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2章 覚悟の高3編

お説教なんて慣れたものだよ····

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 人気ひとけのないトイレで隠れて致した僕たちは、ハプニングをものともせず再び唇を重ねる。そして、一心不乱にキスをしていた僕たちは、啓吾からの着信で現実に引き戻された。
 キスをしながら電話に出る八千代。当然、直ぐにバレて皆がやってきた。


「何ヤッてんだよ。結人のケツぐちょぐちょじゃん」

 啓吾がとても不機嫌そうに言葉を投げつける。相当イラついているご様子だ。

「ゲーセン行ったら居ねぇから焦ったんだぞ」
 
「とりあえずお風呂行くよ。ホンット場野はサル以下だね。理性って知ってる?」

 皆のお小言が止まらない。僕がちゃんと断れなかったからだ。

「ご、ごめんね? 僕が準備なんてシてきたから····」

 3人が一斉に僕を凝視する。

「してきたってお前、家で自分でシてきたのか?」

「マジかよ。え、ここで俺らとヤるつもりだったの? 今日はヤラねぇつってたじゃん」

「えっとね、万が一に備えて····」

「ゆいぴ、おいで」

 発情したりっくんが、僕の手を引いて個室に連れ込もうとする。

「待てよ莉久! ジャンケンだろ」

 珍しく啓吾が止めるのかと思ったが、そんなはずはなかった。一体どこで皆のやる気スイッチを押してしまったのだろうか。
 結局、全員とシてしまった。

 トイレである程度処理をしてもらい、お風呂でコソッと綺麗に洗う。周囲にバレないかヒヤヒヤしたが、人の少ない時間帯だったらしく何とか乗り切れた。

 僕たちはまた、露天風呂でのんびりと過ごす。ほのぼのとした時間が心地良い。いつか皆と温泉旅行に行ってみたいな、なんて思いながら雲を眺める。

「んふふ····お風呂気持ちいいねぇ。学校行事以外で皆一緒に入るの初めてだよね」

「そだねぇ。温泉旅行とか行ってさ、部屋風呂か貸切風呂でえっちしてみてぇなぁ」

「啓吾はそんなのばっかだね。けど、旅行は僕も今思ってたの。でねぇ、僕もシたいなってちょっと思ってた」

 僕と啓吾は浴槽の縁に寄りかかり、眠ってしまいそうなほどゆっくりと話す。

「ゆいぴが乗り気なの珍しいね。いつか絶対シようね。ねぇゆいぴ、今日楽しい? コラボ満喫できてる?」

「皆のおかげで予想以上に楽しいよ! ホントにありがと」

「なぁ結人、誰も居ないから膝の上来ねぇか? なんか落ち着かねぇ」

 朔が僕の隣に寄ってきて言う。肩に顎を置いてくる朔が、べらぼうに可愛い。

「わかる。あのね、僕もなんか落ち着かなかったの」

 お風呂ではいつも、皆の膝に乗せられているからだろうか。1人で座っているのは、なんだか変な感じなのだ。
 僕は朔の膝に座り、もたれかかって上体を預ける。これで、いつも通りだ。

「俺、こんな風に友達や恋人と銭湯に来ると思わなかったから、実は今日すげぇ楽しかったし嬉しかったんだ」

「僕も同じだよ。こういうのっていつも1人で来てたから、ちょっと寂しかったんだ。でも今日はね、コラボだけじゃなくって、皆とこうして来れて良かったなって思うよ」

「結人と朔ってたまにさ、なんかこう····心臓の弱いトコ抉りにくるよな」 

「めっちゃわかる。2人まとめて抱き締めたくなるんだよね」

 啓吾とりっくんが、僕と朔の何に心臓を襲われているのかはよく分からない。それよりも、僕たちを少し離れた所から見ている八千代が気になる。

「ねぇ、八千代は今楽しい?」

「んぁ? 今? ······まぁな」

 “今日”ではなく“今”という僕たちの時間の中で、八千代に独りだと感じさせる事はない。僕は、いつの間にかそんな傲慢な事を思っていた。
 だって、八千代の僕たちを眺める目が、少し前のそれとはどこか違うと感じるようになったんだもの。

「お前らとつるむまで友達っつぅのもいなかったから、こういうのも経験ねぇし要らねぇと思ってたわ」

「場野、寂しかったんだ~」

「アホか。んなもん思った事もねぇわ。まぁ、こういうんも悪くねぇとは思うようになった··な」

「ホンット場野くんは素直じゃないよな~」

 啓吾は頭を掴まれ、一瞬のうちに沈められた。暴れないでと注意して、僕たちはお風呂を出た。
 こうして、楽しかった時間に終わりが近づく。

 
 と感傷に浸る間は無かった。ゲーセンで遊んでもまだ、夕飯にはまだ早いと皆が言うので、八千代の家に行ってタコパをする事にした。朔が、またわくわくしている。
 帰りに具材を買って、沢山の荷物を持ったまま家電量販店に寄る。定期的にするならと、八千代が大きなたこ焼き器を買ってしまったのだ。
 家に着くと、それぞれ準備を始める。僕と朔は、啓吾を手伝うために台所に立つ。

