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22. 反故
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夜、昨日と同じく背後から抱え込まれる形で目を閉じていると、リュカは赤鬼の手が下肢をまさぐっているのに気がついた。驚いた彼は、反射的に蘇芳の手を渾身の力でつねった。
「痛ってえな…」
不満げな声が背後から聞こえてくる。文句を言いたいのはこっちだ、とリュカは赤鬼を振り返った。
「添い寝するだけって言ったじゃん!」
「しょうがねえだろ。溜まってんだよ。お前も健全な雄なら、分かるだろ?」
憤慨するリュカに対し、蘇芳は全く悪びれる様子がない。生理現象だと、むしろ開き直っている。セックスはしない、と約束した翌日にこれだ。開いた口がふさがらず呆然とする少年だったが、股間をまさぐる手が現実へと引き戻す。
寝間着越しに陰茎を揉まれ、少年は体を縮こまらせた。手酷く犯された時の記憶が脳裏によぎり、恐怖で全身が硬直する。
「…リュカ、前みたいに酷くしねえ。怖いことも乱暴なこともしねえ。気持ちいいことだけだ。約束する」
リュカの緊張が伝わったのか、耳元で囁かれる声は酷く優しい。少年は赤鬼に見られないように、きゅっと唇を噛んだ。これまでに二度蘇芳に抱かれているが、そのどちらもあまり思い出したくない記憶だ。本音を言えば、あんな思いをするくらいならば一生禁欲生活を送ってもいいと思うくらいだ。
だが、今日は高額な菓子を買ってもらった。蘇芳は添い寝の対価だと言うが、あまりにも見合わないとリュカは思っている。自分の盗品を売った金額を差し引いてもらったが、どれほど相殺できたのかはわからない。リュカは少し、引け目を感じていた。自分が体を差し出して、少しの間我慢をすれば、胸の内にくすぶる罪悪感をなくせるかもしれない。
「…絶対?」
「ああ」
「ぜ、絶対に絶対だからな!もし酷くしたら、もう二度と蘇芳とはしないからな!?」
布団に顔を埋め、声を絞り出す。思いがけず声が震えていたのに、気づかれただろうかと心配になる。
「分かってるって」
穏やかな声音と共に、布団をきつく握りしめた手に大きな手が覆いかぶさる。首筋に唇が触れるのを感じて、リュカは肩を竦めた。だが蘇芳は構わず、少年の首筋に口づけを落とした。くすぐったいような感覚に、リュカが身をよじらせる。
「おい、逃げんな」
「っんぅ…!」
赤鬼はうつ伏せになろうとする少年の腕を掴み、仰向けに転がした。覆いかぶさり、小さな唇に己のそれを重ねる。がちがちに固まっているリュカの緊張を解くように、優しく唇を啄む。荒々しい口づけばかりを受けてきたのに、一転して柔らかいそれに少年は内心驚いた。穏やかな口づけを案外嫌だとは思わなくて、リュカは体から力が抜けていくのが分かった。
「…ふ、う…」
薄く口を開けば、舌が侵入してくる。歯列や口蓋を舐められ、口の中を舌でいっぱいにされてしまう。舌を吸われる度に溢れ出る唾液を、赤鬼が嚥下する。リュカも流しこまれる彼の唾液を飲みこんだ。蘇芳の巧みな舌使いが気持ち良くて思考が鈍っていく。
「にぎゃ…っ」
口づけの最中に、寝間着の上から体をまさぐられたかと思えば、乳首を指で引っ張られた。突然のことに体がびくりと震える。その拍子に口が離れてしまい、変な声が漏れてしまった。
「何だ、その啼き声」
「んン…っ」
蘇芳は咽喉を鳴らして笑いながら、再びリュカの口を塞いだ。その間も指で乳首を摘ままれたままだ。緩急をつけて触られる度に、意思に反して体がびくびくと反応してしまう。そのうち寝間着は脱がされ、素肌が晒される。
