ちっこい僕は不良の場野くんのどストライクらしい

よつば 綴

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2章 覚悟の高3編

中学生のクセに

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「皆がね、真尋が僕のことを好きだって言うんだ。その····恋愛的な意味で····。ち、違うよね?」
 
 僕が不安そうに聞くと、真尋は四つ這いで僕に覆い被さり、僕の顎をクィッと持ち上げ甘い声で聞き返してきた。

「そうだよって言ったら、アイツらと別れてくれる?」

 ······なんてこった。本当に、皆の言う通りじゃないか。

「わ、別れないよ! ねぇ、本気で言ってるの? 揶揄ってるんじゃなくて?」

「信じてくれないの? ねぇ、俺のことは男として見れない?」

 悲しそうな表情を見せ、首を傾げて聞く。可愛いのに、少し色っぽく見える。

「信じ··られないし、見れないよ。いつの間にか僕より身長高くなってたし、中学に入ってからはどんどんカッコ良くなっていくなぁとは思ってたよ。けど····」

「結にぃは中学の時からミリ単位でしか伸びてないもんね。可愛い──え··ねぇ、俺のことカッコイイって思ってんの?」

「そりゃまぁ、子供の時の可愛いとは違うよね。ホント、雄くんそっくりになっちゃってさ。でもね、僕にとって真尋は、いつまでも可愛い弟みたいなんだもん····」

 あぁ、これなのだろうか。親戚のおじさん達の気持ちが、少しだけわかった気がする。
 そもそも、雄くんと父さんは全然似ていないのだ。父さんの身長は165cmで、昔はもやしっ子と呼ばれていたらしい。
 それに対し、雄くんはガテン系で身長は180cm以上ある。兄弟って、そんなに差があるものなのだろうか。朔のところなんて、兄弟揃って背が高いのに。羨ましい限りだ。
 おっと、話が逸れてしまった。今はそれどころではない。
 
 真尋は僕の目をじっと見つめ、僕の言葉と気持ちを飲み込んでいるようだった。
 そして数秒後、ゆっくりと顔を近づけてきたかと思うと、そっと唇が重なった。これって、キスじゃないか!

「んんーっ!!?」

 両手首を掴まれ、強く押さえつけられて逃げられない。思いのほか力が強い。
 いつの間にか、僕じゃ何一つ敵わなくなったんだ。そう思わされると、なんだかとても寂しい。
 僕の傷心になど気づく由もなく、真尋は遠慮なく舌を絡めてくる。中学生のクセに、なんて慣れた大人なキスをするんだ。


「ン··はぁ····結にぃ。俺は結にぃの事が好きだよ。恋愛的なこういう意味で」

「んぇ····真尋····なんでキス上手なの?」

「ねぇ、今そこじゃなくない? て言うか結にぃこそ、キスひとつでなんでそんなトロットロなの?」

「ト、トロトロじゃないもん」

「ウソ。ほっぺ熱いし、もっとシてほしそうな表情かおしてる」

 真尋は僕の頬に手を添えて、熱をまとったえっちな目で見つめてくる。僕の知らない、おとこの目だ。

「し··てないよ····」

「ねぇ結にぃ····。いい加減俺のこと、男として見てよ」

「む、無理だよぉ。真尋は可愛い弟みたいな存在で大切だけど····、皆とは違うんだもん」

「アイツらと俺の何が違うの? ····あ、年下がムリって事? だったらどうしようもないけど、そんな変わんないじゃん。俺のほうが結にぃよりおっきいし、あんま気になんなくない?」

「そういう事じゃないの! 僕の気持ちの問題だよ。あと、僕たち従兄弟同士だよ? それに僕、男が好きなわけじゃないからね」

「従兄弟って結婚できるよ。って······はぁ? 男4人も捕まえといて?」

 従兄弟って結婚できるんだ····。いや、問題はそこじゃない。
 まったく、言い方を考えてほしいものだ。僕が捕まえたわけじゃない。むしろ、僕は捕まった側だ。
 けど、結果的に捕まえてしまったと言えるのだろうか。

「それは成り行きで、僕が流されただけって言うか····。とにかく! きっかけはどうであれ、今はもう皆じゃないとダメなの。だから、ごめんね?」

「やだ」

「ヤダじゃないでしょ。とにかく降りてよ。ねぇ、真尋! んぁっ!? 待って、どこ触ってんの!!?」

 真尋は前からズボンに手を突っ込み、お尻の穴に指を当てた。思わずヒクついてしまい、指の腹に吸いつく。

「ここ、もう使われてんの?」

 ピトピトと指を離したりくっつけたり、なんだか遊んでいるようだ。

「ん、やめ····」

 マズい。流石に助けなど来るわけがない。自力でどうにかしなければ。

「ねぇ、使われてんの? どうなの?」

 真尋が苛立ち始めた。僕には、こんな風に接してきた事はないのに。
 口は悪いけれど、いつだって僕にだけは優しくて甘い。だから、眉間に皺を寄せている真尋が少し怖い。

「使われてる····」

「いっぱい?」

「い、いっぱい····」

 真尋は酷く妬いているようで、指を唾液で濡らしナカに差し込んできた。慣れた手つきで、僕のナカをこねくり回す。
 悔しいけれど上手い。中学生のクセに····。僕は、易々とイかされてしまった。 

