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14. 嘘吐き
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翌日も、リュカは池へ向かった。蘇芳が部屋にいるのを、セキシが忙しそうに仕事をこなしているのをきちんと目視した上で、こっそりと屋敷を出た。蘇芳からはもう行くなと言われているが、了承などしていないし、言いつけを守る気もなかった。納得がいかなかったからだ。
彼は青藍が何かしてくるのではないかと警戒を露にしていたが、リュカはそうは思わなかった。蘇芳が憎いあまりに、その伴侶であるリュカのことも気に喰わないというのであれば、少年を助けたりなどしない。無様に鯉に指を噛まれている人間のことなど、見捨てておけばいい。もしリュカが池に引きずり込まれて溺死でもしようものなら、それをネタに蘇芳を公然と批判できるのだ。なのにそれをしなかったということは、青藍は悪い鬼ではないのではとリュカは思っていた。それに、池にいつでも来ていいとも言ってくれた。
それに蘇芳の言う、主の姿を一目見てみたいという理由もあった。鯉であれなのだ。主というからにはさぞすごいのだろう、と恐怖を抱きながらも知的好奇心を抑えることができない。だが、のこのこ丸腰で臨むわけではない。屋敷で見つけた、何に使うのかよくわからない長い木の棒でいざという時は対抗するつもりだ。強靭な顎をぱっくりと開いて向かって来ようものなら、この棒を突っこんでやる。
イメージトレーニングをしながら歩いていると、目的地に着く。リュカは昨日と同じく橋の中央でしゃがみこみ、水面を覗きこんだ。今日も鯉たちは優雅に水中を泳いでいる。
「おい、小僧」
主の姿はないだろうか、とじっと目を凝らしていたリュカは声を掛けられ、顔を上げた。予想通り、青藍だった。眉間に皺が刻まれていて、リュカは首を傾げた。
「昨日、絶対に見るだけだと言っていただろう」
「うん、見てただけだけど」
「ならば、その物騒な棒は何だ」
「え?あ、違う違う!これは身を守るためのもので…」
「何から自衛するつもりだ」
「主!」
「ぬし…?」
青藍の眉間の皺がさらに深くなる。リュカは力強く頷いた。
「蘇芳に聞いたんだ。この池には主って呼ばれる怪物がいて、俺のような子供が大好物で、池の中に引きずり込むって。主がどんなのか見たいけど喰われるのは嫌だから、襲われた時用の棒」
リュカはにっこり笑って、木の棒を振り回して見せた。
「貴様、騙されているぞ。主などおらん。鯉と亀だけだ」
「え、でも強靭な顎とすごい跳躍力があるって、蘇芳が」
「私はよくここに来ているが、そのような生物は見たことがない。雨の日に蛙が現れるくらいだ」
青藍は蘇芳に騙された子供を、憐憫に満ちた目で見下ろした。リュカは、主などいないという青藍の言葉こそ嘘だと思った。きっと蘇芳の言う、嫌がらせだと。だが、すぐにその考えは消えた。
「あ、の、野郎~…ッ!」
全身が怒りでぶるぶる震える。青藍よりも蘇芳と過ごした時間の方が長いが、それでも短い期間だ。それに赤鬼は隙あらば意地悪をしてくる嫌な奴だ。セキシが何も言わなかったから、池には主がいるのだと信じて疑わなかったが、奴が自分に池に行かないように吐いた嘘なのだと思うとすとんと腑に落ちた。
「なあ、山の中に竜がいるって聞いたことある?」
リュカは縋るように青藍を見上げた。
「竜…?さあ、どうだかな」
「そっか…」
もしかして、山は危険だとか竜がいるだとかも嘘かもしれないと思うと、胃がずんと重たくなる。
「奴にとって、嘘を吐くことは呼吸をするのと同じくらい何でもないことだ。信用しないのが賢明だぞ」
今すぐにも屋敷に戻ってボコボコにしてやりたいが、力では赤鬼に敵わないことは身に染みている。それに、簡単に蘇芳の言葉を信じたリュカを嘲笑うだろう。何たって、自分は彼の暇つぶしでしかないのだ。
リュカは木の棒を地面に置き、うずくまった。鯉が泳いで、揺れる水面を見つめる。すると、無数の球体が降ってきた。水面に落ち、今までゆったりと泳いでいた鯉たちが一斉に群がり始めた。
「うおお…」
