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1章 始まりの高2編

それは守るために

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 今日は土曜日。昨日の話を聞く為に、八千代の家に集まる。それはまぁ、いつも通りなんだけど。

「詰まるところさ、お兄さんどうなの? 跡継ぎ代わってくれんの?」

 啓吾が単刀直入に聞く。何が凄いって、お兄さんとお姉さんが同席しているのだ。

「啓吾くん、アナタ良いわね。思い切りが良くて好きよ。お顔も可愛いし、お姉さんが相手してあげたいくらい」

「あざっす。けど俺──」

「だ、ダメです! あの、欲張りだって自覚はしてるんですけど、皆、僕の大切な恋人なので、ゆ、誘惑しないでくだしゃい!」

(噛んだ······)

 綺麗な女の人が好きな啓吾だもの。頭では無いとわかっていても、面と向かって誘惑されると焦ってしまう。

「あははははっ。結人くん、ごめんね。冗談よ。アナタ達の事は八千代か聞いてるから。可愛い男の子見ると、揶揄いたくなっちゃうのよ」

「ババァかよ······いってぇ」

 お姉さんのゲンコツが、八千代の脳天に落ちた。痛そうだ。

 お姉さんの話によると、お兄さんの千鶴さんが見つかったのはド田舎の山中深く。遊んだ女の人の危ない恋人に殺されないよう、逃げ隠れていたらしい。そんな事って、現実にあるんだ。というのが率直な感想で、あまりにも現実味がない。
 そのお兄さんはと言うと、お姉さんの斜め後ろで正座させられている。何故か、鎖のついた首輪で繋がれている。逃走防止の為だろうか。僕たちは、この場に居て良いのだろうか。

「千鶴、お前いい加減腹括って継げや。なんで俺がお前の尻拭いすんだよ。そもそも、俺は継ぐとか言ってねぇんだよ」

「だって、親父がオレに見切りつけたんじゃんか。オレ、自由な方がいいし」

千理せんりに謝んなさいよ。アンタが120%悪いんだから」

「千理····? って誰すか」

「あ、うちの父親ね。アタシらのボスよ」

「あ、あぁ~、なるほど。続けてください」

 啓吾が何かに尻込みしている。ヤクザという印象はないけれど、どこか過激な雰囲気があるからだろう。僕もりっくんも口を挟む事などできず、ただ見守るしかない。
 こんな状況で、ベッドを陣取って仮眠をとっている朔は、将来大物になるだろう。話がまとまったら起こしてくれと言っていた。本当に疲れているようで、それが何より心配だ。

「オレ、ボスの器じゃないだろ? 八千代が継げばいいじゃん。その方が親父も喜ぶって」

「俺が継いだら、結人と一緒に暮らせねぇだろ。親御さんが心配すんだろうが。んとに馬鹿じゃねぇの? 仮に継いだとして、その所為で結人に何かあったらどうすんだよ。んっとに頭湧いてやがんな」
 
「八千代はずっとねぇ、ずっとアンタの代わりに千理にごちゃごちゃ言われてたんだよ? アンタがそんなんだから! ちょっとは兄貴らしいトコ見せなさいよ」

「八千代は全て結人くん基準で考えるんだねぇ····。桜華は八千代中心だし。オレ、可哀想······。はぁ~、マジで無理だってぇ~。オレ、組織とかに属してると死ぬから」

