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5. 初めてづくし
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テル・メルを後にしたリュカは、鬼と二人で馬車に乗っていた。向かい合うように座り、リュカがいる側の座席には男の伸ばした長い足が行儀悪く置かれている。特に会話もなく、ただただじっと見つめられて居心地が悪い。少年はたまらず窓に顔を寄せて、流れていく外の景色を見た。
まるで夜空のように、青黒い背景に様々な色の光が散っている。リュカはテル・メルの外に出るのはこれが初めてだが、娼婦達が話しているのを聞いたことがあった。ここは異空間で、光の先は様々な異世界につながっているのだと。無数に存在する異世界のどれか一つに、人間の自分がせめて迫害を受けずに生きられる世界はないものか、と思った。
「お前、名前は」
夢中で外の景色を眺めていたリュカだが、鬼の発言に素早く彼に目を向けた。ようやく喋ったかと思えば、名前を聞かれて驚いたのだ。何も答えられずに、男をただじっと見つめていると、鬼はにやりと口角を吊り上げた。
「いくら俺が良い男だからって、そんなに熱烈に見んなよ。穴が空きそうだ」
「はあ!?う、うぬぼれんなっ」
「図星だからって怒んなよ」
鬼に揶揄われて、リュカの顔は真っ赤になった。くつくつと笑う男を睨みつける。
「で、名前は」
「…リュカ」
「歳は」
「たぶん、十六」
「へえ」
そう言ったきり、鬼はまた黙ってしまった。だが相変わらず目はじっとこちらに向けられていて、足元から頭まで視線が上下している。
「…あんたは?」
「あ?」
「俺はちゃんと自分のことを言った。あんたも名乗るべきだろ」
人間の奴隷である自分が客にこんな生意気な口をきいたとリー・ジンが知れば、卒倒するかもしれないとリュカは思った。鬼の気分を害するかと思ったが、彼はふと柔らかな笑みを浮かべた。意外な反応に面食らう。
「俺は蘇芳。見ての通り、鬼だ。歳は…百を超えてからは数えてねえ」
異形は総じて長寿だと言うが、百以上という途方もない数字に、リュカは目を丸くする。この世界の人間は、寿命まで生きることなどない。異形に散々いたぶられて、使い倒されて、消耗して死ぬのがオチだ。
蘇芳の纏う空気が柔らかい今なら、疑問に答えてくれるかもしれないと少年は思った。なぜ面識のない自分を嫁として、テル・メルから引き取ったのか。口づけを受けて生えてきた、この角は何なのか。スリを働いたことを気付いているのかいないのかについては、怖くて聞けそうにない。もし気がついていなかったとしたら、自ら死にに行くようなものだ。
だが、口を開いた瞬間、馬車が止まった。扉が開き、蘇芳は早々に馬車を降りた。リュカも彼に倣い、木箱を抱えて降りると、そこはもう異空間ではなかった。広々とした屋敷がいくつも健在し、大きな山に囲まれた緑豊かな地だった。青い空と緑にあふれた自然と、様々な色の屋根とのコントラストに思わず見とれてしまう。
「蘇芳様、お帰りなさいませ」
「おう」
視界の端に、深く頭を下げる人影が見えて、注意が逸れる。赤茶の短髪に、赤紫色の瞳を持つ鬼の青年が蘇芳の傍に控えていた。
頭には黒い短い二本の角が生えていて、肌の色は蘇芳よりも少し薄い。頭を上げた青年とばちっと目が合うと、彼はリュカに向かって小さく会釈をした。少年も思わず頭を下げる。
「セキシ、準備は」
「はい、言われた通りに整えてございます」
「まずは風呂に入れろ。臭う」
「かしこまりました」
蘇芳はリュカを一瞥すると、どこかに消えてしまった。臭いと言われてしまったリュカは、袖を顔に近づけて匂いをかいだ。可能な範囲で身なりには気を付けていたつもりだっただけに、少し落ちこんでしまう。
「お名前をお伺いしても?」
「あ…えっと、リュカ」
「リュカ様。私は、蘇芳様の従者のセキシ、と申します。何なりとお申しつけください」
「セキシ…さん」
「ふふ、セキシ、で構いませんよ」