顔を上げれば、隣に立った青藍が手に持った袋から餌を撒いていた。再び池に目をやれば、鯉たちが大きく水しぶきを立て、降ってくる球体を食べている。我先にと餌を奪い合う魚の激しい一面に目が奪われる。
「やってみるか」
「いいのか!?」
青藍の申し出に、リュカは間髪入れずに食いつく。渡された袋に手を突っこみ、一握りの餌を水面にばらまく。餌やりは意外と難しかった。近くにばらまいた後は遠くの方にも投げないと、鯉たちに満遍なく餌が行き渡らないらしい。
「貴様、下手糞だな。センスがない」
「初めてなんだから、仕方ないだろっ。俺だって慣れたらもっと……あ、餌やるのって大体この時間なのか?」
「…まあ、そうだな」
「じゃあ、俺も居合わせたら、餌やりさせてよ。時々でいいから」
「別に構わないが」
「やった!」
リュカの顔にようやく笑みが戻る。鬼を恐れる様子も警戒心の欠片もない少年を、青藍はじっと見下ろした。手を伸ばし、彼の契角に触れる。さすがに何かされると思ったのか、リュカの肩が小さく上下に震えた。
「蘇芳とは、心を通わせたうえで番った訳ではなさそうだな」
「…ちょっと、事情があって」
まさか蘇芳の懐から契角を盗んだせい、などと言えるはずもなく、リュカは俯いた。
「リュカ」
鋭く刺すような声で名前を呼ばれて、はっとリュカは顔を上げた。青藍も振り返る。少し離れたところに蘇芳が立っていた。しかめっ面で明らかに怒っているのが分かって、全身がぎくりとこわばる。
「俺、昨日何つった?池には行くなっつったよなあ」
「そう、だけど…。池に主がいるって言われたら、どんなのか一目見たくなるじゃん!」
「あァ?俺のせいかよ。…まあいい、帰るぞ。こっちに来い」
蘇芳は面倒くさいと言わんばかりに、乱雑に赤い髪を掻いた。自分に向かって手が伸ばされるのを目にして、リュカは咄嗟に青藍の背に隠れた。下を向いていたせいで、蘇芳と青藍が目を見開いたのには気がつかない。一拍の後、少年は自分の行動がまずいと悟るがもはや手遅れだった。空気がさらに剣呑なものへと変わる。
「…俺、まだここにいる」
「はァ…?」
「主、いないじゃん。…嘘つき」
「だから何だよ。んなくだらねえ理由で駄々こねてんのか」
蘇芳の舌打ちを耳にして、リュカは何も言えずにただ下唇を噛んだ。無意識に、青藍の服をぎゅっと握る。
「リュカ、お前は黙って俺の言うこと聞いてりゃいいんだよ」
いつの間にか距離を詰めて来ていた赤鬼の手が眼前に迫って、リュカは思わず身をのけぞらせた。胸倉をつかまれると思い、ぎゅっと目を閉じてしまう。だがいつまで経っても何の衝撃も襲ってこず、妙に思った少年はゆっくりと目を開けた。
「…何だよ」
「嫌がっているだろう」
青藍が、蘇芳の手首を掴んでいた。赤鬼は嫌悪感も露に、牙をむき出しにしている。さりげなく青鬼の背にかばわれていることに気がついて、リュカは目を丸くした。
「だから?お前には関係ねえだろ。俺とリュカの問題だ。外野は引っ込んでろ」
「目の前で起こっているのに、放ってはおけん」
「ハッ。こりゃまた高潔なことで。会合の席で人間を劣等種だの子鬼の玩具にしかならないだの、散々馬鹿にした奴と同一人物とは思えねえなあ」
「……」
返答に窮して力が緩んだのを見逃さず、蘇芳は青藍の手を振り払った。その一瞬の隙に、リュカは赤鬼に腕を掴まれた。嫌だ、と抵抗するもぐっと引き寄せられ、額同士が触れる。その瞬間、リュカはこの間のように口を封じられてしまった。声を出せなくなったことで抵抗する気力を失った少年を、蘇芳は軽々と肩に担いだ。立ち尽くす青藍に冷たい一瞥をくれ、横を通り過ぎる。
「親子共々、相手を力で支配するしか能がないのか」
侮蔑の響きを持った青藍の言葉に、蘇芳は一瞬足を止めた。だがすぐに歩みを再開し、一度も振り返ることなくその場を後にした。
「おーい、青藍。何見て…ん?ありゃ蘇芳と人間ちゃんじゃん」
「琥珀」
「何かあったのか?」
青藍の視線の先を目で追いながら、琥珀は彼の肩に腕を回した。
「…琥珀、山に竜がいると聞いたことはあるか」
「竜~?聞いたことないなあ。ってか気にしたことなかったわ。竜なんか、眉唾の存在じゃん。山に入ろうなんて馬鹿、いねえし」