「死んでから言いなさい。ホント、いい加減大人になんなさいよ! 八千代に全部押し付けたら可哀想でしょうが。八千代が可愛くないの!?」

「こんなガラの悪い大男の何処が可愛いんだよ! 桜華の目が腐ってんだろ」

「可愛いじゃない! ずーっとアタシたちの後ろついて来てたのよ!? 可愛くないわけないでしょ!」

「お前らいい加減に──」

「うるっせぇな! 寝れねぇだろ! 静かに話せねぇのか!」

 八千代が怒ろうとしたら、寝ぼけた朔が先にキレた。一同ポカンだ。朔が怒鳴るところなんて初めて見た。怒った顔の朔は、キリッとしてかっこ良かった。

「あらら。話がズレたわね。ごめんね。とにかく、八千代が跡継がなくていいように、千鶴が何とかしなさい。姉命令よ」

「桜華は横暴過ぎんだよぉ····」

「誰がアンタの女遊びのケツ拭いてやったと思ってんの?」

「······善処しますぅ」

「言ったな? まずは親父に謝りに行けよ。お袋味方につけたら、まぁなんとかなるだろ。桜華からお袋に言ってやれよ」

「いいわ。母さんにはアタシから連絡しといてあげる。千鶴、アンタ逃げんじゃないわよ。逃げたら····わかってるわね」

「桜華から逃げきれない事くらい、もうわかってるよ。わーかった。観念するから、揉めないようにもってってねぇ」

 何とも、情けない感じのお兄さんだ。

「それよりさぁ、結人くん?」

「は、はい!」

「あぁ、緊張しなくていいよ~。オレの事は、気軽に千鶴って呼んで?」

「え、っと、千鶴····さん?」

「か~わ~い~い~」

「気持ち悪いわね。ねぇ、結人くん。アタシの事は、桜華さんって呼んでね。お姉さんだなんて他人行儀じゃ寂しいから」

「ぅあ····はい。お、桜華さん、今回はその、色々と僕たちの為に······八千代の為に動いてくださって、ありがとうございます」

「なんって良い子なの····アタシが養いたいわ~」

「え、養子ですか? あの、母が寂しがるのでちょっと······」

「ん゙ん゙ん゙っ! 可愛い。八千代、アンタこんな可愛い子とよく平気で居られるわね」

「すげぇだろ。コイツの破壊力、こんなもんじゃねぇぞ」

「じゃ、それはオレと楽しんで見せてもらおっかな~」

 千鶴さんが僕に触れようとした瞬間、八千代が千鶴さんを組伏して、桜華さんが首輪を引いた。あまりの容赦の無さに、僕と啓吾とりっくんは、ただただ固まってしまった。

「あの~、今更なんだけど、昨日あれから話しなかったの? 全然、俺らへの報告って感じじゃなかったけど····」

 りっくんが聞いた。それは、僕も気になっていたところだ。
 
「喧嘩になって話になんなかったんだよ。千鶴がずっと桜華にボコられてただけでよ」

「へぇ····桜華さん強いんだねぇ。かっこいいなぁ」

「あら、強い女好き? アタシ、八千代より強いわよ」

「「「えぇっ!?」」」

 僕たちは驚いた。八千代だって相当強いと思うのだが、それ以上とは····。知る機会がこない事を祈るしかない。
 とりあえず、話がまとまったので朔を起こす。

「朔、起きて? 話終わったよ」

「ん····来い」

 寝惚けた朔に抱き寄せられ、キスをされてしまった。桜華さんたちが居るのに。

「んんーっ、んはぁっ。朔、何すんの!?」

「ん? ······あ。わりぃ。寝ボケてた」

 桜華さんと千鶴さんのニマニマした顔が戻らないまま、話のあらましを説明した。さっき、寝惚けてキレた事も話したが、全く記憶にないらしい。

「で、場野は後継がなくてよくなったらどうすんだ? 普通のトコに就職か? 進学か?」

「進学だな。大学は出ろって親父に言われてる。んで、就職は普通んトコ目指す」

「普通んトコ····そうか。じゃ、話が済んだんならお姉さん達には帰ってもらうか」

「えぇ~、もうちょっとお話しないの?」

 千鶴さんが、小さい子の様にゴネだした。

「バカなの? バカップルの邪魔すんじゃないわよ。ホント馬鹿ね。お邪魔して悪かったわね。また何かあったら連絡しなさい」
 