長い口づけと執拗な乳首の弄りに焦れて、リュカは蘇芳の胸板を拳で何度も殴った。
「何だよ」
「唇ふやける!乳首もげる…っ」
「ムードねえなあ」
赤鬼を見上げて、少年は訴えた。濃厚なキスのせいで呼吸は乱れ、胸が大きく上下している。リュカの言葉に、蘇芳は柳眉を片方だけ跳ね上げた。その唇はどちらのものか分からない唾液で濡れている。赤鬼は不満そうだったが、次の瞬間にはけろりとした表情でリュカの胸元に顔を埋めた。
体のあちこちに蘇芳の唇が降る。肌を吸われる度に聞こえるリップ音が、リュカの羞恥を煽る。
「そ、それ嫌だっ」
「あ?何が嫌なんだよ。気持ちいいだろ」
「くすぐったいんだよ…!」
嫌だと伝えてるのに、蘇芳は構わず腹部に口づけて鬱血痕を残している。その光景が酷く卑猥に見えて、リュカは視線を逸らした。
「嘘つけ。じゃあ何で勃ってんだよ」
「ひう…っ」
蘇芳の大きな手が局部を掴む。
「ち、ちが…っぁう!」
「違う?気持ちよくなくてこんなになるわけねえだろうが」
リュカは慌てて否定したが、雄として一番感じる部分を強弱をつけて揉まれ、たまらず喘いだ。絶妙な刺激に陰茎は萎えるどころか、どんどん硬度と大きさを増していく。大きな体に覆いかぶさられているせいで、手から逃れようとしてもそれは叶わない。蘇芳の声には呆れが混じっていた。
「俺が嘘を吐いたことを散々責めた癖に、自分は棚上げすんのか?」
「うぐ…」
強い光をたたえた瞳に至近距離で真っ直ぐに見つめられ、リュカは返答に窮した。蘇芳の言うことはもっともで、何も言い返せない。だが別に怒っているわけではなく、ただ純粋に疑問に思っているだけのようだ。
「気持ちいいのはおかしなことでも恥ずかしいことでもねえ。快楽に身を任せて思う存分感じてろ」
まるで諭すようにそう言われ、唇を啄まれる。頭を撫でる手も至極優しかった。唇を貪られながら、最後の砦である下着も脱がされ、途端に心もとない気分に陥る。
初夜は媚薬と化した酒のせいで、二度目は恐怖に囚われていたせいで羞恥を感じる暇も余裕もなかった。だが今夜は違う。意識がはっきりとした状態で、かつ自分も承諾した上で性行為を致すのだ。戸惑いしかなくて、どうすればいいのかわからない。
「は、ぁ…」
唾液が互いの唇を繋ぐほどに深いキスを終えると、蘇芳は体を下に移動させた。反り勃った陰茎に息がかかるのを感じたかと思うと、突如生温かい感触に見舞われた。何が起こっているのか確認しようと顔を上げて、リュカは目を見開いた。
少年の屹立は、蘇芳の口の中に収まっていた。
「な、何してるんだよ!?」
リュカは慌てて体を起こそうとしたが、赤鬼の手によって体を押さえつけられた。赤い瞳がこちらを見つめたまま、亀頭を吸い上げる。途端襲い来る強い快感に悲鳴のような声が出かけたが、すんでのところで飲みこんだ。
変な声が漏れないように、両手で口を塞ぐ。
「リュカ、声抑えんな。声出せ」
「…ぁ、ゃだ…っ」
咎める声と共に手を外されてしまい、声をせき止めるものがなくなってしまう。しかも、手首を掴まれて口を覆えないようにされてしまった。
「うぁ、あ…!」
顔を逸らしても、蘇芳が自分の性器を咥えているのが視界の端に見える。目をつぶると感覚が研ぎ澄まされてしまって、しゃぶっている音が大きく聞こえる気がした。じゅぷじゅぷと卑猥な音を立てられ、羞恥のあまりリュカの顔は真っ赤に染まっていた。
「っぁ、ん、…んン…っ」
