にかけてくれる皆が身体目当てなわけがないじゃないか。真尋は今度叱ってやろう。
甘い洗浄を終え、啓吾に連れられて部屋に戻ると、そのまま一緒にベッドに横になった。僕に覆いかぶさり、またキスの嵐だ。
「結人、アレ言って?」
「うー····。恥ずかしいなぁ」
僕は、啓吾の首に手を回す。グィッと抱き寄せ、耳元で小さく囁いた。
「····啓吾とね、えっちシたいな」
啓吾は僕の顎を持って、全く反応できないような激しいキスをする。そして、僕の腰を持ち上げアナルを指で拡げると、ゆっくり舌をねじ込んできた。
「ひゃぁっ!! 待って啓吾、しょんなとこ舐めちゃだめだってばぁ!」
「んー? 綺麗にしたんだろ。あと今ねぇえっちしてるから待てない」
バカだバカだとは思っていたけど、啓吾は本当におバカだ。意味がわからないし、僕もそのえっちの当事者なのだが。
満足のゆくまで堪能した啓吾。漸く挿れる気になり、僕を四つ這いにした。それから、意気揚々と僕のナカを蹂躙する。
時々、啓吾が『俺のこと好き?』と聞く。勿論、迷わず『好き』や『愛してる』と返す。すると、啓吾は満足そうに『俺も♡』と言って、イイ所を執拗く抉り続けた。
そろそろ喘ぐ余裕もなくなってきたので、息も絶え絶えに啓吾を制止する。
「啓吾··待っへ····苦し····奥゙ッ、深ぃ····」
シーツを握るので精一杯な僕は、顔を埋めたまま声を絞り出した。けれど、啓吾には届いていないようで止まってくれない。
僕が吐くと、少し声を漏らして奥を抉る強さが増した。
「啓吾、加減!」
「んぁ? ····あぁ、ごめん」
りっくんの声がようやく届き、直後にトドメと言わんばかりに最奥で射精した。
長い射精の間、おちんちんがビクンと跳ねる度に、啓吾のえっちな声が小さく聞こえる。それだけで、僕はキュンとしてイッてしまう。
啓吾はそのまま抜かずに、ゆっくりと浅い所を刺激してくれる。甘イキが止まらなくなると、朔が目の前にやってきた。
「結人、本当は2人でする時に言って欲しかったんだけどな、あんま時間ねぇから····いいか?」
首コテンで甘えてくる朔のお願いを、どうして断れようか。僕は、朔のおちんちんにキスをしながらアレを言う。
「朔とぉ··えっちシたぁい····」
「ん゙っ····」
「あのね、2人でする時も··んっ··また言うよ? らからね、しょぼんてしないれね」
「大畠、早く変われ」
「ん、どーぞ」
啓吾はにゅぽんっとおちんちんを抜き、僕を朔に明け渡した。僕のお尻を受け取った朔は、興奮を抑えながらアナルにおちんちんを馴染ませる。
「結人、挿れんぞ」
「んぅ゙っ····お゙っ··ぎぃ······」
最近、朔のおちんちんが大きくなった気がするのだが気のせいだろうか。押し拡げられる感覚と、ナカで感じる圧迫感が増したようなのだ。
しかし、そんな事を聞けるわけもなく。僕は、ひたすら朔の大きなおちんちんで奥を抉られる。
朔が奥をぐぽぐぽしていると、突然おしっこが出そうになって焦った。
「待っ····朔、おしっこ出ちゃぅ」
「ん? あぁ、ここか?」
どうやらソコらしい。ごちゅごちゅと突かれる度に溢れ出てくる。突くのを待ってもらおうと思って言ったのだが、全く伝わらなかったようだ。
何を勘違いしたのか、朔が遠慮なく突いてくれたおかげで、盛大にお漏らしをしてしまった。それでまた興奮した朔に前立腺を潰されまくった挙句、奥を少しだけ開いて大量の精液を流し込まれた。
満足そうな朔は、僕を連れてシャワーを浴びに行く。僕を抱き上げる朔が、男らしくてとてもカッコイイんだ。
お風呂から上がって、暖かいココアを啜りながら聞いてみた。
「朔、背伸びた? なんか、腕も逞しくなってない?」
「こないだの健診で背は伸びてた。確か183センチだったぞ」
「あれ? 八千代抜いた?」
「抜いてねぇ。俺も伸びてたからな。185だったわ」
「ゆいぴ、俺も伸びてたよ! 178」
「俺175。はぁ~····莉久すら抜けねぇ」
「僕······160.4」