 ゴネた千鶴さんを、桜華さんが窘めながら首輪を引いて連れ帰った。帰り際に桜華さんは、僕たちに名刺をくれた。

「嵐みたいだったね····。僕、正直ずっとビビってたよ」

「俺もだよ。お姉さんの威圧感スゴすぎ」

 りっくんは溜め息をつき、項垂れてしまった。

「俺も、口挟む度怒られないかヒヤヒヤしたわ~」

「啓吾もりっくんも、大人しかったもんねぇ。朔が怒鳴ったのにはビックリしたけど」

「めっちゃレアなもん見たな。あれは俺もビビったわ」

「八千代、ビクってしてたもんね」

「わりぃ。俺、眠いと機嫌悪くなるみたいで」

「大丈夫だよ。怒ってる朔なんて、あんまり見ないから驚いただけだよ。怒ってる顔もカッコ良かったよ」

「····そうか。それなら良かった。場野、結人綺麗にしてきていいか?」

「朔のスイッチわかんないわ~。いつも急だよな」

「結人にかっこいいって言われたら、スイッチ入るだろ」

「······まぁ、そうね。そっか。普通だったわ」

「1人でいけるんか? 手伝うか?」

「大丈夫だ。道具は適当に使っていいか?」

「おぉ。好きに使え」

「よし、行くぞ」

 そう言うと、朔は軽々と僕を抱き上げた。

「あ、歩いて行けるよ!?」

「逃げないように、念の為だ。たまに抵抗するだろ」

 確かに、する事もある。けどそれは、僕がアイスを食べようとした時とか、ゲームをしている最中とか、タイミングが悪いからなんだけど。
 しかし、言ったところで降ろしてくれなさそうなので、観念する事にした。

 随分と手際よく洗浄してもらった。相当早く抱きたいらしい。最近、お父さんからの呼び出しだとかで、する回数が減っていたからだろうか。
 部屋に戻ると、3人が真剣な顔で話をしていた。一体どうしたのだろう。

「今さ、場野と莉久と話してたんだけどな。念の為さ、セーフワード決めとかねぇ?」

「結人の加虐心煽ってくるトコ、段々酷くなってっからな」

「そうなんだよ。結人の泣き癖と煽り癖はさぁ、耐性ある俺らでもヤバい時あるだろ?」

「セーフワード? ってなんだ?」

 朔はお尻を解し始めながら聞いた。僕も、聞きなれない言葉に、キョトンとしてしまう。

「ヤッてる最中にゆいぴが、これはホントにダメって思った時に言う言葉ね。それを言ったら、俺らは絶対すぐにやめるっていうルール」

「なるほどな。それは決めといた方がいいかもな」

「みんな、僕に何する気なの?」

 これから自分が何をされるのか、想像もつかなくて怖い。僕は朔よりも、そういう知識に乏しいらしい。

「念の為だって。で、何にする? 普段は言わねぇやつ」

「ん~······『嫌い』は?」

「ん? 嫌いって普段言わねぇの?」

 啓吾が驚いた顔で聞いた。僕、1度も言ったことないと思うんだけどな。

「僕、嫌だとは言うけど、皆に嫌いって嘘でも絶対言わないよ?」

「····そう言うとこだよ。俺らがゆいぴに我慢できなくなっちゃう原因」

「え? どういうトコ? 全然わかんないんだけど····」

「とりあえず、セーフワードは決まったな。遠慮なくヤるぞ」

 朔が僕を押し倒す。キスをしながら、さらにお尻を解してゆく。既に、充分に解れていると思うのだけれど、それでも念入りに解してくれる。そんな皆が、僕の嫌がる事なんてしないと思うんだけどな。

「結人、挿れるぞ。ん····まだキツイな。痛くねぇか?」

「大丈夫だよ。気持ちぃよ。んん゙っ····朔のが、いつもより····ふぅっ····おっきいんだよぉ」

「そうなのか? ····ちょっと溜まってたからな。加減気ぃつけるな。セーフワード、忘れるなよ」

「ん····わかった。から、早く、奥まで、欲しいよぉ」

「ったく、わかってねぇだろ」

 朔は、ねちっこく最奥をノックすると、少しだけ扉を開くように押し込む。それから何度もごちゅごちゅと叩く。入る準備をしているようだ。
 朔が、大きな手で僕の下腹部を軽く握った。