「そうだな」
「どした急に。竜とあの二人が何か関係あんの?」
黄鬼に顔を覗きこまれた青鬼は、小さくなっていく蘇芳とリュカの姿をしばし見つめ、何でもないと頭を振った。
彼は青藍が何かしてくるのではないかと警戒を露にしていたが、リュカはそうは思わなかった。蘇芳が憎いあまりに、その伴侶であるリュカのことも気に喰わないというのであれば、少年を助けたりなどしない。無様に鯉に指を噛まれている人間のことなど、見捨てておけばいい。もしリュカが池に引きずり込まれて溺死でもしようものなら、それをネタに蘇芳を公然と批判できるのだ。なのにそれをしなかったということは、青藍は悪い鬼ではないのではとリュカは思っていた。それに、池にいつでも来ていいとも言ってくれた。
それに蘇芳の言う、主の姿を一目見てみたいという理由もあった。鯉であれなのだ。主というからにはさぞすごいのだろう、と恐怖を抱きながらも知的好奇心を抑えることができない。だが、のこのこ丸腰で臨むわけではない。屋敷で見つけた、何に使うのかよくわからない長い木の棒でいざという時は対抗するつもりだ。強靭な顎をぱっくりと開いて向かって来ようものなら、この棒を突っこんでやる。
イメージトレーニングをしながら歩いていると、目的地に着く。リュカは昨日と同じく橋の中央でしゃがみこみ、水面を覗きこんだ。今日も鯉たちは優雅に水中を泳いでいる。
「おい、小僧」
主の姿はないだろうか、とじっと目を凝らしていたリュカは声を掛けられ、顔を上げた。予想通り、青藍だった。眉間に皺が刻まれていて、リュカは首を傾げた。
「昨日、絶対に見るだけだと言っていただろう」
「うん、見てただけだけど」
「ならば、その物騒な棒は何だ」
「え?あ、違う違う!これは身を守るためのもので…」
「何から自衛するつもりだ」
「主!」
「ぬし…?」
青藍の眉間の皺がさらに深くなる。リュカは力強く頷いた。
「蘇芳に聞いたんだ。この池には主って呼ばれる怪物がいて、俺のような子供が大好物で、池の中に引きずり込むって。主がどんなのか見たいけど喰われるのは嫌だから、襲われた時用の棒」
リュカはにっこり笑って、木の棒を振り回して見せた。
「貴様、騙されているぞ。主などおらん。鯉と亀だけだ」
「え、でも強靭な顎とすごい跳躍力があるって、蘇芳が」
「私はよくここに来ているが、そのような生物は見たことがない。雨の日に蛙が現れるくらいだ」
青藍は蘇芳に騙された子供を、憐憫に満ちた目で見下ろした。リュカは、主などいないという青藍の言葉こそ嘘だと思った。きっと蘇芳の言う、嫌がらせだと。だが、すぐにその考えは消えた。
「あ、の、野郎~…ッ!」
全身が怒りでぶるぶる震える。青藍よりも蘇芳と過ごした時間の方が長いが、それでも短い期間だ。それに赤鬼は隙あらば意地悪をしてくる嫌な奴だ。セキシが何も言わなかったから、池には主がいるのだと信じて疑わなかったが、奴が自分に池に行かないように吐いた嘘なのだと思うとすとんと腑に落ちた。
「なあ、山の中に竜がいるって聞いたことある?」
リュカは縋るように青藍を見上げた。
「竜…?さあ、どうだかな」
「そっか…」
もしかして、山は危険だとか竜がいるだとかも嘘かもしれないと思うと、胃がずんと重たくなる。
「奴にとって、嘘を吐くことは呼吸をするのと同じくらい何でもないことだ。信用しないのが賢明だぞ」
今すぐにも屋敷に戻ってボコボコにしてやりたいが、力では赤鬼に敵わないことは身に染みている。それに、簡単に蘇芳の言葉を信じたリュカを嘲笑うだろう。何たって、自分は彼の暇つぶしでしかないのだ。
リュカは木の棒を地面に置き、うずくまった。鯉が泳いで、揺れる水面を見つめる。すると、無数の球体が降ってきた。水面に落ち、今までゆったりと泳いでいた鯉たちが一斉に群がり始めた。
「うおお…」
顔を上げれば、隣に立った青藍が手に持った袋から餌を撒いていた。再び池に目をやれば、鯉たちが大きく水しぶきを立て、降ってくる球体を食べている。我先にと餌を奪い合う魚の激しい一面に目が奪われる。
「やってみるか」
「いいのか!?」
