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1章 始まりの高2編

文化祭、終わっちゃったね

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 結局、皆が僕から片時も離れなかったからか、あれから灰田高校の人は何もしてこなかった。
 そして、僕たちは後夜祭の花火を見る為に、誰も居ない校舎に忍び込み、特等席となるべく準備室へ来た。

「花火、もうすぐかな。ここからちゃんと見えるかな? へへっ、楽しみだねぇ」

「そうだねぇ。ゆいぴ、ソファに手ついて、お尻こっち向けて?」

 りっくんが僕のお尻を弄り始める。そして、啓吾に胸を弄られながら、執拗にキスで口を犯される。外なんて全く見えない。

「ん、けーご····ふぇ······」

「啓吾、ゆいぴ外見えないじゃん」

「ぉあ、ごめん。始まったら退くから」

「ゆいぴ、挿れるよ。嫌だったら言ってね」

 やっぱり、僕がどう犯されたのか聞いているんだね。八千代と同様、後ろからするのを躊躇う。けれど、上書きするかのように、あえて後ろからするんだ。

「嫌じゃないよ。後ろから、ね、好きだから、シて····」

「もう····あんま煽んないで。今日は優しくしたいから」

 りっくんが入ってくると同時に、花火が打ち上げられた。彩りに富んだ光が窓から差し込み、僕たちの情事を不規則に照らす。
 花火を見たかったはずなのに、八千代と朔のおちんちんを手で扱き、啓吾のを一心不乱にしゃぶった。僕は文字通り、皆を独り占めした。

 勿論、五十嵐に犯された事は心に深い傷を残した。けれど、今こうしていられるのは、皆に愛されている自信があるから。皆が僕を選んで、今もこうして居てくれるから。
 そう思ったら、もっともっと皆が欲しくなった。溶けて混じり合ってしまいたいくらいに。

