122 / 385
2章 覚悟の高3編
ラスボスはどっちだ
しおりを挟む昂平くんを煽りまくるりっくん。八千代達が来るまでの時間稼ぎなのだろうが、いくらなんでも煽りすぎだ。
そして、僕と婚約したと言うりっくんを、昂平くんは思い切り殴り倒した。
「りっくん····! 昂平くんやめて!! お願い、もう殴らないで。さっきもいっぱい殴られたの。それ以上やったら····ホントにりっくんが、し、死んじゃ····」
涙が込み上げた。想像したくもない事を言葉にすると、息が詰まって呼吸が上手くできない。視界がボヤけて、今にも溢れてしまいそうだ。
「結人くん、婚約ってホント?」
「····うん。ホントだよ。だから、僕は他の人のモノには··ならないの。どれだけ僕の事··好きでいてくれても、絶対に靡かない」
「そっか。じゃぁ仕方ないね」
諦めてくれたのだろうか。ここまでしておいて、妙にあっさりしている。りっくんに落とした昂平くんの目が、何かを企んでいるようで怖い。
「昂平、やっぱりビッチ先輩飼うの? ねぇ、もう暴れていい?」
「あ゙ぁ? 結人を飼うって何だよ」
啓吾が純平くんを睨む。純平くんは啓吾を見て、ニヤニヤと笑いながら言った。
「邪魔な奴みーんなぶっ殺して、欲しい物手に入れちゃうんだよ。雑魚2人くらい、スグ潰せるからね。んでぇ、ビッチ先輩連れて俺たちはトンズラすんの。完璧じゃない?」
「結人くんが俺の事好きになるまで、ゆっくり飼い慣らせばいいよね。身体に教えたらイケるでしょ。どうせ、アンタらもそうしたんだろ?」
「そんなわけないでしょ。確かに最初は身体からだったよ。けど、そんな理由で皆を好きになったんじゃない。僕は心から皆の事愛してるの!」
「はは、愛とか言ってる。さっぶ~い。ビッチが何言ってんだよって感じ~」
純平くんが僕を睨む。軽口を叩いたように聞こえたが、その瞳には僕への憎しみが込められているようでゾッとした。
純平くんは、昂平くんの事が本気で好きなのだろう。もしくは、独占したいのか。どちらにしても、昂平くんが執着している僕を疎ましく思っているんだ。
「純平、おいで」
純平くんは昂平くんに駆け寄り、首輪を外された。
「雑魚2人とも、好きにしていいよ」
「やった~」
純平くんが、りっくんに歩み寄る。そして、倒れているりっくんの髪を掴んで頭を持ち上げた。
「アンタがりっくん? めっちゃ可愛い顔してんね。タイプだわ~。アンタから掘ってあげるね」
「「「······ん?」」」
(掘るって、りっくんを犯すって事····だよね? 潰すって、そういう事なの!? そりゃ、精神的に再起不能になっちゃうよ····)
「待って待って待って!!? 俺ボコられるんじゃないの!? え、ボコられるほうがマシなんだけど!! ボコれよ!!!」
「あれ、元気じゃん。つーかボコれってなに。キモいんだけど。まぁそんだけ元気あったら、しっかり泣き叫べんね。楽しそ~」
正気とは思えない目をした純平くん。それを気にすることなく、僕を抱き抱えて倉庫の奥へと向かう昂平くん。
「おい、待てよ昂平! 結人何処に連れてくんだよ!? 待てって!!」
「追いかけてきたら、結人くんに酷い事するからね。チャラ男先輩も、後で純平に可愛がってもらいなよ。上手いらしいからさ。最初は痛くするだろうけど」
昂平くんは意地悪な笑みを見せ、再び歩き出す。
「ねぇ昂平くん、もうやめてよ。なんでこんな酷い事ばっかりできるの? もう、人を傷つけるのやめようよ····」
「結人くんは優しいから、ああいうのは辛いよね。ごめんね。でも、欲しい物を手に入れるには必要な事なんだよ。アイツらみたいにヌルい事してたら、大事な物なんて守れない。現にほら、結人くんは俺が手に入れたでしょ」
「僕、絶対に昂平くんを好きにならないよ。それでも、僕が欲しいの?」
「欲しいよ」
昂平くんは歩みを止め、僕をゆっくり降ろした。そして、大きな手で僕の頬を包み込み、強引に舌を絡めるキスをした。
「んっ、ふぅ····」
後ろで手を縛られているから抵抗できない。
(八千代、朔、早く来て····)
横目にりっくんの安否を確認すると、啓吾が純平くんの頭に蹴りを入れる瞬間だった。純平くんはそれを受け止め、足を引っ張って啓吾を転ばせた。
「いってぇ····。お前、どんだけイカレてんだよ。お前の相手は兄ちゃんなんだろ。2人で勝手にヨロシクヤッてろよ!」
「ん? あぁ、ビッチ先輩から聞いたの? それとこれとは別なんだよねぇ。昂平、挿れさせてくんないもん」
純平くんは啓吾に跨り、首を締めながら続けた。
「チャラ男先輩、ウルサイからアンタからヤッてあげるね。解したりしないから、痛かったら泣いて叫んでね」
ダメだ。純平くん、完全にイカレてる。どう考えたって正気じゃないよ。
