上 下
8 / 390
1章 始まりの高2編

男たるもの

しおりを挟む

 道すがら、場野くんの家に行く本当の目的を聞かされた。言われて見れば、2人とも昂りを抑えきれていない。僕に拒否権など無いことを悟り、背筋を冷たい汗が伝った。
 もう既に、行為に対しての嫌悪感など失っていた。それどころか、困惑と恥じらいと共に、あの快楽への期待で下半身が反応していた。


 場野くんの家にお邪魔して数分、早々に僕の洗浄が始まった。

「待って、ヤダよぅ····。ねぇ、ホントにするの? ヤリ比べなんて····あんっ」

 浴室に、僕の情けない声が反響する。慣れない刺激に、声を抑えることなんてできない。既にトロットロを通り越して、デロッデロになってしまった。
 洗浄を終えると例の如く、場野くんにお姫様抱っこでベッドに運ばれ、そっと極甘のキスをされた。

「んっ····あっ、やだ、りっくんがいるのに····」

 黙れと言わんばかりに、喉まで舌を這わせる。場野くんの舌は僕よりも長くて大きい。僕は口内を犯され始めると、呼吸ができなくなってしまう。

「そのりっくんとも今からヤんだろ。むしろ見せつけてやろうぜ。はぁーっ······殺してぇくらい嫌だけど。お前に選択肢を与えないのは、フェアじゃねぇって莉久が言うからよぉ。お前もマジでちゃんと選べよな」

 なんて、苛つきながらも場野くんは、優しく丁寧にお尻をほぐし続ける。声を必死に抑えているけど、意地悪な場野くんはイイ所ばかり擦ってくる。
 洗浄の時だって、何度イかされただろう。こんなの、我慢出来るわけないじゃないか。
 それにしても、いつ間に莉久って呼ぶようになったんだろう。いがみ合っているのか、仲が良いのか分からない。

「俺も嫌だけどね。目の前でゆいぴが俺以外の男とヤんの見るとか、ホント地獄だよ。てゆーか、俺もゆいぴのナカ綺麗にしたかった!」

「っざけんな! 嫁を他所の男に任せる旦那がどこに居んだよ」

 僕が、あんあん喘いでいる横で喧嘩している。ムードもへったくれもない。なのに、イキまくっている自分が信じられない。

「んっ、ふぇ····もう始まるのぉ? が、頑張ります」

(待てよ。て事は、僕は2人の相手をするって事だよね。これ、僕のお尻死ぬんじゃないの?)

