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1章 始まりの高2編
準備だって楽しいよ
しおりを挟む文化祭が明日に迫った今日、校内は最終準備で大忙しだ。
りっくんとは、衣装合わせやリハーサルなどで殆ど会えていない。啓吾は別の出し物の準備で教室に居ない。朔と八千代は女子に捕まり、ここぞとばかりに弄られている。
2人は普段、女子を敬遠している節があるから、接点を持てる絶好の機会だと思われているようだ。まさか、僕と付き合っているなんて夢にも思わないだろうから、ここぞとばかりに狙われているのだろう。
八千代は、自分で出来るから触るなとキレていた。だが、女子相手に手荒な抵抗もできず、僕が宥めた所為もあって、最終的に好き勝手にいじくられた。
完璧な執事に扮した2人を見て、女子と共に腰を抜かしそうになった。キラキラのエフェクトが見えてしまうくらいカッコ良い。
クラスの中でも特に背が高いから、例えコスプレ用のちゃちな燕尾服でも、他の男子とは比べ物にならないくらい本格的に見える。何よりも顔が良すぎる。
朔に至っては、髪色も相まって外国の伯爵家で働いていそうな雰囲気を醸し出している。
僕はと言うと、ゴスロリ系のメイド服を着せられ、化粧までされて完全に女の子と化してしまった。男子からも女子からも、結ちゃんとおちょくられる始末だ。
僕はその恰好のまま、職員室に書類を提出しに行くようお使いを頼まれた。完全に宣伝要因だ。となると、朔と八千代も一緒である。委員長に校内を練り歩いて来いと言われた。
書類を提出して校内を散策していると、周囲の視線が痛いくらい刺さる。女の子たちが異常な程に色めきだっている。
「八千代、よく執事やる気になったね」
「お前が見たいって言うからだろ。いつの間にか強請り方覚えやがって」
絶対に似合うと思って、しゃぶりながら上目遣いでお願いしてみたのだ。啓吾の言う事も、たまには実践してみるものだ。
「えへへ。だって、絶対カッコいいと思ったんだもん。朔も、我儘聞いてくれてありがとね」
「結人が見たいっつーから、委員長にやるって言いに行ったんだ。そん時にはもう、勝手に執事枠に入れられてた」
「あはは。そうだったんだ。女子ってなんか強いねぇ」
「俺は正直怖ぇ。圧がすげぇんだ。髪も、別に弄らなくて言いつったのに····」
「女子凄いよねぇ····。はぁ~····2人とも、やっぱり凄く似合ってるね。カッコ良すぎて、心配になっちゃうよ。ちょっと、我儘言ったの後悔してるかも」
自分で強請っておきながら、なんて言い草だと思われただろうか。それでも、予想を超えた似合いようなのだから致し方ない。
「アホか。なんも心配する事なんかねぇだろ。俺らはお前しか見えてねぇよ。つーかお前こそ、んな可愛い恰好しやがって」
「そうだぞ。見た時、可愛すぎてビビった。明日は絶対1人にさせらんねぇな」
「だな。そうだ、王子見に行こうぜ」
「その前に、準備室に行こう。もう、ちんこが耐えらんねぇ」
「え····朔どうしたの? ってなんで····!?」
やたらとくっついてくると思ったら、ボワッと広がった僕のスカートで股間を隠していたようだ。身長差的に、隠せていたかは甚だ怪しいが。
「結人が可愛すぎるからだろ」
「ははっ。俺も抱きてぇと思ってた。見た瞬間勃ったわ」
「八千代はお昼休みにシたよね。朔も口でしたでしょ?」
「お前相手だったら、いっくらでも勃つんだよ」
そして、理科準備室に連れ込まれてしまった。僕だって、2人がカッコ良すぎて抱かれたいと思っていた。とは言えなかった。
部屋に入るなり、朔がソファに座り僕を呼ぶ。僕は対面で膝の上に乗せられた。
何度もキスをしながら、スカートの中に手を忍ばせお尻を揉みしだく。後ろからは、八千代が項に吸い付き、背中のジッパーを降ろすと胸を弄り始めた。
朔の指がナカに入ってくる。お昼に十分すぎるくらい解されているから、すぐに挿れたって大丈夫だと思うのだけど。
そこは慎重な朔だ。丁寧に解すとローションをおちんちんにしっかり馴染ませ、先っちょを穴にぬちゅぬちゅと擦りつける。焦れったくて、腰をくねらせてしまう。
「ゆっくり腰降ろして、自分で挿れてみろ」
「んっ····滑って、難し····スカート邪魔だよぉ······早く、欲しいのにぃ」
「ふはっ。しょうがねぇな。ちんこ持っててやるから、そのまま腰降ろせ。ん、上手だ。あー····ナカ、うねってて気持ち良い」
「これっ、奥、当たって····すご····い····」
「お前、乳首もすげぇ感度だよな。まずこっちで1回イケよ」
「あっ、待って。八千代、ダメ。イッたら足、力抜けちゃう」
「抜けたらどうなんの?」
