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2章 覚悟の高3編

壊れるまでって言ったのに

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 りっくんと啓吾は、僕の様子がいつもと違う事には気づいていた。ただそれは、あんな事の後だから興奮している所為だと思っているのだろう。僕はそれをわかっていて、2人の優しさに甘え続ける。

「もぅ··イケない····のにね、もっとイキたいの····。ね、もっと酷くシて?」

「結人、これ以上煽ったらマジで加減できねぇかんな」

「ゆいぴ、ホントどうしたの? 俺もう限界だよ」

 2人のピストンがさらに激しくなる。僕はりっくんにしがみつき、耳元で言う。

「りっくん、愛してるよ。りっくんの精子、んぁっ…僕の奥にぃ、いっぱい頂戴」

「んはぁっ····ムリ、イクッ····」

「啓吾の精子も、ナカに全部欲しい····ひあぁっ…いっぱいびゅーってしてぇ」

「くっそ··マジか。んっ、イクぞ····」
 
 僕の要望通り、ナカにたっぷり注いでもらった。2人のえっちな声を聴けて少し満足した僕は、ベッドにボフンッと倒れ込んだ。すると、八千代が来て僕を抱き上げた。

「八千代、は、傷開いちゃうから、シない。シたい…けど、我慢する」

「片言になってんぞ。はぁ····。シてぇんならシようぜ。俺がトばしてやるよ」

 八千代は僕の制止など聞かずに、容赦なく一気に奥までねじ込んだ。奥の扉を一息に抜き、僕はお尻で深くイッた。目がチカチカする程の衝撃を流しきれず、声も上手く出せない。

「お前、ずっと何か考えてんだろ。どうせまた、しょうもねぇコト考えてんじゃねぇの?」

 どうしてわかるのだろう。これは、言ってもいいのだろうか。怒られる予感しかしないのだが。

「僕、昂平くんに何もしてあげられなかった······」

 不思議なもので、言葉にすると感情が溢れて、一緒に涙まで溢れてきた。八千代は、僕を抱き起して強く抱き締めてくれる。

「んぇー····結人、んなコト考えてたん?」

「はぇー····。ゆいぴ、どんだけ良い子なのぉ······」

 ヘロヘロのりっくんと啓吾には、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

「んなこったろうと思ったわ。アレか? 何もできなかった自分が許せねぇとか思ってんのか」

「ぅ····ひぐっ、なんでわかるのぉ····」

「お前の考えそうな事くらいわかるわ。あんなぁ、何かしてやるばっかりが助けじゃねぇんだぞ。突き放したり、正当な罰を受けさせんのだってな、更生する為に必要だったりすんだよ」

「そ、そういうものなの····?」

「場野の言う通りだぞ。今回はアイツらの度が過ぎてたんだ。相応の罰受けさせねぇとダメだろ」

 八千代と朔に窘められ、僕の涙は少しだけ引っ込んだ。同時に、自分を責めたいような被虐心も薄れていった。

「ちょっと落ち着いたみてぇだな。どうする? まだ壊してほしいか? それとも、優しくしてやろうか?」

「八千代、優しくするって言っても、いつも激しくなるじゃない····。て言うか怪我してるんだから、もうおしまいだよ」

「は? んなの聞けるわけねぇだろ」

 八千代は再び僕のナカで暴れ始めた。イキ狂いながらもふと気づく。包帯が赤く染まっているではないか。

「やっ、八千代!? 腕、血が出て、ひあぁん」

「ん。大丈夫。お前のイッてる顔見てたら痛くねぇ」

 ダメだ。多分、出血でハイになっている。止めないと、際限なく続けてしまいそうだ。

「朔、八千代止めて。またいっぱい血が出たら、八千代が死んじゃう」

「死なねぇよ。まぁ、お前抱きながら死ねんならいいけど」

「おい場野、結人が泣くだろ。そういう冗談はやめろ」

「わりぃな。朔、止めんなよ? もう終わらせっから」

 終わらせるって、まだ全然イク気配なんてないじゃないか。僕のほうが先にトんでしまいそうだ。
 案の定、次に八千代が奥を貫いて噴いたのを最後に、僕は意識を飛ばしてしまった。


 起きたらすべて綺麗になっていて、八千代の腕も包帯が巻き直されていた。僕は、暫く皆の寝顔を眺めていた。あんなに激しい戦いがあったなんて、嘘みたいに普段通りだ。拍子抜けと言うか、現実味がないというか、兎にも角にもお腹の虫が鳴きやまない。
 けれど、時間は午前3時を回っている。勝手にコンビニになんて行ったら、間違いなく全員に怒られる。けれど、起こすのも忍びない。冷蔵庫に何もないと言っていたし、どうしたものか。

 布団の中でモゾモゾしていると、八千代が起きてしまった。

「ん····? どした? 目ぇ覚めたんか」

「あ、ごめんね。起こしちゃった····」

「いーよ。腹減ってんだろ」

 何故、すべてお見通しなのだろうか。

「な、なんでわかるの?」

「ふはっ。お前拭いてる時、めっちゃ腹鳴ってたからな」

「マジかぁ····。うわぁ、それは恥ずかしすぎるよぉ····」

 僕は、毛布で顔を覆い隠した。

「なんか食うか? ····って、なんもねぇんだったな。よし、コンビニでも行くか」

 八千代は布団から出て、そそくさと準備をする。すると、啓吾が起きた。

「ん~····? どっか行くの?」

「コンビニ。結人が目ぇ覚まして腹減ったっつぅからな。行くか?」

「行く。俺も腹減った」

 僕たちは、りっくんと朔を起こさないよう静かに出かけた。売れ残りのお弁当は種類が少なく、おにぎりも同様に選択肢がない。僕が迷っていると、啓吾がカップ麺を持ってきた。