腰をかがめて視線を合わせてくれた青年は、ふんわりと笑って自己紹介をした。精悍で雄々しい蘇芳とは違って、柔和な顔立ちの柔らかな物腰に、リュカは一瞬で彼に好感を抱いた。リュカ様、と敬称つきで名前を呼ばれて、すこしこそばゆい。
こちらへ、とセキシの案内でリュカは彼の後を歩いて、赤い瓦屋根の屋敷へと足を踏み入れた。木造の屋敷は、テル・メルのように絢爛豪華な調度品があるわけでもなく質素だったが、洗練されていた。
広く長い廊下を歩き、通されたのは浴室だった。脱衣所だけでも、テル・メルでの自分の部屋よりも何倍もの広さがある。引き戸の奥には、一度に何人も入れそうな程に大きな檜の浴槽が見えた。張られた湯から白い湯気が立っている。あれほどに大きな風呂に一人で入れるのかと思うと、心が踊る。
「さ、リュカ様、お召し物をお脱ぎになってください」
セキシは床に正座していた。先程までは茶色い着物を着ていたのだが、今は白い薄い生地の着物をまとっている。リュカは彼が脱衣所から出ていくのを待った。裸を見られるのが恥ずかしいというわけではないが、じっと見つめられる中で脱ぐのには若干抵抗がある。だが、セキシは正座したままで動こうとしない。互いを見つめあうという、奇妙な状況に陥る。
「何してんの…?」
「僭越ながら、リュカ様のお背中をお流し致します」
「えっ!?いいっ、いらないよ!風呂くらい一人で入れる!」
「ですが…」
まさか断られると思っていなかったとばかりに、セキシがきょとんとしている。リュカはセキシを立たせると、彼を脱衣所の外へと追い出した。ぴしゃりと戸を閉めるが、セキシらしき影がおろおろと困っているのが戸越しに見える。リュカは彼を放置して、服をすべて脱いだ。妙なやりとりをして、どっと疲れてしまう。だがその疲労感も、浴室に入った瞬間、どこかに吹き飛んだ。
広い浴槽と温かい湯と良い香りの石鹸に、リュカは上機嫌になっていた。はしゃぎすぎて、湯船の中にもぐってどれだけ息を止めていられるか試したり、自分の声が反響するのが面白くて、わあわあ声を上げて遊んだりもした。
満喫し終わって浴室を出ると、セキシがタオルを持って控えていた。少年がはしゃいでいたのを聞いていたらしく、肩が小さく震えていた。どう見ても笑いをこらえている青年に、リュカは羞恥で動けなくなった。体をお拭きします、という彼に、されるがままだ。
「リュカ様、このまま御髪を整えさせてもらっても?」
「みぐし?」
「髪の毛のことです」
ふわふわの柔らかいタオルに全身を優しく包まれて、うっとりとしていたリュカは、耳慣れない言葉に首を傾げる。するとセキシは少年の長い前髪を一房つまんだ。リュカは一瞬逡巡して、了承した。
長い髪はつり目のせいで変に目立ち、スリを行えなくなるのを避けるために伸ばしたものだ。鬱陶しいことこの上なく、切れるのであれば切りたいとずっと思っていた。
椅子に座らされ、セキシがハサミを使って髪を切っていく。ハサミの軽快な音と共に、頭上から髪の毛がはらはらと落ちてくる。
「綺麗な髪色ですね。混じりのない純粋な黒色です」
褒められても、ちっとも嬉しくなかった。父親と同じだと言う黒髪は、人間であることの証明のように思えるからだ。
「いかがでしょう?私としてはとても上手くできた自信があるのですが」
満足げな表情のセキシが持つ鏡を覗きこむ。全体を短く整えられた、茶色いつり目の生意気そうな顔をした子供が映っていた。煩わしかった前髪は眉よりも短くなり、額の中心に生えた角を避けるように真ん中で分け目を作られていた。
「…前髪、短い」
「そうですか?美しい茶色い瞳と角が際立っていて、とても愛らしいですよ」
「セキシって、目悪いって言われねえ?」
「いいえ?山向こうにいる猪もよく見えるので、蘇芳様には目が良いとお褒め頂きます」
嫌味のつもりだったのだが、セキシには通用しなかったらしい。にっこりと邪気のない笑みを浮かべている。リュカは脱力した。
「なあ、この角って一体何なんだ?いきなり生えてきたんだけど。セキシやあいつの角と違うし…」