そろそろ八千代と朔が突入してきてもいい頃なのに、何かあったのだろうか。急がないと、本当に啓吾とりっくんが犯されてしまう。
焦ってまた涙を浮かべた瞬間、倉庫の扉を開く重い音が響く。それは、啓吾のベルトが外された瞬間でもあった。間一髪だ。
ガリガリガララ····と、歪にヘコんだ鉄パイプを引き摺る音が倉庫内に反響する。八千代の持っているヤツだ。
それに、血が付着した警棒を持った朔。ここへ辿り着くまでに、何があったのだろうか。
「純平、楽しそうな事してんじゃねぇの。よくそんな可愛くもねぇ男に跨がれんな。気持っち悪ぃ」
「わ~ぁ、場野くんだ。なんでここに居んの? めっちゃ怖いんだけど」
「おっっせぇよっ!! 俺犯されるトコだったんだけど!! コイツさっさと退けてくんない!!?」
「うるせぇバカ大畠。テメェの身はテメェで守れつっただろ」
「見て! 縛られてんの! いいから早く助けろってぇ!」
啓吾が涙目で絶叫している。僕は、昂平くんに抱き締められながら、物陰から様子を窺う。口を強く塞がれて声を出せない。
昂平くんの手が少し震えている。予想外に八千代が登場した事で動揺しているのか、はたまた八千代のキレ具合に怯えているのか。
「おい、結人は何処だ。GPSの反応だとこの中に居るはずだろ。無事なのか」
朔が辺りを見回し、焦った様子で僕を探している。
「昂平が奥に連れてった。まだその辺にいると思う」
「おぉ····莉久、起きてたのか。動けるか?」
「無理。もうちょっと待って····」
「相当殴られたみてぇだな。イイ顔になってんじゃねぇか」
「うるせぇよ。さっさと啓吾助けてあげなよ」
「来たらチャラ男先輩のタマ潰すよ」
純平くんがとんでもない事を言ったのに、八千代は躊躇いもなく足早に歩み寄る。そして、純平くんが啓吾のタマに手をかけようとした間際、純平くんが蹴り飛ばされた。一瞬、八千代が消えたように見えたんだけど、まさかね。
その隙に、朔がりっくんと啓吾の拘束を解く。カッターなんて持って来てたんだね。さすが朔、用意周到だ。
倒れた純平くんに、八千代がすかさず歩み寄る。すると、昂平くんが僕を連れて物陰から飛び出した。
「場野! 次、純平に手ぇ出したら、結人くん傷つけるよ。つぅか外に居た連中はどうしたんだよ。2人でヤれる人数じゃないだろ」
「んふぅ、ふあぁ····」
僕は、昂平くんの指を口に押し込まれていて喋れない。
「全員潰したわ。俺が得物持って負けるわけねぇだろ。それよか昂平、今すぐその指抜けよ。じゃねぇと、マジで殺すぞ」
八千代の鋭い眼光が昂平くんを射す。八千代が放つ殺気は、昂平くんの手を震えさせるほど激甚だ。静かにキレている八千代が1番危ない。
しかし、それに動じない純平くんは、落ちていた角材を手に立ち上がった。
「あん時は身動き取れなかったからヤられたけどね。今回はちゃんと、人質って形でビッチ先輩に協力してもらってるから。負けないよ~」
完全にハイになっている様子の純平くんは、フラフラしながら八千代に角材を向けた。
11
お気に入りに追加
632
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R-18】♡喘ぎ詰め合わせ♥あほえろ短編集
夜井
BL
完結済みの短編エロのみを公開していきます。
現在公開中の作品(随時更新)
『異世界転生したら、激太触手に犯されて即堕ちしちゃった話♥』
異種姦・産卵・大量中出し・即堕ち・二輪挿し・フェラ/イラマ・ごっくん・乳首責め・結腸責め・尿道責め・トコロテン・小スカ
【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】
NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生
SNSを開設すれば即10万人フォロワー。
町を歩けばスカウトの嵐。
超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。
そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。
愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。
赤ちゃんプレイの趣味が後輩にバレました
海野
BL
赤ちゃんプレイが性癖であるという秋月祐樹は周りには一切明かさないまま店でその欲求を晴らしていた。しかしある日、後輩に店から出る所を見られてしまう。泊まらせてくれたら誰にも言わないと言われ、渋々部屋に案内したがそこで赤ちゃんのように話しかけられ…?
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる