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1章 始まりの高2編
起きちゃうんだよね
しおりを挟む僕は、鏡を見ようとトイレに駆け込んだ。教室からは近いけど、通路を渡った別棟にある利用者の少ないトイレ。本館のほうは何処も混んでいるから、空いていると思ってこっちに来た。
だが、そこには不良っぽい高校生が3人居た。堂々と煙草を吸っている。いくら人の出入りが少ない場所だからって、他校で喫煙だなんてとんでもない連中だ。
「おいおい、ここ男子トイレだぞ」
(そうだった。女装したまま男子トイレ······って、あれ?)
僕は慌ててトイレを出ようとした。何故なら、そこに居た高校生たちに、見覚えがあったからだ。
「可愛いな~。間違えて入ったのぉ? ドジっ娘かなぁ?」
「俺ら退屈しててさぁ、ちょうどいいや。相手してよ」
(あれ? 僕だって気づいてない? 化粧してるからかな。だったら····)
「や、やめてください····」
渾身の裏声だ。ここは早く逃げなくちゃ。と、思っていたら、背後から寄ってきた男がスカートの中に手を突っ込んできた。
「やぁっ····」
「んわ、可愛い声出すねぇ。やっべ、ちょっと勃ったわ~」
今のは裏声じゃないのだが、反応がおかしい。男の声に対して、可愛いとは何事か。そんなとち狂った事を言うのは彼氏達だけで充分だ。
「俺も~。これじゃこっから出れねぇじゃん。責任とってくんねぇかな~」
「なっ、やめ····」
この間、八千代に殴り飛ばされた奴だ。顎クイされて、まじまじと顔を見られた。
「あれぇ? お前、どっかで····」
(ヤバいヤバいヤバい! バレちゃう····)
「思い出した。場野の女だ。ユイトだっけ?」
「ち、チガイマス」
(片言になっちゃった····違う。バレちゃった····どうしよ)
「場野シメめに来たんだけどさ~、なっかなか1人になんねぇからタイミング探ってたんだわ。お前が捕まるなんて、ラッキ~。つーか、やっぱ女だったんじゃん。なぁ、ちょっと俺らの相手しろよ」
八千代をシメるって事は、大人数で来てるはず。ここに居るのが全部じゃないはずだ。いよいよ状況が悪い。
八千代が負けるとは思わないけど、もし僕が人質になってしまったら。八千代は無抵抗でやられてしまうだろう。それだけは回避しなくては。
しかし、3人に囲まれて逃げようがない。タバコ臭い。ガラが悪い。威圧感がありすぎて怖い。
「ホントに、僕、女の子じゃないから····やめて····ぅださ····」
「あーあ。五十嵐が女の子泣かした~」
僕のスカートに手を突っ込んで、太腿をまさぐっている男が揶揄った。八千代に怪我させられた人は、五十嵐というらしい。
「泣いたら余計に可愛いな~。よし、順番でいいだろ。俺から~」
「ひぁっ! やだっ! 待って、やだぁっ」
そう言って、五十嵐は僕を個室に連れ込んだ。残った2人は見張り役のようだ。
「おい五十嵐、口塞いどけよ。っと、ナカ出しすんなよ。次俺らも使うかんな」
「わかってるって~」
五十嵐は、僕のエプロンに入っていたハンカチを口に突っ込んだ。えらく奥まで入れられて、吐きそうだ。
「声出すなよ。痛い思いしたくなかったら、そっちに手ぇつけ」
恐怖で逆らうことができず、言われるがまま五十嵐にお尻を向けた。五十嵐は、スカートを捲ってパンツを降ろす。
「トランクスだからまさかと思ったけど、マジで男なん? はぁ~、でもお前だったらイけそ」
五十嵐の指が、ナカに入ってくる。
「お前、ケツ穴柔けぇな。締まりもやっべ。もう挿れて大丈夫か? 挿れんぞ。····っあ、キッツ」
「んふぅ····やぁ····」
お尻にあてがわれたモノの先端が、僕のナカに入った。
痛い。ローションではなく、五十嵐の唾液だけだから滑りも悪い。何より、物凄く気持ち悪い。
「あ? 何? 声出してんじゃねぇよ」
「痛っ····んぅっ、ひっ····ぅっく······」
「泣くなよ~。おー、すっげ。めっちゃ吸い込まれる~。もうちょい挿れんぞ······んぉぁ····」