「すっげ、女の子じゃん。俺さ、ずっとアピってたつもりだったんだけど、ヌルかったのかな。結にぃ····、俺とも最後までシてみよっか」

「真尋と··最後まで····? えっ!? しないよ! 何言ってんの。真尋のばかっ! 揶揄うのもいい加減にしてよ」

「揶揄ってないよ。俺は真剣に言ってるんだけど。あー····最後までシたらさ、俺の気持ちが本気だって信じてくれるよね」

 真尋は真剣な目で僕を見つめる。茶化したり、誤魔化したりはできない空気だ。

「信じるとか以前に、僕には恋人がいるからね。他の人とそういう事はしないんだよ」

「結にぃのそういうトコも好きだよ。ホント純粋で可愛い。けど、俺ももうなりふり構ってらんないんだよ」

 真尋がTシャツを脱ぎ捨てる。僕は、不覚にも中学生にトキメいてしまった。だって、僕とは違って筋肉質で、男らしい身体をしているんだもの。こんなの不可抗力だ。

「待って、何するつもり?」

「流石の結にぃでもわかってるでしょ。えっちだよ。····セックス」

「ひぁっ!!? しないってばぁ!」

 どうして、わざわざ耳元で言うんだ。おかげで身体が跳ねてしまったではないか。
 ここは毅然とした態度で、真尋には引き下がってもらわなくてはいけないのだ。感じている場合ではない。
 こんなの、皆にバレたらそれこそ厄介だ。なんとしても丸く収めなくては。

「結にぃさぁ、そんな騒いでていいの? 誰か来ちゃうかもよ?」

「はぅ····」 

 僕は慌てて、自ら口を手で塞いだ。チャンスと言わんばかりに僕の下半身を剥き出しにし、真尋がアナルに舌を差し込む。

「んんんっ!!! ばかぁ····どこ舐めてるのぉ」

 必死に声を抑え、真尋の頭を掴んで押しながら言う。しかし、やはり力では敵わない。
 指と舌でアナルを拡げられる。抵抗しなくちゃいけないのに、押し返す手に力が入らなくなってきた。

「ふ、ぅン····ぅいにぃ、気持ちィひぉひぃ?」

「やぁ····も、やめ····」

 入り口をぬぷぬぷされ続け、僕はまたイカされてしまった。声を抑えるのに必死で、抵抗する余裕がなかったのだ。
 真尋はまだ興奮していて、僕のおちんちんを咥えようとしている。このままでは、本当に最後まで致してしまいそうな勢いだ。

「真尋、お願い····ホントにやめて。こんなのやだよぉ」

 様々な最悪のパターンが頭を巡り、僕はまた大粒の涙を溢れさせてしまった。けれど真尋は、りっくん並に僕の涙に弱い。だからきっと、この涙も無駄にはならないはずだ。
 ····こんな情けない僕のどこがいいのだろう。

「わっ、結にぃ····泣かないで。ごめんね。もうシないから」

 ほら、真尋なんて僕一人で止められた。····本当にやめてくれたのは、ただのラッキーだけど。

 真尋は僕の服を整え、ベッドの上に正座して向かい合う。改まって見ると、真尋って思ってた以上にイケメンだったんだ。
 似たような遺伝子が混じっているとは思えない、男らしい顔つきだ。身長もあっという間に僕を抜き、今では168cmだと言っていた。
 小さい頃は、小柄な僕と双子かってくらい僕達は似てると言われていたのに。真尋は、いつからこんな感じになったのだろう。

「結にぃ、ホントにごめんね。俺、色々と焦りすぎた」

「もういいよ。それよりさ、僕のこと恋愛的な意味で好きってホントなの?」

 もしも、万が一本気なのだとしたら、真面目に返答しなくてはならない。見ず知らずの他人に告白されるのとは訳が違うのだから。

「ホントだよ。気づいたのは小2くらいの時かな。ほら、俺ら家族でキャンプに行ったことあったでしょ? あの時だよ」


 僕が小5の時、僕の家族と真尋の家族とでキャンプに行った。そこでかくれんぼをした際、僕が迷子になって真尋に見つけてもらったのだ。
 ······どこに惚れる要素があるのだろう。

「あのさ、自分で言うのもアレなんだけどね。僕って好かれる要素あるの?」

「ありまくりじゃん。可愛いし守ってあげたい。んで、さっき思ったんだけど泣かせたい」

「は··はぁぁぁっ!? なんで皆僕のこと泣かせたがるの!? ホンット意味わかんないんだけど」

「アイツらも結にぃの事泣かせんの?」

「や··うーん····全然? そんな事さぇにゃっ!?」

 真尋が僕の頬を指で挟み、僕の口を尖らせる。視線を外していたから凄く驚いた。

「にゃ、にゃに?」

「それ嘘でしょ」

 真尋は、怖いくらいニッコリ笑って言った。今日は、初めて見る真尋がいっぱいだ。目の前にいるこれは、本当に真尋なのかと疑ってしまう。

「俺の大事な結にぃがあんな素性の知れない顔だけの奴らに泣かされんの、すっごいムカつくんだけど」

 素性は知っているはずだが。さっきも皆の前で、包み隠さず説明したのに。
 頭に血が昇っていたのか、それとも放心していたのか。何にせよ、全然聞いていなかったようだ。

真尋あひぉはにゃひへ····」

 真尋は、僕のアヒルみたいに尖った口にキスをしてから手を離した。そろそろ怒ってやろうかと思う。

「当たり前みたいにキスしないで。浮気してるみたいでやだ····」

 て言うか、これってもう浮気にならないのかな。僕にそんな気がなければ大丈夫なのだろうか。考えれば考えるほど、分からなくなってきた。

「シよっか、浮気♡ て言うか、俺に乗り換えてよ」

 僕は、大きく深い溜め息を吐いた。そして、真尋に現状を説明する。いかに僕たちが愛し合い、深く信頼し合い、絆を深めているのかを。
 そして、これまで皆が何度も僕を救ってくれた事、僕の皆への想いを。勿論、いかがわしい話は伏せている。だって、中学生にできる話ではないものね。
 途中から涙目で聞いていた真尋。聞き終えると、黙って僕のスマホに手を伸ばした。

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