「何も心配すんな。お前は気持ち良くなってりゃいいから」

 僕に話しかける時だけ、おそらく無意識に声色が甘くなる。そういう“特別”に気づいてしまうと、胸の高鳴りが天井なしに跳ね上がる。

 場野くんは、不安を掻き消すように、深いキスで僕を満たす。それだけで、脳が蕩けちゃうんじゃないかってくらい、ふわふわして腰が砕けてしまった。

「ゆいぴ、エロ過ぎない?」

「こいつ、こんなもんじゃねぇぞ」

「マジか。ヤバいな。俺の番まで待てないよ···」

「ふざけんな。指咥えて待ってろ。勝手に触んな」

「ひゃぁぁっ」

「おいコラ! てめっ、誰が結人の指咥えていいつったよ!?」

「あぁんっ! 場野くん、指っ····激しぃよ」

「ん。いいぞ。1回イッとけ」

「や····んんっ、ひあっ····あっ、やぁぁぁん」

 僕は、言われるがまま達してしまった。それでも、場野くんの指は、僕を休ませてはくれない。

「やだぁ····イッたからぁ····んっ、ちょっと待って····」

「今日は休みなしだ。あんま時間もねぇだろ?」

 そうだ。あんまり遅くなると、母さんが心配してしまう。少し正気を取り戻したところで、場野くんが何かをコリコリし始めた。

「やだっ、何!? それぇ····コリコリって、あぁぁっ」

「これかぁ? 気持ち良いだろ」

「うん、それ凄いよぉ····。んあぁっ、また出ちゃっ、ひぅぅん」

「あー····ゆいぴ、やっば。えっろ····」

 りっくんが僕の指を舐めるのをやめない。
 指と指の間を舐められて、くすぐったいのか気持ちいいのか分からないけど、嬌声をあげてしまった。

「やぁん! そんなとこ舐めちゃやぁっ」

「勝手してんじゃねぇぞ。コイツ余裕ねぇんだから余計な事すんな。大人しく待ってろ」

「心狭いなぁ。ほんっと彼氏ヅラ腹立つわ」

「彼氏だからな。よし、そろそろ良いか····。結人、しっかり息しろよ」

「んぇ? 息ぃ····? ふぅっ····んっ、やぁぁぁっ」

 四つ這いにさせた僕のお尻に、ガッチガチのモノをぐりぐりと押しつけて馴染ませると、この間よりも一気にずぷっと押し込まれた。
 息をしろと言われたが、挿れられただけでいっぱいいっぱいなのに、できるワケないじゃないか。こんな状態で、どうやって息をしろと言うんだ。

「ねぇゆいぴ、キスしてていい?」

「おい、キスはすんな。それは俺だけだ」

「ケチくさいこと言うなよ」

 僕に拒否権など無く、場野くんの制止も無視して、りっくんは僕の口を蹂躙し始めた。

「ゆいぴ、キス慣れてないんだよね。いっぱいいっぱいな感じが可愛い。萌え死ぬ」

「てめぇ、そのままマジで悶え死ねや。いや、後で俺が殺す」

 場野くんの、僕のお尻を鷲掴みにする指に力が入る。

「やっ、場野くん····お尻掴んじゃやだぁっ」

「悪ぃ、痛かったか?」

「ううん、気持ち良ぃ····のかな? んっ····わかんないよぉ」

「はんっ、痛いのもイイんかよ。ドMだな」

「ちがっ、違うもんっ! ドMなんかじゃ····ああぁん、ないのにぃっ」

「ぉーし、もうちょい頑張れよ。奥まで挿れんぞ····んっ」

「ん゙ぁ゙あぁぁっ····もっ、無理····そんなに奥まで、ダメだよぉ」

 場野くんのが僕の奥深くに入った。奥のダメな所まできているような感覚で、少し怖くなる。

「やんっ、激しっ····あぁああ」

 場野くんがラストスパートをかける。速いピストンの度、腰を打ち付けられる僕のお尻が波打つ。

「うーっわ、エロすぎでしょ····。」

 りっくんは僕の口を犯すのも忘れ、眉間に皺を寄せて茹でダコみたいになっている。

(りっくんこそ、凄くえっちな顔してるんだけど····)

「んっ、ふぅっ····イクぞ、結人」

「あんっ、あっ····僕も、僕も····やぁっ、イクぅぅ」

「あー····ゆいぴ、もしかしてナカでイッた? 出てないよ。んあ~~~っ····最高すぎんだろ······」

「ふぇ? うそ····僕····こんな····お尻でイッちゃうなんて····やだぁ」

「気にすんなよ。可愛かったぜ」

 場野くんは、髪をかきあげながら言う。全然嬉しくないけど、カッコイイから動悸が治まらない。

「そうだよ、ゆいぴ。すっっっごく可愛かったよ」

 僕から尊厳をペリペリと削ぎ取っていく、鬼畜2人の所為で正気に戻った。

「可愛くなくていいの! 僕は逞しくて男らしくて、カッコよくなりたいの!」

「男らしく······ねぇ」

 場野くんが憐れむような目で見てくる。

「やだ····ゆいぴが可愛くなくなるなんて耐えられない······」

 りっくんは本気で嫌がっている。
 僕だって男なんだから、カッコいいって言われてみたい。毎朝、鏡を見る度ゲンナリしている。
 小柄で筋肉がつきにくくて、女顔だし髪は猫っ毛でふわふわだし。僕の理想の男像とは正反対だ。
 僕が憧れる男のイメージは、まさに場野くんなんだけど、悔しいから絶対に教えないでおこう。