わざわざ口にする必要もないだろうと、蘇芳に口づけられて、の部分は伏せておいた。だが、蘇芳様がお話ししてくださいますよ、と言ったきり、セキシはにこにこと笑うばかりで何も言わない。柔和だが、蘇芳への忠誠心が強そうな彼からは、何も情報を得られそうにないと、リュカは諦めた。
まるで夜空のように、青黒い背景に様々な色の光が散っている。リュカはテル・メルの外に出るのはこれが初めてだが、娼婦達が話しているのを聞いたことがあった。ここは異空間で、光の先は様々な異世界につながっているのだと。無数に存在する異世界のどれか一つに、人間の自分がせめて迫害を受けずに生きられる世界はないものか、と思った。
「お前、名前は」
夢中で外の景色を眺めていたリュカだが、鬼の発言に素早く彼に目を向けた。ようやく喋ったかと思えば、名前を聞かれて驚いたのだ。何も答えられずに、男をただじっと見つめていると、鬼はにやりと口角を吊り上げた。
「いくら俺が良い男だからって、そんなに熱烈に見んなよ。穴が空きそうだ」
「はあ!?う、うぬぼれんなっ」
「図星だからって怒んなよ」
鬼に揶揄われて、リュカの顔は真っ赤になった。くつくつと笑う男を睨みつける。
「で、名前は」
「…リュカ」
「歳は」
「たぶん、十六」
「へえ」
そう言ったきり、鬼はまた黙ってしまった。だが相変わらず目はじっとこちらに向けられていて、足元から頭まで視線が上下している。
「…あんたは?」
「あ?」
「俺はちゃんと自分のことを言った。あんたも名乗るべきだろ」
人間の奴隷である自分が客にこんな生意気な口をきいたとリー・ジンが知れば、卒倒するかもしれないとリュカは思った。鬼の気分を害するかと思ったが、彼はふと柔らかな笑みを浮かべた。意外な反応に面食らう。
「俺は蘇芳。見ての通り、鬼だ。歳は…百を超えてからは数えてねえ」
異形は総じて長寿だと言うが、百以上という途方もない数字に、リュカは目を丸くする。この世界の人間は、寿命まで生きることなどない。異形に散々いたぶられて、使い倒されて、消耗して死ぬのがオチだ。
蘇芳の纏う空気が柔らかい今なら、疑問に答えてくれるかもしれないと少年は思った。なぜ面識のない自分を嫁として、テル・メルから引き取ったのか。口づけを受けて生えてきた、この角は何なのか。スリを働いたことを気付いているのかいないのかについては、怖くて聞けそうにない。もし気がついていなかったとしたら、自ら死にに行くようなものだ。
だが、口を開いた瞬間、馬車が止まった。扉が開き、蘇芳は早々に馬車を降りた。リュカも彼に倣い、木箱を抱えて降りると、そこはもう異空間ではなかった。広々とした屋敷がいくつも健在し、大きな山に囲まれた緑豊かな地だった。青い空と緑にあふれた自然と、様々な色の屋根とのコントラストに思わず見とれてしまう。
「蘇芳様、お帰りなさいませ」
「おう」
視界の端に、深く頭を下げる人影が見えて、注意が逸れる。赤茶の短髪に、赤紫色の瞳を持つ鬼の青年が蘇芳の傍に控えていた。
頭には黒い短い二本の角が生えていて、肌の色は蘇芳よりも少し薄い。頭を上げた青年とばちっと目が合うと、彼はリュカに向かって小さく会釈をした。少年も思わず頭を下げる。
「セキシ、準備は」
「はい、言われた通りに整えてございます」
「まずは風呂に入れろ。臭う」
「かしこまりました」
蘇芳はリュカを一瞥すると、どこかに消えてしまった。臭いと言われてしまったリュカは、袖を顔に近づけて匂いをかいだ。可能な範囲で身なりには気を付けていたつもりだっただけに、少し落ちこんでしまう。
「お名前をお伺いしても?」
「あ…えっと、リュカ」
「リュカ様。私は、蘇芳様の従者のセキシ、と申します。何なりとお申しつけください」
「セキシ…さん」
「ふふ、セキシ、で構いませんよ」
腰をかがめて視線を合わせてくれた青年は、ふんわりと笑って自己紹介をした。精悍で雄々しい蘇芳とは違って、柔和な顔立ちの柔らかな物腰に、リュカは一瞬で彼に好感を抱いた。リュカ様、と敬称つきで名前を呼ばれて、すこしこそばゆい。
こちらへ、とセキシの案内でリュカは彼の後を歩いて、赤い瓦屋根の屋敷へと足を踏み入れた。木造の屋敷は、テル・メルのように絢爛豪華な調度品があるわけでもなく質素だったが、洗練されていた。