その瞬間の静けさときたら、早朝の長閑な湖畔を彷彿とさせた。皆の僕を見る目が、聞くまでもなく『可愛い』と物語っている。
僕だって、センチ単位で伸びてみたい。
「ねぇ、どこかにぶら下がって生きてたらさ、背伸びるかな。それか、毎日誰かが手足引っ張ってくれたら伸びるかな」
「なんか····わかんないけどね、良くない伸び方しそうだからやめとこうね。ゆいぴは目標とかあるの?」
「180センチ」
「「「「あー······」」」」
皆の憐れむような目に耐えられなくなってきた。自分でも、無理なことくらいわかっている。けど、目標はそれくらいなのだ。
「180センチの結人か····抱き辛ぇな。風呂とかどうやって連れて行くんだ」
「流石に引き摺っていくしかねぇだろ。180····可愛いんか?」
「可愛さ····。そもそも180センチのゆいぴが想像できない」
「今の朔くらいだろ? 俺と莉久よりデカいし」
皆、好き放題言ってくれる。前は、大きくなっても問題ない的な事を言っていたのに。
「大丈夫だよ。そんなに伸びる予定ないから」
僕はココアを飲み干して言った。拗ねているつもりはなかったのだが、尖った唇にりっくんがキスをした。
「ゆいぴはこのままがベストだよ。こんなに抱き心地良いんだもん。おっきくなったらやだなぁ」
「······だよね」
大きくなって、母さんを守れるようになりたいと思っていた。けれど正直な話、八千代が僕だけでなく母さんも守ると言ってくれたあの時から、大きくなると言う目標は霞んでいたのだ。
あっさりと諦めた僕に、皆は逆に困惑している。面倒だから、正直に心境の変化の理由を話した。するとなぜだか、皆は嬉しそうな笑みを浮かべている。
僕が小さいままで居ることを甘受した事が、そんなに嬉しいのだろうか。
「見てみ。場野が赤くなってr──っぶぁっ」
啓吾の顔面にクッションが飛んできた。
「ゆいぴに頼られんのは嬉しいよね~。まぁ、場野がきっかけでってのが納得いかないけど」
「俺だって、結人も結人の家族も守れる男になる予定だからな。安心してていいぞ」
皆が居るから、僕が大きくならなくても大丈夫。僕がそう思えた事と、身長を諦められるくらい頼りにしているのが嬉しかったんだそうだ。
このあと、テンションのおかしくなったりっくんに激しく犯され、時間ギリギリまで八千代に酷く抱き潰された。
りっくんには挿れる前に必ず、誰が好きで誰のおちんちんが欲しいのか言わされた。一応『好き』と言ったお仕置きらしい。僕が誰のものか、再認識させるんだと言っていた。
りっくんの好きな前立腺責めがキツくて泣きじゃくっていると、めちゃくちゃ涙を吸われた。本当に気持ち悪い。けど、恍惚な表情で涙を啜るりっくんは、えっちだから好きだ。
八千代には、容赦のない“アテボリ”というヤツで、僕が『もうイきたくない』と言うまでイかされ続けた。それから、奥を焦らして真尋と同じ事をしてくる。
八千代相手だと『好き』なんて簡単に言ってしまうので、『結腸で雄汁飲みたい』だなんて恥ずかしいセリフを強要された。ただ言わせたいだけじゃないのかな。
けど、これが本当に辛かった。八千代の焦らし方は真尋みたいに甘くはない。ギリギリの寸止め付きで、僕が1番好きな抉り方をされるのだ。耐え性のない僕が例のセリフであっさりお強請りすると、八千代はキスで口を塞ぎながら奥を貫いた。
そして、結腸を限界まで抜いて射精しながら、快楽目的の『好き』を放つとどうなるのか、身体で覚えろと言われた。
息もできない、朦朧とした中で言われてもだよ····。
今回は優しめのお仕置で済んだ。反省だってしている。だけど本音を言うと、今はもうお泊まりが楽しみで仕方ない。
しかし、真尋と揉めないかという心配も拭えない。さて、どうなる事やら。
けれど、そればかりに意識をやってはいられない。だって、納骨の前にはアレがあるのだから。
楽しみ····だけではないけれど、また皆の勇姿が見られるのなら頑張れそうだ。
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