「抜け、たら····1番奥、まで、刺さっちゃう」
「刺さったらどうなるんだよ?」
「んぇ····っと、は、吐いちゃうかも?」
「ぁー····衣装に吐かれるのはマズイな。場野、程々にしてやれよ」
「しゃーねぇなぁ」
と、言いつつ、八千代はチクビを思い切り抓り上げた。
「ひあぁぁっっ」
「おい、場野!」
「ははっ。わりぃ」
朔と八千代が、僕が全体重をかけないよう受け止めてくれた。
朔は、僕が吐いてしまわないよう、ゆっくりと奥をグリグリ執拗に責める。ずっと、吐くか吐かないかという瀬戸際を楽しんでいるようだ。僕の嗚咽を聴いて、うっとりした表情をするのはやめて欲しい。変態感が否めない。
結局、奥を貫かれることはなく、ねじ込む手前まで押し付けて奥の部屋に射精された。
少し落ち着いてから、舞台でリハーサル中のりっくんを見に行くことにした。
王子の衣装も、実は楽しみにしていたのだ。どうせカッコいいのだろう。幼馴染の王子姿を想像して、胸を高鳴らせる日が来ようとは、人生とはわからないものだ。
はやる気持ちを抑え、体育館に入った僕たちは絶句した。
「······ねぇ。八千代、アレでしょ? 冷やかしに来たんでしょ?」
「おぉ····。そのつもりだったけど、すげぇな」
「たかが文化祭でつったらアレだけど、本気だな」
セットから衣装まで、クオリティが高すぎる。高校生の出し物とは思えないレベルだ。特に、王子の衣装が本気すぎる。それなのに、りっくんの演技があまりにも大根過ぎて全てが台無しだ。
「アイツ、やる気なさすぎねぇか?」
「相手が結人じゃねぇからだろ」
「あぁ、わかりやす過ぎんな」
「目、死んでるよ。絶対お姫様視界に入ってないでしょ、あれ」
僕たちが総じてディスっていると、りっくんが僕を見つけた。途端、姫を棺に戻して走ってきた。僕の元へ駆け寄るなり、肩をがっしりと掴んで口をパクパクさせた。
「え、ちょ、え? ゆ、ゆいぴ、何この恰好」
「言ってたでしょ? メイドだよ。衣装ちゃんとしたから、お使いがてら宣伝で練り歩いてたの。で、丁度リハーサルやってるって聞いたから、りっくん王子を見に来たんだよ。ホントにすっごいね、衣装。りっくん似合い良すぎだよぉ」
「ゆいぴは可愛過ぎだよぉ····。やだ、明日これで接客すんの?」
「それが仕事だからね」
「ダメ。それだけは許可できない」
「って言われてもねぇ。大丈夫だよ。強固なセキュリティが2人も張り付く予定らしいから」
そうなのだ。執事をやる条件として、八千代と朔が僕に時間を合わせるようにシフトを組ませたのだ。だから、当日2人は僕にべったり張り付く予定らしい。
「そう。ならまぁ····それでも気を付けてね」
「りっくんはそれより、お芝居ちゃんとしなくちゃ。大根過ぎるよ」
「だってぇ····。相手がゆいぴじゃないから、台詞に気持ちが入んないよ」
「えー····我儘すぎるでしょ····」
「そうだ! 感覚掴むために、一回姫役やってってよ。丁度良い恰好してるし」
「姫じゃないんだけど。メイドだよ? それにそんな事したら、お姫様役の人に悪いよ····」
「大丈夫だって。みんな遊びだと思うよ」
「おい、莉久。お前、マジでキスすんなよ」
「し、しないよ」
「お前、やる気だろ。ダメだ。結人、戻んぞ」
「やーだーっ! ちょっとだけ。ワンシーンだけ。最後だけ。見せ場だけやらせてよぉ」
りっくんが僕の腰を掴んで離してくれない。
「八千代、ちょっとだけ付き合った方が早く戻れそうだよ。ね? ちょっとだけって言ってるし」
「······絶対キスすんなよ」
「人前でなんかしねぇよ」
りっくんに引かれ、こんな格好で舞台に上がった。いい見世物だ。りっくんが適当に言い訳を並べ、休憩がてらという事でやらせてもらえることになった。
そっと棺に寝かされ、りっくんが王子のセリフを饒舌に奏でる。さっきとは、比べ物にならないくらい気持ちがこもっている。
休憩しながら眺めていたB組の人たちも唖然としているだろう。姫役の人からは、憎悪に満ちた目で見られている気がする。
りっくんの迫真の演技で、みんな固唾を飲んで見守っているはずだ。いよいよ、キスシーン。ホントにしない····よね。
僕の頬に手を添え、ゆっくりと顔を近づけてくる。いつもよりもドキドキしてしまうのは、人に見られているせいだろうか。
「んっ····」
目を瞑っているので、りっくんがどのくらい近づいているのかわからない。だから、息がかかった時、思わず声が小さく漏れてしまった。おそらく、りっくんにしか聞こえていないだろうけど、それが大問題だった。
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