「つーかよぉ、お前の男の理想象って、俺じゃねぇの?」

「······っ!」

 心を読まれていたのかと焦って、言葉が出ずに口をパクパクさせてしまった。

「お前それ、餌に集ってくる鯉みてぇ」

 場野くんは腹を抱えて笑った。

「ゆいぴは鯉でも可愛いよ。むしろ可愛い」

 りっくんの“可愛い僕メーター”は振り切ったままらしい。僕は鯉じゃねぇわ!

「さぁ····じゃ、次は俺とだね」

 りっくんはそう言うと、いつの間にやらギンッギンにおっ勃てたモノを隠しもせず、座っていた僕を押し倒した。

「おい、ちゃんとゴムつけろよ」

「わかってるよ。当然だろ。ゆいぴを誰よりも大事にしてきたの、俺だからね。 ゆいぴ、今度は俺が悦くしてあげるからね。あ、顔隠さないでよ」

 僕に覆いかぶさり、整った顔で見下ろされて、恥ずかしくて堪らず枕で顔を隠した。が、すぐに剥ぎ取られてしまった。

「ゆいぴ、挿れていい? あーごめん、待てないや。挿れるね」

「クソッ」

 場野くんは、僕達に背を向けて煙草を吸い始めた。僕の為に、辞めたはずじゃなかったっけ?

「んっ、あっ、りっくん····はぁっ····いきなり、激し····んあぁっ」

「あぁ····ゆいぴ····んっ、ゆいぴと繋がってるなんて夢みたい。ホント可愛い····大好きだよ」

「そんなの、今言っちゃ····だめぇ····も、イッちゃう····」

「早くない? そんなに気持ち良いの? んはっ♡ 俺がいっぱいイかせてあげるね」

 場野くんの、段階を踏んで攻め入って来るのとは違い、りっくんはぐりぐりと抉るように、一気に奥まで押し込んでくる。
 場野くんのとかわらない大きさで、お腹まで苦しくて、イッてるのか何なのか自分の身体なのにわからない。それを怖いと思うのに、もっと限界を超えて気持ち良くなりたいと思う自分もいる。僕は我儘なんだろうか。

「んあっ、ひぅっ、イッちゃうよぉ····やぁぁぁん」

「俺もイクね。ゆいぴのナカでイクよ····んっあっ····んんっ」

 僕の上に倒れこんできたりっくんの重みで、うまく息ができない。

「おい、結人が苦しいだろうが。早く退け。終わったんなら離れろ。秒で離れろ」

「余韻も何も無いじゃんか····」

「場野くん······僕、動けない······」

「結人はいいんだよ。無理すんな。俺が後始末してやるから、ちょい寝てろ」

「ふぇ~····うん、ありがと······」

 僕はそこで事切れた。いや、眠りに落ちた。


***


 場野と莉久は、文句を言い合いながらも片付けを急いだ。

「ゆいぴ、20分で起こさないと」

「わーってるよ。帰らさねぇとだろ。結人は俺がやるから、お前ベッドやれよ」

「だーっ、偉っそうに····なんかムカつくけどわかったよ! 俺もゆいぴ綺麗にしたかった!」

「うるっせぇな。結人が起きんだろ。静かにちゃっちゃとやれよ」

「ほんっとムカつく····」

 2人はテキパキと動き、ものの数分で完璧に片付け終えた。結人を起こすまで、あと十数分──。

しおりを挟む
感想 155

あなたにおすすめの小説

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!? ※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。 いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。 しかしまだ問題が残っていた。 その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。 果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか? また、恋の行方は如何に。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...