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2章 覚悟の高3編
惚気じゃなくて感想だよ
しおりを挟む痺れを切らした八千代は、冬真に核心的な質問を投げつけた。冬真が猪瀬くんを抱けるのか、もしくは猪瀬くんに抱かれるのか。
流石の冬真も、この問いには困惑している。
「や、待てよ。いきなり極論過ぎない? 俺、駿の事そういう風に見た事ないし、抱くか抱かれるかって······。いや、抱かれんのは絶対嫌だよ」
そりゃそうだ。僕だって初めはそう思っていたのだから、抱かれるものかという気持ちはよく分かる。猪瀬くんも同じ気持ちなのだ。けれど、それを打開しようと策を立てたのが今日の集まりだ。
そして、猪瀬くんが意を決して言葉を絞り出す。
「だよな。ならさ、俺の事····抱けそう?」
「あー······、ごめん。多分ムリ。お前、可愛い要素ないもん」
「だよなぁ。わかってたけどさ····。やっぱそうだよな~」
こうもハッキリ拒絶されるなんて、猪瀬くんが泣いてしまうのではないだろうか。僕だったら確実に泣いている。
抱き締めてあげたいけど、そんな事をしたら乱闘になってしまいそうだからできない。けど、あまりにも猪瀬くんが不憫だ。
「猪瀬くん、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫。案外ダメージは少ないよ。元々諦めてたんだし」
全然平気そうには見えない。苦しそうに笑う猪瀬くんに、冬真も気付いていないわけではないだろう。
この空気をどうにかしようと、啓吾が今日の目的の話へと戻す。
「あのさ、とりあえず冬真に抱かれた感想聞いてみたら? それ聞いて駿哉がやっぱムリって思ったら、そもそも成り立たない話だろ? そしたら完全に諦めれんじゃねぇ?」
「ムリってならなかったら、俺が駿を抱くの?」
「それは····、駿哉が惚れさせるか、冬真がチャレンジしてみるか。お前らの問題だろ」
「結局投げやりかよ。まぁいいや。結人の感想ってのは俺も聞いてみたい」
ついにきた。僕に飛び火してきたじゃないか。本人の前で感想を話すなんて、今度は僕が地獄を見る番なんだ。啓吾には、後でキツく文句を言ってやろう。
「言わなきゃダメ? せめて、猪瀬くんだけにしてほしいんだけどな····」
八千代なんて、聞いたらまた妬いて酷く抱かれるかもしれない。リスクが大きすぎるよ。
しかし、僕が話さないことには話が進まないだとか何とか、啓吾に上手く丸め込まれてしまった。
僕はあの夜の経緯と感想を赤裸々に述べ、ついでに普段の皆とのえっちについても少し話した。僕は、熱くなった顔を冷ますために、少しぬるくなったアイスココアを一気に飲み干す。
「レベル高すぎるわ····。結腸とかマジで怖いんだけど。イラマもできんのな。え、武居が1番凄いんだけど」
「僕? 僕、何もしてないよ?」
「えー····。うっそだろ。マジで言ってんの? 普通できねぇよ。まず5人いっぺんに相手とか意味わかんないんだけど」
やはり、ビッチだと思われたのだろうか。友達をやめるとか言われたらどうしよう····。
「ゆいぴの凄いとこはねぇ、冬真とのえっちだけじゃわかんないよ」
「冬真にはやらせてねぇ事多いしな」
「まだ何かできんの?」
「おいテメェら、結人の話はいいだろ」
八千代が怒り始めた。けれど、りっくんと啓吾は意に介さない。
「できると気持ちイイ事知ってる方が、駿哉もやる気になるかもじゃん?」
「そぅそ。神谷が猪瀬相手にやってみたくなるかもだし。あと、神谷が悔しがってる顔見たい」
りっくんの歪んだマウントの取り方には、八千代ですら呆れていた。僕はもう、恥ずかしくて顔を上げられない。それを察した八千代が、僕を膝に乗せて抱き締めてくれる。
りっくんと啓吾は、これまでシてきた事を自慢げに語る。吐いてイける事なんて、さも当たり前のように豪語するんだ。そろそろ勘弁してほしい。
「武居、マジですげぇな。俺、絶対そこまでできないよ。つぅかお前らホントに高校生かよ。どんだけ躾てんの?」