温かい粘膜に包まれ、溢れ出る先走りごと吸われて、脳がとろけそうになる。先走りを嚥下する喉の振動すら気持ちが良い。尿道や嵩の張った部分を舌先で丹念に弄られ、その度に陸に打ち上げられた魚のように腰が跳ねてしまう。羞恥と快楽が入り混じって、頭の中はもうどろどろだ。ぞわぞわとしたものが背筋を走って、リュカはぎくりとした。
「…す、ぉ…蘇芳っ、…くち、口離して…出そう…っ!」
少年の訴えに赤鬼はちらりと視線を寄こしたのみで、特に気にする様子はない。口淫を止めるどころか、むしろ出せと言わんばかりに尿道を強く吸い上げてくる。
一向に口を離そうとしない蘇芳に、リュカは信じられないとばかりに目を見開いた。掴まれた手首を振りほどこうにも、圧倒的な力の差でびくともしない。
「…ぃや、ァ、あ゛…ーっ!」
抵抗も虚しく、リュカは蘇芳の口内で射精する羽目になった。腰が浮き上がって、赤鬼の顔に性器を押しつける形になってしまう。射精が終わると全身が倦怠感に包まれた。強い快感に目からは涙が流れ、余韻で足の先までじんじんと痺れている。
蘇芳が口内に出された精液を躊躇いもなく飲み込んだのがわかって、恥ずかしくてたまらない。だが同時にやっと終わった、と安堵した。
「…ひっ!?」
だらりと全身から力を抜いた瞬間、性器を襲う刺激に少年は目を丸くした。射精したにも関わらず、今だに蘇芳に吸いつかれている。
「ぁ、な、何で…!?俺、もぅっ、イった、ぁ…っ!」
リュカは涙にまみれた目を大きく見開いた。蘇芳はまたもこちらを一瞥するのみで何も言わない。達したことでより感度の増した先端を舌先でちらちろと舐められただけで、背中が反る程の快感が走る。少年は足を動かして暴れるが、膝裏を掴まれて抵抗はあっさりと封じられてしまった。拘束されていた手首は解放されたが、どうすることもできない。
「…や、ゃだ…って…!俺の、…ちんこ、…溶けるっ…!」
「溶けてもちゃんと飲んでやるよ。心配すんな」
そういうことじゃない!俺の心配はそこじゃない!
笑いながらも性器を舐め続けてやめる気配のない蘇芳に、リュカは怒りを覚えつつも、もたらされる快感に体を震わせることしかできなかった。
「痛ってえな…」
不満げな声が背後から聞こえてくる。文句を言いたいのはこっちだ、とリュカは赤鬼を振り返った。
「添い寝するだけって言ったじゃん!」
「しょうがねえだろ。溜まってんだよ。お前も健全な雄なら、分かるだろ?」
憤慨するリュカに対し、蘇芳は全く悪びれる様子がない。生理現象だと、むしろ開き直っている。セックスはしない、と約束した翌日にこれだ。開いた口がふさがらず呆然とする少年だったが、股間をまさぐる手が現実へと引き戻す。
寝間着越しに陰茎を揉まれ、少年は体を縮こまらせた。手酷く犯された時の記憶が脳裏によぎり、恐怖で全身が硬直する。
「…リュカ、前みたいに酷くしねえ。怖いことも乱暴なこともしねえ。気持ちいいことだけだ。約束する」
リュカの緊張が伝わったのか、耳元で囁かれる声は酷く優しい。少年は赤鬼に見られないように、きゅっと唇を噛んだ。これまでに二度蘇芳に抱かれているが、そのどちらもあまり思い出したくない記憶だ。本音を言えば、あんな思いをするくらいならば一生禁欲生活を送ってもいいと思うくらいだ。
だが、今日は高額な菓子を買ってもらった。蘇芳は添い寝の対価だと言うが、あまりにも見合わないとリュカは思っている。自分の盗品を売った金額を差し引いてもらったが、どれほど相殺できたのかはわからない。リュカは少し、引け目を感じていた。自分が体を差し出して、少しの間我慢をすれば、胸の内にくすぶる罪悪感をなくせるかもしれない。
「…絶対?」
「ああ」
「ぜ、絶対に絶対だからな!もし酷くしたら、もう二度と蘇芳とはしないからな!?」
布団に顔を埋め、声を絞り出す。思いがけず声が震えていたのに、気づかれただろうかと心配になる。