「ん····結人、手ですんの上手くなったよな」

「そうだな。すげぇ気持ち良い。視覚的にもヤバいな」

 八千代と朔が気持ち良さそうにしてくれている。2人とも、気持ちが良いと眉間にシワが寄る。その表情かおが凄くえっちで好きだ。

「しゃぶんのも上手くなったよな。俺の好きなトコ、ちゃんと覚えくれてるもんね」

「ゆいぴは、俺のイイ所もちゃんと覚えてくれてるよ。ゆいぴからの愛情、感じるよねぇ」

「んっ、らって、みんあいも、ひもひよふあっへほひぃはや」

「あはは。結人、咥えながら喋ったら何言ってっかわかんねぇよ。あとイッちゃうって」

「あー····花火綺麗だ····な······待って?」

「ん~? 莉久、どしたの?」

 啓吾が無関心げに聞いた。

「ゆいぴが花火見れてない」

 りっくんの一言で、皆が一斉に停止した。そそくさと離れ、僕を囲むようにソファに座る。りっくんのは入ったままだけど。

「莉久、抜けよ」

「ヤダよ。動かなかったら、ゆいぴも見れるでしょ」

「八千代もりっくんも揉めないで? 僕、見えてるから良いよ」

 動かないと言いつつ、時折奥をグリッと抉る。

「んっ····あ······へへっ。花火、キレーだねぇ」

「キレーだな。なぁ結人、来年も一緒に見ような」

 八千代が僕の頭を撫でて言った。

「うん。皆で見たい。来年も、ここで一緒に見たい」

 感極まって涙が溢れたのは、花火があまりにも綺麗だったからだ。

「結人、泣くなよ~。ホント泣き虫だねぇ。あぁ~可愛いなぁ」

「花火がね、綺麗で勝手に涙出ちゃったみたい····」

「ゆいぴは心が綺麗なんだよね」

 そう言って、りっくんは後ろからぎゅっと抱き締めてくれた。その拍子に奥を抉る。

「んあっ····急に動いたらイッちゃうよぉ······」

「はは。ごめんね。花火終わるまではこのままね」

「ん····花火見たかったけど、いいよ。動いて? もっと、いっぱい気持ち良くして?」

「あはは。もう······ゆいぴ、欲しがりさんになっちゃったなぁ」

 なんて言いながら、りっくんは容赦なく突き始めた。

「再開ってことでいいかな。結人、俺のもっかい咥えて?」

「うん。朔のと八千代のもしていいの?」

「ダメって言うわけねぇだろ。無理はしなくていいからな」

 朔が僕を気遣ってくれる。本当に優しいんだから。

「腕、怠くねぇか?」

「ん、らいおーう。れひうお(大丈夫。できるよ)」
 
「結人、おっきくあーんして。莉久に合わせて、奥までいくからな」

「ふぅっ····あっ······待っ、おごっ、あ゙っ、がはっ······」

「ゆいぴ、めっちゃ締まるね····。ホント、ドMだよねぇ。苦しいの好きだもんね。啓吾、奥抉ってみて」

「ぐぇ゙っ、ゴホッ···あ゙っ、がっ、お゙ぇ゙ぇっ····」

「あー····めっちゃ締まる。奥やばいよコレ。ダメだ、イクよ。奥にぶち撒けるからね。ちゃんと飲んで、ねっ」
 
「俺のも、奥に流し込んでやるからな~。しっかり飲め、よっ、んんっ」

「ゔぅっ、ん゙ぉ゙っ····ん゙ん゙ぅーっ」

 途中から余裕がなくなって、八千代と朔のを扱けていなかった。だから、2人は僕の耳で遊んでいた。自分のを扱きながら、耳元でワザとえっちな声を漏らす。わざわざ「イクッ」と報告までしてくれた。そして、最後は僕の顔にかけて終わり。
 啓吾とりっくんには、上も下も挿れられてまるで串刺しにされているようだった。こうなってしまうと、いっぱいいっぱいで頭が真っ白になる。息が出来なくて死んでしまいそうになりながらも、それすら快感へと繋がってゆく。思考なんて止まりっぱなしだ。


 えっちが終わる頃には、花火はとっくに終わっていた。いつ終わったのかすら知らない。結局、見たのはほんの数発で、けれど僕はそれよりも美しいものを見た。
 僕を見下ろす皆の恍惚な表情が色鮮やかに照らされる。それはそれは綺麗で、停止した思考の中でぼんやりと、芸術作品を見ているような気分になった。

 こうして文化祭は、僕たちに起きた事件など露知らず、花火が散ると共に大盛況のもと幕を閉じた。
 

 
「ゆいぴ大丈夫? 帰れそう?」

「うん。だいぶ落ち着いたよ」

「塀越える時は誰かが抱えたらいいだろ」

 朔がさらっと悪いことを言う。と言うのも、僕が平静を取り戻すのを待っている間に、とっくに学校は施錠されてしまったのだ。帰るには、塀を超えて抜け出すしかない状況だ。

(僕、どんどん悪い事を経験していってるな。大丈夫かな····)

 窓から校舎の外に出る。泥棒のようにコソコソと。
 正門と裏門の方には防犯カメラがあるので、校舎の影になっている塀を超える事にした。そこの塀は僕の身長よりも少し高く、僕一人では到底越えられない。
 何か踏み台になるような物を探さなくては。そう思ってキョロキョロしていると、タタタッと走り出した八千代が、ふわっと塀を飛び越えた。
 僕が驚き口をパクパクしていると、朔が僕を抱き上げてくれた。塀を越えると、外では八千代が受け止めてくれた。
 残された3人はどうするのかと思っていたら、3人とも八千代と同じように、軽々と塀を飛び越えてきた。

「なっ、皆、なんでそんなの飛び越えられんの!?」

「え、これくらいなら······ねぇ?」

 りっくんが、申し訳なさそうに言って頬を指で掻く。

「なんだ。カッコ良かったか?」

 朔が意地悪な顔をして聞いてきた。僕は、八千代の腕に埋もれて答えた。

「カッコよすぎるよぉ····」

「ははっ。結人照れてる~」

 啓吾に揶揄われてしまったが、そんなのどうでもいいくらいカッコ良かった。あんな事ができるのは、ドラマや映画の中の人だけだと思っていた。
 この胸の高鳴りを抑えようと深呼吸をしたけど、皆の顔を見るとカッコイイ場面ばかり思い出してしまう。もう、まともに顔も見られない。

「ん? なんかお前、熱くね?」

 八千代が、僕の首を触って驚いている。

「ぅえ? そんな事ないと思うけど。皆がカッコ良かったから、すっごいドキドキしちゃって····」

「いや、お前これ熱あんだろ」

 八千代は、何度も額や頬をペタペタ触って確かめる。

「えー、そんなわけ····」

「ゆいぴ、おデコ······。······ホントだ。熱っぽいね」

「急にどうしたんだ。やっぱ、どっか調子悪かったのか?」

 朔が凄く心配そうな顔をしている。あわあわしているのが、なんだか可愛い。

「ううん。はしゃぎ過ぎて、疲れちゃったんだと思う」

「ゆいぴ、小さい時から遠足の後とか、たまに熱出してたもんね」

「うん。今日、すっごい密度高かったからかな。たぶん寝たら大丈夫だよ」

「とりあえず、送ってくわ。朔、タクシー呼んでくれ」

「おう」

 朔が呼んでくれたタクシーを待つ間、朔と啓吾が飲み物や薬、冷却シート、ゼリーとプリンなんかも近くのドラッグストアで買ってきてくれた。

「こんだけあれば、今夜は大丈夫かな。明日の朝は、俺がゆいぴの様子見に行くから。俺だったら、おばさんも変に思わないでしょ」

「そうだな。頼むわ。送んのも莉久が行け。俺らじゃ結人の母さんがビックリすんだろ」

「おっけ」

 りっくんと八千代が話しているのを、啓吾の膝の上で聞いていた。

(僕の為に、テキパキ動いてくれるの凄いな。同い歳とは思えないくらい、みんな頼りになるんだから······)

 僕だけ、本当に子供みたいで情けない。もっと、精神的に成長しなくてはと、少し焦りを感じた。

「はぁ····、文化祭終わっちゃったねぇ。最後の最後まで皆に迷惑かけちゃった····」

「なんかさ、行事が終わった時って物寂しい感じするよな。なぁ、俺らさ、結人のこと心配はしてるけど、迷惑とは思ってねぇよ。1回も思った事ねぇわ」

「そうだよ。ゆいぴはもっと迷惑掛けてくれてもいいくらい。気ぃばっか使ってさ。もっと俺らに甘えて欲しいんだけど」

「そうだよな。まだまだ甘やかしたりねぇな~」

「これ以上、甘やかされたら····、僕、ホント、ダメに······」

「結人、寝たのか? これ、冷却シート貼っとくか?」

「そうだね。朔、貼ったげて」

 りっくんが僕の前髪を上げ、朔が冷却シート貼ってくれた。

「ちべたっ······冷た、いの、気持ちぃー····」

「ふはっ。可愛いなぁ。····ゆいぴさ、“今”が幸せで大切で、失くすのが怖いんだろうね。ずっと気ぃ張ってたみたいだし」

「何も心配する事なんかねぇのにな」

 八千代に、そっと前髪を撫でられた気がした。後ろには啓吾の温もりがある。薄ぼんやりとした意識の中で、愛しい感覚が膨れ上がっていく。


 どれくらい経ったのか、タクシーが来たのでりっくんに抱えられて乗り込んだ。皆が心配そうに見送ってくれたのが、薄らと記憶にある。
 
 ぼーっとしたまま、りっくんに連れられて自室に帰った。
 僕が眠ってしまう前に着替えさせてくれて、プリンを食べさせてくれた。水分補給はこまめにするように言われて、絞り出すように返事をした。りっくんによるとこの時、熱は38度を超えていたそうだ。

 
 これは余談だけど。沢山寝て、翌日には熱も下がっていた。
 朝、りっくんが様子を見に来てくれた。学校は休めと言われたが、皆に会いたかったので行くことにした。
 皆、とても心配してくれていて、えっちな事は一切なしで過ごした。これは本当に珍しくて、大切されていると実感せざるを得ない1日だった。
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