「お前、またんなもん食うんかよ。最近カップ麺ばっか食ってねぇか?」

「楽だし美味いしいいじゃん。作んのめんどくせぇもん」

「啓吾、病気になっちゃうよ? また、うちに食べにおいでね」

「行く行く! まぁ、腕も治ったし、場野が食うんなら作るよ」

「そうだ。八千代もね、デリバリーばっかりじゃダメだよ。ちゃんと野菜も食べなきゃ」

「わーったよ」

 という事で、明日のお昼はみんなで作ることにした。スーパーが開いたら皆で買い出しだ。今はとりあえず何かお腹に入れないと。僕のお腹が絶叫しっぱなしで恥ずかしい。
 僕は悩んだ末に、お弁当とおにぎり、即席のお味噌汁にした。啓吾はカップ麺と菓子パン。甘いのと塩気が合うのだと言っていた。八千代は、僕の朝ごはんにベーコンエッグとトーストを焼いてくれるらしい。啓吾も食べたいというから、渋々人数分の材料を買っていた。

 帰り道、僕はふと疑問に思ったことを啓吾に聞いた。

「なんで啓吾も八千代の部屋で寝てたの? 自分の部屋で寝ないの?」

「え? 俺だけ自分の部屋とか寂しいじゃん」

 まぁ、ごもっともだ。啓吾の性格を考えれば不思議ではなかった。そう言えば、引っ越した時以来、啓吾の部屋には行っていない。殺風景だった部屋は、啓吾色に染められたのだろうか。

「啓吾の部屋は、家具とか買ったの?」

「んやぁ、な~んも。場野がくれたソファベッドがあったから、別に他は要らねぇかなぁって思ってさ。あれから何も変わってねぇよ」

「そうなんだ。なんか意外だな。啓吾の事だから、気分上げるためにあれこれ揃えて弄ってるんだと思ってた。そのジャージみたいなヒョウ柄で埋め尽くされてるイメージ」

「あははっ。俺のイメージがチャラ男過ぎんだよ。そこまでじゃないかんね? 金もったいねぇしな」

 啓吾が意外に倹約家だというのを忘れていた。けれどまぁ、チャラ男のイメージは払拭されることはないだろう。現に、ヒョウ柄のジャージに中は派手なTシャツ、それにサンダルなのだ。そして、へアバンドで前髪を上げている。どこからどう見ても僕の思い描くチャラ男像のまんまだ。

 部屋に戻ると、りっくんと朔はまだ寝ていた。僕たちはキッチンで、こそっと腹を満たす。こんな時間に食べる背徳感が、美味しさを底上げしてくれる。
 食べ終えると、啓吾の部屋からベランダに出て少し話した。

「なんか、凄い1日だったね。八千代は、ああいうのしょっちゅうしてたの?」

「まぁ、絡まれたらしゃーなしな。別に自分から吹っ掛けたりはしてねぇぞ」

「場野くんは不良だなぁ~。俺ら、場野とこうなってなきゃ絶対喧嘩とか縁なかったわ」

「あはは、そうだよねぇ。怖かったけどね、貴重な体験できたなぁって思う」

 なんて脳天気な事も、皆が無事だったから言えるのだろう。

「お前ら、俺の所為だとか思わねぇの?」

「「思わない」」

「今回の件は、僕だって原因のひとつだよ。だいたいねぇ、こういうのが嫌で文句言うくらいだったら付き合ってないよ」

 初めは不良と付き合うなんてロクな事がないと思っていたけど、そういうのも受け入れる覚悟で一緒に居る事を選んだのだ。今更、不満になんて思うはずがない。
 僕の言葉を聞いて、八千代は嬉しそうに微笑んだ。きっと、八千代にとって僕たちみたいな存在は稀少だったのだろう。未だに、扱いや反応に困るような素振りを見せることがある。

「八千代はさ、なんか色々負い目に感じてるのかもしれないけど、そういうの要らないからね。僕は、八千代だから好きになったんだよ」

「へへぇ~。場野、愛されてんねぇ~」

「啓吾もだからね? 啓吾だって、家の事とか思うところあるんでしょ。まだ、迷惑かけてるとか思ってそうだもんね。そんなの、誰も思ってないよ」

 啓吾は面食らったようで、返す言葉を探しているみたいだ。

「啓吾は辛かっただろうけど、そういう環境がさ、啓吾の優しさとか気が利くところに繋がってるんだったら、結果オーライだって僕は思えるんだよね。って言うと、啓吾は複雑だろうけど…」

「や~っべ。俺もめっちゃ愛されてんじゃん」

 啓吾が顔を真っ赤にしている。いつも、僕ばかり熱くされるお返しだ。
 その仕返しと言わんばかりに、啓吾の部屋に入ってから2人は、僕に沢山気持ち良いことをしてくれた。そして、気が付くと外が明るくなっていて、いつの間にか朝を迎えていた。

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