「分かってるって」
穏やかな声音と共に、布団をきつく握りしめた手に大きな手が覆いかぶさる。首筋に唇が触れるのを感じて、リュカは肩を竦めた。だが蘇芳は構わず、少年の首筋に口づけを落とした。くすぐったいような感覚に、リュカが身をよじらせる。
「おい、逃げんな」
「っんぅ…!」
赤鬼はうつ伏せになろうとする少年の腕を掴み、仰向けに転がした。覆いかぶさり、小さな唇に己のそれを重ねる。がちがちに固まっているリュカの緊張を解くように、優しく唇を啄む。荒々しい口づけばかりを受けてきたのに、一転して柔らかいそれに少年は内心驚いた。穏やかな口づけを案外嫌だとは思わなくて、リュカは体から力が抜けていくのが分かった。
「…ふ、う…」
薄く口を開けば、舌が侵入してくる。歯列や口蓋を舐められ、口の中を舌でいっぱいにされてしまう。舌を吸われる度に溢れ出る唾液を、赤鬼が嚥下する。リュカも流しこまれる彼の唾液を飲みこんだ。蘇芳の巧みな舌使いが気持ち良くて思考が鈍っていく。
「にぎゃ…っ」
口づけの最中に、寝間着の上から体をまさぐられたかと思えば、乳首を指で引っ張られた。突然のことに体がびくりと震える。その拍子に口が離れてしまい、変な声が漏れてしまった。
「何だ、その啼き声」
「んン…っ」
蘇芳は咽喉を鳴らして笑いながら、再びリュカの口を塞いだ。その間も指で乳首を摘ままれたままだ。緩急をつけて触られる度に、意思に反して体がびくびくと反応してしまう。そのうち寝間着は脱がされ、素肌が晒される。
長い口づけと執拗な乳首の弄りに焦れて、リュカは蘇芳の胸板を拳で何度も殴った。
「何だよ」
「唇ふやける!乳首もげる…っ」
「ムードねえなあ」
赤鬼を見上げて、少年は訴えた。濃厚なキスのせいで呼吸は乱れ、胸が大きく上下している。リュカの言葉に、蘇芳は柳眉を片方だけ跳ね上げた。その唇はどちらのものか分からない唾液で濡れている。赤鬼は不満そうだったが、次の瞬間にはけろりとした表情でリュカの胸元に顔を埋めた。
体のあちこちに蘇芳の唇が降る。肌を吸われる度に聞こえるリップ音が、リュカの羞恥を煽る。
「そ、それ嫌だっ」
「あ?何が嫌なんだよ。気持ちいいだろ」
「くすぐったいんだよ…!」
嫌だと伝えてるのに、蘇芳は構わず腹部に口づけて鬱血痕を残している。その光景が酷く卑猥に見えて、リュカは視線を逸らした。
「嘘つけ。じゃあ何で勃ってんだよ」
「ひう…っ」
蘇芳の大きな手が局部を掴む。
「ち、ちが…っぁう!」
「違う?気持ちよくなくてこんなになるわけねえだろうが」
リュカは慌てて否定したが、雄として一番感じる部分を強弱をつけて揉まれ、たまらず喘いだ。絶妙な刺激に陰茎は萎えるどころか、どんどん硬度と大きさを増していく。大きな体に覆いかぶさられているせいで、手から逃れようとしてもそれは叶わない。蘇芳の声には呆れが混じっていた。
「俺が嘘を吐いたことを散々責めた癖に、自分は棚上げすんのか?」
「うぐ…」
強い光をたたえた瞳に至近距離で真っ直ぐに見つめられ、リュカは返答に窮した。蘇芳の言うことはもっともで、何も言い返せない。だが別に怒っているわけではなく、ただ純粋に疑問に思っているだけのようだ。
「気持ちいいのはおかしなことでも恥ずかしいことでもねえ。快楽に身を任せて思う存分感じてろ」
まるで諭すようにそう言われ、唇を啄まれる。頭を撫でる手も至極優しかった。唇を貪られながら、最後の砦である下着も脱がされ、途端に心もとない気分に陥る。