 
「朔、いつもこういうのする時さ、静かにわくわくしてるよね」

「あ、それ思ってた。はしゃいでるわけじゃないんだけどな。めっちゃ目ぇキラキラさせてんの」

「そんなつもりはないんだけどな。わくわく····してなくはないけど普段通りだぞ」

「そ? まぁ、朔が楽しいなら何でもいいけどね~······で、なんで結人は卵握ってんの?」

「僕、卵なら割れるよ! ここに割ったらいいんだよね?」

「や、俺がやるからいいよ。あの変な掛け声笑っちゃうからやめ──」

「へあっ····ほあっ····」

 僕は上手に卵を割ることができた。殻も入っていないし完璧だ。

「ふはっ··なんだその掛け声····」

「めっちゃオモロイだろ? お母さん直伝だって」

「あっはは! 親子でその掛け声で割ってんの見てぇな」

 朔がこんなに声を出して笑うなんて珍しい。と言うか、初めてかもしれない。笑われたのは少し恥ずかしいけれど、それよりも得るものが大きすぎて何も言えないや。

 準備が整った時には、夕飯にいい頃合だった。啓吾が綺麗なまん丸のたこ焼きを焼いてくれる。今日は変な物を入れないで、普通に食べさせてくれるようだ。
 朔もやってみたいと言うので、啓吾に教えてもらいながら挑戦してみる。器用な朔は、なんでも一発でこなしてしまう。羨ましい限りだ。

 お腹も膨れてきた頃、明後日に行く海の話題で盛り上がった。途中、冬真と猪瀬くんの話になり、2人のデートがぎこちないまま終わった事を啓吾から聞いた。
 僕は、それなら2人も誘ったらどうかと提案した。きっと、海なら大人数の方が楽しいだろう。それに、2人がもっと恋人らしくなれるきっかけにでもなればラッキーだ。そう話すと、皆は悩んだ末に渋々了承してくれた。
 啓吾が2人に連絡をすると、快く承諾してくれた。楽しみは多い方がいい。僕は、猪瀬くんと恋バナなんかもしたいんだ。



 そして、海へ行く日がやってきた。朝早くに八千代がバイクで迎えに来て、八千代の家に連れ込まれて洗浄される。朝からやる気なのだろうか。

「ね、もうすぐ猪瀬くんたち来るんじゃないの?」

「だからだろ。邪魔なんが来る前にヤッとくんだよ」

「えぇー····。啓吾は?」

「まだ寝てんじゃねぇの? 声掛けてねぇ」

 間違いない。僕を独り占めする気だったんだ。それで、予定より1時間も早く迎えに来たのか。寝起きでバイクは、正直少し怖かった。


「大畠起こすと面倒だからな。静かにしてろよ」

 洗浄を終え、八千代が唇に人差し指を当てて言う。僕を独り占めできるとあってご機嫌なのか、普段よりも優しく甘い笑顔を見せてくれる。

「へぁぃ····」

「ふはっ、変な返事。ほら、ケツ向けろ」

「八千代····頑張って声我慢するから、優しくしてね?」

「ん゙····できっかわかんねぇけど、努力はする。ぉら、もういいからそこに手ぇつけ」

 浴室の壁に手をつき、おずおずと八千代にお尻を向ける。八千代は片手で僕のお尻を掴み、もう片方の手でおちんちんを持って押し込んでくる。
 ゆっくりと入ってくる大きなそれに、僕は声を抑えるだけで必死だった。まだ解すつもりなのか、前立腺を擦り何度かイカされる。
 僕の様子を窺いながら、奥の扉へと到達した。溢れ出るものが潮へと変わり、膝が爆笑し始める。そろそろ立っていられない。

「八千代、ベッド····ベッドでもっと奥、ちゅぉちゅぶしてぇ····」

「ん··なら一旦抜くぞ。声、我慢な」

「イぅ····んふぅ······」

「よく我慢できたな」

 八千代は、僕の頭を片手で抱える様に抱き寄せ、耳にキスをして褒めてくれた。そして、軽く体を拭いてもらう。
 拭き終えて僕が八千代の首に手を回すと、お姫様抱っこでベッドへと運んでくれた。シャワーの熱気の所為だろうか。早朝にもかかわらず暑い。なのに、密着しているのが心地よくて擦り寄ってしまう。
 僕を下ろすと、八千代は僕に覆い被さるようにして激しいキスをする。キスだけで何度イカせるつもりなのだろう。

「奥、挿れんぞ。朝飯食ったんか?」

「まだ····。らって··八千代、来るの早かったから····」

「んなら遠慮しなくていいな」

 それを優しさと呼べるのかは分からない。だが、頭を撫でて頬に手を添え僕を見つめるその瞳には、ただただ深い愛情しか感じなかった。

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