青藍の申し出に、リュカは間髪入れずに食いつく。渡された袋に手を突っこみ、一握りの餌を水面にばらまく。餌やりは意外と難しかった。近くにばらまいた後は遠くの方にも投げないと、鯉たちに満遍なく餌が行き渡らないらしい。
「貴様、下手糞だな。センスがない」
「初めてなんだから、仕方ないだろっ。俺だって慣れたらもっと……あ、餌やるのって大体この時間なのか?」
「…まあ、そうだな」
「じゃあ、俺も居合わせたら、餌やりさせてよ。時々でいいから」
「別に構わないが」
「やった!」
リュカの顔にようやく笑みが戻る。鬼を恐れる様子も警戒心の欠片もない少年を、青藍はじっと見下ろした。手を伸ばし、彼の契角に触れる。さすがに何かされると思ったのか、リュカの肩が小さく上下に震えた。
「蘇芳とは、心を通わせたうえで番った訳ではなさそうだな」
「…ちょっと、事情があって」
まさか蘇芳の懐から契角を盗んだせい、などと言えるはずもなく、リュカは俯いた。
「リュカ」
鋭く刺すような声で名前を呼ばれて、はっとリュカは顔を上げた。青藍も振り返る。少し離れたところに蘇芳が立っていた。しかめっ面で明らかに怒っているのが分かって、全身がぎくりとこわばる。
「俺、昨日何つった?池には行くなっつったよなあ」
「そう、だけど…。池に主がいるって言われたら、どんなのか一目見たくなるじゃん!」
「あァ?俺のせいかよ。…まあいい、帰るぞ。こっちに来い」
蘇芳は面倒くさいと言わんばかりに、乱雑に赤い髪を掻いた。自分に向かって手が伸ばされるのを目にして、リュカは咄嗟に青藍の背に隠れた。下を向いていたせいで、蘇芳と青藍が目を見開いたのには気がつかない。一拍の後、少年は自分の行動がまずいと悟るがもはや手遅れだった。空気がさらに剣呑なものへと変わる。
「…俺、まだここにいる」
「はァ…?」
「主、いないじゃん。…嘘つき」
「だから何だよ。んなくだらねえ理由で駄々こねてんのか」
蘇芳の舌打ちを耳にして、リュカは何も言えずにただ下唇を噛んだ。無意識に、青藍の服をぎゅっと握る。
「リュカ、お前は黙って俺の言うこと聞いてりゃいいんだよ」
いつの間にか距離を詰めて来ていた赤鬼の手が眼前に迫って、リュカは思わず身をのけぞらせた。胸倉をつかまれると思い、ぎゅっと目を閉じてしまう。だがいつまで経っても何の衝撃も襲ってこず、妙に思った少年はゆっくりと目を開けた。
「…何だよ」
「嫌がっているだろう」
青藍が、蘇芳の手首を掴んでいた。赤鬼は嫌悪感も露に、牙をむき出しにしている。さりげなく青鬼の背にかばわれていることに気がついて、リュカは目を丸くした。
「だから?お前には関係ねえだろ。俺とリュカの問題だ。外野は引っ込んでろ」
「目の前で起こっているのに、放ってはおけん」
「ハッ。こりゃまた高潔なことで。会合の席で人間を劣等種だの子鬼の玩具にしかならないだの、散々馬鹿にした奴と同一人物とは思えねえなあ」
「……」
返答に窮して力が緩んだのを見逃さず、蘇芳は青藍の手を振り払った。その一瞬の隙に、リュカは赤鬼に腕を掴まれた。嫌だ、と抵抗するもぐっと引き寄せられ、額同士が触れる。その瞬間、リュカはこの間のように口を封じられてしまった。声を出せなくなったことで抵抗する気力を失った少年を、蘇芳は軽々と肩に担いだ。立ち尽くす青藍に冷たい一瞥をくれ、横を通り過ぎる。
「親子共々、相手を力で支配するしか能がないのか」
侮蔑の響きを持った青藍の言葉に、蘇芳は一瞬足を止めた。だがすぐに歩みを再開し、一度も振り返ることなくその場を後にした。
「おーい、青藍。何見て…ん?ありゃ蘇芳と人間ちゃんじゃん」
「琥珀」
「何かあったのか?」
青藍の視線の先を目で追いながら、琥珀は彼の肩に腕を回した。
「…琥珀、山に竜がいると聞いたことはあるか」
「竜~?聞いたことないなあ。ってか気にしたことなかったわ。竜なんか、眉唾の存在じゃん。山に入ろうなんて馬鹿、いねえし」
「そうだな」
「どした急に。竜とあの二人が何か関係あんの?」
黄鬼に顔を覗きこまれた青鬼は、小さくなっていく蘇芳とリュカの姿をしばし見つめ、何でもないと頭を振った。
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