「こんくらい普通じゃない? 結人がたまたま順応性高かっただけでさ」
「順応性ってお前ら····、それでよく結人が壊れなかったよな。そういうの、女の子に絶対シできないだろ?」
「まず、シたいとも思わなかったね」
りっくんはブレないなぁ。皆、呆れて言葉を失っている。
けれど、冬真の言うことも尤もで、何故僕にはとことんやりたい放題なのだろう。ふと浮かんだ疑問を、投げかけずにはいられなかった。
「なんで女の子にはシないのに、僕にはするの?」
僕が聞くと、八千代が耳の近くで話し始めた。流石に、耳元では話さないように気をつけてくれているらしい。
「好きなヤツの色んな顔見てぇし、際限なく気持ち良くシてやりてぇんだよ。そんなん思えたんが結人だけだったって事だろ」
「そ、そうなの? んわぁ····なんか恥ずかしいなぁ」
「場野ってそんな甘々なんだ。意外だわ····」
猪瀬くんは、見慣れない八千代の穏やかさに驚いたようだ。僕に接する時は、学校でもこんな感じだったと思うんだけどな。
そんな事はさて置き、啓吾が冬真と猪瀬くんの話に戻す。僕の話を聞いて、2人の意見に変化はあるのだろうか。
「で、聞いてみてどうだった? 駿哉はなんか心境の変化とかある?」
「俺は····抱かれんのも興味は湧いたけど、怖さも増したかな。結腸とか吐いてイクとか、そこまでぶっ飛べる自信ない」
「僕ぶっ飛んでないよ? 皆が気持ちくシてくれるから、勝手にそうなっちゃっただけだもん····」
「あ~····ごめん? けどまぁ、とりあえず冬真とは今のままでいいや。どうせ、冬真も俺の事抱けないだろ?」
「たぶん····。でもそっか····駿を飼い慣らすってのもアリなのかな」
「「飼い慣らす!?」」
僕と猪瀬くんは、同時に声を上げてしまった。飼い慣らすって、また話が変わってきている。冬真も充分狂ってるじゃないか。
「冬真、猪瀬くんの事もっと真剣に考えてあげてよ。飼い慣らすってどういう事なの?」
「身体から始めていくのもアリだろ? 俺が駿を好きになるかは置いといてさ。そっから始まるナニかがあるかもしんねぇじゃん?」
冬真が何を言っているのか理解は追いつかなかったが、とりあえずチャレンジしてみるという事なのだろうか。面白がっているだけのようにも見えるが。
それにしても、飼い慣らすという言い方は良くないだろう。
「冬真、猪瀬くんのこと抱けるの?」
「え、俺抱かれんの? まだ覚悟できてないんだけど」
「ん~······駿が抱かれてみたいってんなら頑張ってみるよ。別に、駿が嫌いなわけじゃないし。けど、合わなかったらちゃんと友達に戻ろうな?」
なんだか、冬真が最低な事ばかり言っているようだが、猪瀬くんはそれでいいのだろうか。少しも猪瀬くんの気持ちを汲んでいないじゃないか。僕だったら、メンタルが粉々に叩き潰されていることだろう。
「わ、わかった。えっと····俺、何したらいい? なぁ、準備とかって何したらいいの?」
猪瀬くんが少し取り乱している。啓吾が落ち着くように諭し、ひと通り準備することを伝える。それを聞いただけで、猪瀬くんはゲッソリとしていた。
凄くわかる。僕も、初めは本当に辛かったもの。八千代が全てやってくれていたからどうにかなっていたが、初めから自分でするとなると相当ハードルが高いだろう。
「猪瀬くん、できそう?」
「や、ムリそう。色々とムリそう」
「んじゃ、教えてやっから結人の見てみるか? どんだけイイかわかったら、怖くはなくなんじゃなんじゃねぇの?」
それは、誰も予想していなかった提案だった。まさか、八千代がそんな事を言い出すだなんて、誰が予期できただろう。
「「えぇっ!?」」
当然、りっくんと啓吾が絶叫する。八千代は一体、何を考えているのだろうか。
そして、朔が居ない所でこんな事になっているなんて知られたら、また激怒させてしまいそうだ。だから僕は、何よりもまず朔を呼ぶべきだと提案した。
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