おそらく、先がすっぽり入った。ギチッと、無理矢理ねじ込まれている。亀頭が大きいのか、解せていないのか、僕が拒絶しているからなのか。理由は分からないが、とにかく痛いし気持ち悪い。
窒息を防ごうと、なんとかハンカチを吐き出した。気持ちとは裏腹に、声がひとりでに漏れ零れる。
「んあっ、いぁっ······やっ、やだ····それ以上挿れないでっ。ダメっ、抜いてぇ」
「マジでケツやべぇ····ってお前、声も可愛いのな。けど、バレっとマズイから静かにしてろ。こんなトコ、見られんの嫌だろ?」
仰る通りなのだが、犯されるのも嫌だ。
「お願い、抜いて····ください。やだよぉ····お願い、します····」
恐怖と気持ち悪さで、涙が止まらない。
「ここでやめれねぇよ。うーし、奥まで挿れんぞ~」
「んうっ、あぁっ、やあぁぁっ」
「おい、五十嵐! 声ヤベェって」
見張りの奴が注意する。少し苛立っているようだ。
「嫌がってる声も可愛いなぁ。俺も早く犯してぇ~」
もう1人の見張りが、気持ち悪い事を言っている。これがまだ続くのか。何とかして逃げなくては。
どうして僕は、こうも非力なんだ。このままじゃ、八千代の足でまといだ。
「助けて····八千代····朔ぅ······」
僕がトイレに来ている事を知っているのは2人だけだ。秒で戻るって約束したのに。振り切って来ちゃったバチが当たったんだ。
「マジで彼氏なんか? 派手に校内練り歩いてんの見たぞ。あれ、お前だったんだな。アイツら今店番してんだろ? ここ来る前にチラッと見たぜ。はは。だぁからぁ、来るわけねぇだろ?」
ううん。それでも来てくれるのが、僕の彼氏たちだ。けど、だからってそれに甘えて、僕だって抵抗しないわけじゃない。頼りきりになるつもりはない!
「来てくれるもん! 僕の彼氏、バカにすんなぁっ!」
僕は、後ろ手に五十嵐を叩いてやった。無作為に振り回しただけだが、一発当たった感触がある。きっと、顔にクリーンヒットしたはずだ。
「いってぇ。可愛いなぁ。手ぇ弾かれちった~」
(手? 顔じゃないの?)
「お前の手の短さで届くわけねぇだろ。けど、反抗したからお仕置きな」
バチィィン
「ひあぁあっ」
お尻を強く平手打ちされた。ジンジンと残る痛みから、恐怖心が一気に膨れ上がる。
「痛い目見たくなかったらジッとしてろつっただろ」
両手を壁に押さえつけられ、そのままの勢いで奥まで突き上げられた。
「いぎっ····ひぅ゙っ······」
抵抗も虚しく、五十嵐はズンズン奥まで突いてくる。
***
その頃、朔と八千代は喫茶店を抜け出す為、画策していた。
「結人、遅せぇな」
「だな。見に行くか」
「つっても、このタイミングで抜けんの難しいぞ」
「1人だけならすぐ抜けれるだろ。お前行ってこい」
「いや。俺がこっち何とかするから、場野が結人探してきてくれ。何かあった時、お前のが対応できるだろ」
「わかった。じゃ、こっち頼むわ」
八千代はタイミングを見計らい、店を抜け出した。
***
『来てくれる』なんて言ったけど、他力本願すぎて情けない。僕がこっちのトイレに来ていることなんて知る由もないだろうに。人気のない所に行くなって、あれほど言われていたのに。
香上くんの時は未遂だったけど、今回は未遂じゃないんだ。ごめんなさいじゃ済まない。せめて、なんとかして自力で逃げなくては。そう思った時だった。
「あー····イきそう。なぁ、ナカで出していいだろ?」
五十嵐は、見張りの2人に聞こえないよう、耳元で囁くように聞いてきた。
「ひんっ······だ、だめに、決まってる、でしょ······」
「お前、耳元弱いん? か~わい~。敏感過ぎだろ~」
そう言って、五十嵐は僕の耳を噛んだ。
「ひあぁっ! ふっ····んっ······」
「お~····やっば。マジでイク······」
僕の嬌声を聞き、昂った五十嵐がラストスパートをかけピストンを速めた。その直後、一筋の光が射し込むのだった。
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