「今から、ここに挿れるからな。いいか?」

 いつもなら、聞かずに挿れるくせに。「挿れて」と言うのを待っているようだ。

「ん゙ぁ····握っちゃ、ダメ····入るの、想像したら、イッっちゃう····」

「ここ····ぐぽぐぽされんの好きだもんなぁ?」

 朔は、意地悪く強く握る。
 
「いぁっ····やっ、好きっ····だから、ちょぉだい、ぐぽぐぽするトコ、挿れてぇ」

 思い切り突き上げ、カリを引っ掛けて遊ぶ。いつもより少し深く入っている。どちゅっと入ってくる度に、嘔吐感が込み上げる。流石に、八千代のベッドで吐くわけにはいかない。

「待っ、朔っ。そぇっ、今日深ぃぃ····吐いちゃう····」

「結腸抜いて吐かなった事に、俺はびっくりしてたけどな」

 八千代が言った。吐くこと前提でしてたって事か。

「場野、吐かしてもいいか?」

「結人が嫌じゃなかったらいいけど」

「汚いでしょぉ······んぅっ····吐くのは、ヤダ····」

 朔が、耳元で囁く。

「吐くのは『嫌い』か? 俺は、結人のゲロを汚いとは思わないぞ」

「ひあぁぁっ! あっ、あ゙ぁ゙ぁっ····」

 朔も低めで良い声なのだ。皆そうなんだけど。耳元で囁く時は、特に低くてねっとりとした声を出す。絶対ワザとやってるんだと思うけど。おかげで、耳でイッてしまえるようになったのだ。
 それよりも、汚いと思わないって何?

「き、汚いよ····んっ、お゙ぁっ」

「俺も気にしないよ? ゲロイキとか、ちょっと興味ある。めっちゃ締まりそう」

「俺は勿論。ゆいぴに汚いトコなんか無いよ」

 失念していた。もっと早くに気づくべきだった。みんな、僕の洗浄をさらっとしてしまうような人たちだった。

「朔っ、ゔっ····ホントに出ちゃう····ぅえ゙っ····お゙ぇっ、ゲホッ、ん゙あ゙ぁっ」

「おー、やっば。口に挿れてぇ」

「啓吾変態だね。めっちゃわかるけど」

「お前ら、エグいな」

「場野には言われたくねぇよ。吐かせるつもりで奥突っ込んでたんだろ? 俺らと変わんねぇだろ」

「絶対場野も今、ゆいぴの口に突っ込みたいと思ってるでしょ。認めたくないけど、俺ら同類だろ」

「まぁ、俺ら結人にNGとかねぇもんな。何しても大丈夫だわ」

「場野と莉久は特に愛情が根深いっつぅか、俺と朔飛び越えた変態の域だよな」

「んだよソレ。普通だろ」

「普通だね」

「出たよ。結人に関して、お前らの普通は普通じゃねぇから。結人以外の人間で考えてみ? 感覚麻痺してんの怖いわぁ」

 また3人は馬鹿な話をしている。僕が盛大に吐瀉物にまみれているのに。とは言っても、今朝は朝ごはん食べる暇がなかったから、胃液以外に出るものは無かったのだが。心底思う、不幸中の幸いだと。
 今後もこういう事があるなら、食べるタイミングとか量を考えなくてはいけない。

「朔、も、ダメ····なんにも出ない····ずっと、ナカでイッてて····もぅ、イケない」

「大丈夫だ。ナカでならずっとイケるぞ。俺ももうイクから····あと少し頑張ってくれ」

「あーっ、やぁっ····ん゙んっ····はぁん····んぅっ」

「結人、イクぞ。奥で飲んで····んぅっ」

「んお゙ぁっ····かはっ····んゔっ、ぅ゙え゙ぇ゙···」

 僕は気を失ってしまった。八千代とりっくん、啓吾は、今日は遠慮してくれるらしい。僕の犯されっぷりを見て、無理はさせられないと思ったんだとか。やっぱり、皆優しいんだよね。
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