広く長い廊下を歩き、通されたのは浴室だった。脱衣所だけでも、テル・メルでの自分の部屋よりも何倍もの広さがある。引き戸の奥には、一度に何人も入れそうな程に大きな檜の浴槽が見えた。張られた湯から白い湯気が立っている。あれほどに大きな風呂に一人で入れるのかと思うと、心が踊る。
「さ、リュカ様、お召し物をお脱ぎになってください」
セキシは床に正座していた。先程までは茶色い着物を着ていたのだが、今は白い薄い生地の着物をまとっている。リュカは彼が脱衣所から出ていくのを待った。裸を見られるのが恥ずかしいというわけではないが、じっと見つめられる中で脱ぐのには若干抵抗がある。だが、セキシは正座したままで動こうとしない。互いを見つめあうという、奇妙な状況に陥る。
「何してんの…?」
「僭越ながら、リュカ様のお背中をお流し致します」
「えっ!?いいっ、いらないよ!風呂くらい一人で入れる!」
「ですが…」
まさか断られると思っていなかったとばかりに、セキシがきょとんとしている。リュカはセキシを立たせると、彼を脱衣所の外へと追い出した。ぴしゃりと戸を閉めるが、セキシらしき影がおろおろと困っているのが戸越しに見える。リュカは彼を放置して、服をすべて脱いだ。妙なやりとりをして、どっと疲れてしまう。だがその疲労感も、浴室に入った瞬間、どこかに吹き飛んだ。
広い浴槽と温かい湯と良い香りの石鹸に、リュカは上機嫌になっていた。はしゃぎすぎて、湯船の中にもぐってどれだけ息を止めていられるか試したり、自分の声が反響するのが面白くて、わあわあ声を上げて遊んだりもした。
満喫し終わって浴室を出ると、セキシがタオルを持って控えていた。少年がはしゃいでいたのを聞いていたらしく、肩が小さく震えていた。どう見ても笑いをこらえている青年に、リュカは羞恥で動けなくなった。体をお拭きします、という彼に、されるがままだ。
「リュカ様、このまま御髪を整えさせてもらっても?」
「みぐし?」
「髪の毛のことです」
ふわふわの柔らかいタオルに全身を優しく包まれて、うっとりとしていたリュカは、耳慣れない言葉に首を傾げる。するとセキシは少年の長い前髪を一房つまんだ。リュカは一瞬逡巡して、了承した。
長い髪はつり目のせいで変に目立ち、スリを行えなくなるのを避けるために伸ばしたものだ。鬱陶しいことこの上なく、切れるのであれば切りたいとずっと思っていた。
椅子に座らされ、セキシがハサミを使って髪を切っていく。ハサミの軽快な音と共に、頭上から髪の毛がはらはらと落ちてくる。
「綺麗な髪色ですね。混じりのない純粋な黒色です」
褒められても、ちっとも嬉しくなかった。父親と同じだと言う黒髪は、人間であることの証明のように思えるからだ。
「いかがでしょう?私としてはとても上手くできた自信があるのですが」
満足げな表情のセキシが持つ鏡を覗きこむ。全体を短く整えられた、茶色いつり目の生意気そうな顔をした子供が映っていた。煩わしかった前髪は眉よりも短くなり、額の中心に生えた角を避けるように真ん中で分け目を作られていた。
「…前髪、短い」
「そうですか?美しい茶色い瞳と角が際立っていて、とても愛らしいですよ」
「セキシって、目悪いって言われねえ?」
「いいえ?山向こうにいる猪もよく見えるので、蘇芳様には目が良いとお褒め頂きます」
嫌味のつもりだったのだが、セキシには通用しなかったらしい。にっこりと邪気のない笑みを浮かべている。リュカは脱力した。
「なあ、この角って一体何なんだ?いきなり生えてきたんだけど。セキシやあいつの角と違うし…」
わざわざ口にする必要もないだろうと、蘇芳に口づけられて、の部分は伏せておいた。だが、蘇芳様がお話ししてくださいますよ、と言ったきり、セキシはにこにこと笑うばかりで何も言わない。柔和だが、蘇芳への忠誠心が強そうな彼からは、何も情報を得られそうにないと、リュカは諦めた。
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