初夜は媚薬と化した酒のせいで、二度目は恐怖に囚われていたせいで羞恥を感じる暇も余裕もなかった。だが今夜は違う。意識がはっきりとした状態で、かつ自分も承諾した上で性行為を致すのだ。戸惑いしかなくて、どうすればいいのかわからない。
「は、ぁ…」
唾液が互いの唇を繋ぐほどに深いキスを終えると、蘇芳は体を下に移動させた。反り勃った陰茎に息がかかるのを感じたかと思うと、突如生温かい感触に見舞われた。何が起こっているのか確認しようと顔を上げて、リュカは目を見開いた。
少年の屹立は、蘇芳の口の中に収まっていた。
「な、何してるんだよ!?」
リュカは慌てて体を起こそうとしたが、赤鬼の手によって体を押さえつけられた。赤い瞳がこちらを見つめたまま、亀頭を吸い上げる。途端襲い来る強い快感に悲鳴のような声が出かけたが、すんでのところで飲みこんだ。
変な声が漏れないように、両手で口を塞ぐ。
「リュカ、声抑えんな。声出せ」
「…ぁ、ゃだ…っ」
咎める声と共に手を外されてしまい、声をせき止めるものがなくなってしまう。しかも、手首を掴まれて口を覆えないようにされてしまった。
「うぁ、あ…!」
顔を逸らしても、蘇芳が自分の性器を咥えているのが視界の端に見える。目をつぶると感覚が研ぎ澄まされてしまって、しゃぶっている音が大きく聞こえる気がした。じゅぷじゅぷと卑猥な音を立てられ、羞恥のあまりリュカの顔は真っ赤に染まっていた。
「っぁ、ん、…んン…っ」
温かい粘膜に包まれ、溢れ出る先走りごと吸われて、脳がとろけそうになる。先走りを嚥下する喉の振動すら気持ちが良い。尿道や嵩の張った部分を舌先で丹念に弄られ、その度に陸に打ち上げられた魚のように腰が跳ねてしまう。羞恥と快楽が入り混じって、頭の中はもうどろどろだ。ぞわぞわとしたものが背筋を走って、リュカはぎくりとした。
「…す、ぉ…蘇芳っ、…くち、口離して…出そう…っ!」
少年の訴えに赤鬼はちらりと視線を寄こしたのみで、特に気にする様子はない。口淫を止めるどころか、むしろ出せと言わんばかりに尿道を強く吸い上げてくる。
一向に口を離そうとしない蘇芳に、リュカは信じられないとばかりに目を見開いた。掴まれた手首を振りほどこうにも、圧倒的な力の差でびくともしない。
「…ぃや、ァ、あ゛…ーっ!」
抵抗も虚しく、リュカは蘇芳の口内で射精する羽目になった。腰が浮き上がって、赤鬼の顔に性器を押しつける形になってしまう。射精が終わると全身が倦怠感に包まれた。強い快感に目からは涙が流れ、余韻で足の先までじんじんと痺れている。
蘇芳が口内に出された精液を躊躇いもなく飲み込んだのがわかって、恥ずかしくてたまらない。だが同時にやっと終わった、と安堵した。
「…ひっ!?」
だらりと全身から力を抜いた瞬間、性器を襲う刺激に少年は目を丸くした。射精したにも関わらず、今だに蘇芳に吸いつかれている。
「ぁ、な、何で…!?俺、もぅっ、イった、ぁ…っ!」
リュカは涙にまみれた目を大きく見開いた。蘇芳はまたもこちらを一瞥するのみで何も言わない。達したことでより感度の増した先端を舌先でちらちろと舐められただけで、背中が反る程の快感が走る。少年は足を動かして暴れるが、膝裏を掴まれて抵抗はあっさりと封じられてしまった。拘束されていた手首は解放されたが、どうすることもできない。
「…や、ゃだ…って…!俺の、…ちんこ、…溶けるっ…!」
「溶けてもちゃんと飲んでやるよ。心配すんな」
そういうことじゃない!俺の心配はそこじゃない!
笑いながらも性器を舐め続けてやめる気配のない蘇芳に、リュカは怒りを覚えつつも、もたらされる快感に体を震わせることしかできなかった。
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