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1話*

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——このままではいけない


そう思ったのは大学一年生の春。田舎の高校から東京の大学に出てきた俺こと、金森俊は地元では当たり前になっていて気付かなかったとある問題に気付いた。


それは幼馴染との距離が近すぎること。


俺にはずっと一緒な幼馴染がいる。幼稚園の時からの付き合いで、幼稚園、小中高と全て同じで、大学も同じだ。


そいつの名前は桜庭奏多。勉強に運動、音楽に美術
、全てにおいて完璧でおまけに高身長でイケメン。幼馴染という目を抜きにしてもカッコいいと思う。


当然モテた。それはもう凄いモテてた。正直羨ましかったが、まぁスペックの差を考えれば当然のことだったし、奏多がいい噂されてたりするのは素直に嬉しいのであんまり気にしていなかった。


でも一度も奏多は女子と付き合うことはなかった。自分が完璧すぎる余り彼女となる子にもそれを求めているのかも知れない。そんな完璧な子は中々居ないと思うが俺は奏多のことを応援している。頑張ってくれ。


そんな完璧高身長万能イケメンの奏多に対して俺は平均身長で顔も普通。頭も普通で運動は少し出来る程度。だから当然奏多とは違う大学になると思っていたのに何故か奏多は同じ大学にいた。


何故か問えば「俊が心配だから」そう言う。


確かにだらしなくってちょっと問題児かも知れないけど、それは普通に男ならふざけてる程度のものだ。


奏多は俺が昔から頼りっぱなしなせいで少々過保護になっていると思う。家が隣だったから毎朝起こしに来てくれたり、トラブルを事前に防いでくれたり、よく俺の家に遊びにきては汚れた部屋を片付けてくれたり。


ここまで考えて俺は気づいた。あれ?俺って実は超駄目人間なのでは?一人じゃ出来ない事ばっかじゃね?と…



そんな駄目人間の俺に奏多は幼馴染だから、心配だからという理由で、一日中ずぅーっと俺にくっついて過ごしている。


俺のせいで奏多の輝かしい未来が少しずつ削られてるかも知れない。そう思った俺は早急に幼馴染離れもとい奏多離れをすることにしたのだ。


**********


あれから俺は奏多を避け続けた。朝は時間をずらして、大学ではとにかく見つからないように過ごす。講義が同じならギリギリに来て、終わった瞬間出る。


それを繰り返した。奏多は何回も俺に話しかけようとして来たけど、その度に「あぁ!用事があったんだわ!じゃあな!」そう言ってその場から去った。


LINEも全て無視して、電話も無視した。


奏多が少し悲しそうな顔をしていて、物凄く罪悪感を感じたが、俺の為にも奏多の為にもこの辛さには耐えることにする。すまん奏多、許せ。


そうして2週間ほど時間がたった頃。


いつも通り高速退出をしようとしたら奏多にドアを塞がれてしまった。


そしてそのまま手を引っ張られる。


「…」


その間、奏多は無言でちょっと怖い。


「ちょっ…奏多!あ…もしかして怒ってる?あぁーごめんって!でも仕方ないことなんだよ!」


そう言い訳をしながら奏多に手を引っ張られる続け、中庭に来る。


「…俊」


「は…はい…」


なんだか居た堪れなくて、声が窄む。


「俺のこと嫌いになったの?」


「えぇ!?ちげーよ!嫌いな訳ないだろ!」


「じゃあどうして避けるの?」


ここで素直に言ってしまってはまた奏多は心配してくる。だから、誤魔化すことにした。


「え?あーそれはちょっと色々あってな…まぁとにかく心配すんなって!互いの為だし…俺がお前を嫌いになる訳ねーんだからさ!」


「ふーん…じゃあ俺と俊のためって言うのはどういうこと?」



「言葉通りだよ!ほら?俺、ずっと奏多に任せっぱなしだったからさ、自立?奏多離れ的な?」



「避けるのもそれが理由?」



そう言われて、しまった!と思った先程誤魔化そうと思っていたのに同じ理由の事を違う聞き方できかれたからつい答えてしまった。


「あーそれとこれとは別だ!でも嫌いじゃねーからさ!」


とりあえず別の理由があることにした。


「…自立って言っても俺が奏多に世話焼かなきゃいいんでしょ?だったら遊ぶくらいなら大丈夫じゃない?」


俺の目的は奏多離れして自立することだから、何かして貰う訳じゃないし、遊ぶくらいなら…大丈夫か…と思った俺は、ちょっと今までの避け方は良くなかったなと思って、悩みに悩んだ結果、大丈夫だと言う事にした。


「…それぐらいなら大丈夫…かな?」


「じゃあ、早速明日遊びに行こう。」


「え?明日?」


急だなーと思ったが、今まで避けていたのは俺の方なので、拒否など出来ない。


「うーん…まぁ暇だしいいぜ。」


「よかった。じゃあ詳しくはLINEで伝えるね。」


「わかった。」


「じゃ、また」


「ん。また」


そう言って奏多と仲直り?をして俺は次の講義に戻った。


授業も終わって家に帰ると、奏多と明日の予定をLINEで話し合ってから、俺は奏多に心の中でいまだに少し罪悪感を感じつつ眠りについた。


**********


「おはよう俊。」


「っはよー」


結局テーマパークに行くことになった俺達は、朝から集合していた。


「あっ。」


「?どした?」


「忘れ物しちゃったから一緒に来てくれない?」


どうやら奏多は忘れ物をしたらしい。珍しいこともあるんだな。と思い奏多の忘れ物を探す為、一度家に戻ることにする。


「おーなんか久しぶりだな」


奏多の部屋に着いた俺は、ずっと避け続けていたお陰で、2週間ほど全く来ていなかった奏多の部屋になつかしさを感じつつ忘れ物とやらを探す手伝いをする。


「はい。これ」


そう声をかけて奏多が飲み物を渡して来た。


「あぁサンキュ」


渡されたそれをゴクゴクと飲み干す。暑い夏で、駅から奏多の部屋まで、割と距離があったこともあって一気に飲み干してしまった。


「にしても無いなー。本当に忘れたのか?実はバックの中にあんじゃねーの?」


「あぁそうかもね。もう一度確認してみるよ」


「あいよ。」


そういって俺は場所を変えようとした。そこで猛烈な睡魔に襲われて徐々に意識が遠のいていく。


「あっ…」


最後に見たのは奏多が着ていたはず洋服だった。


************


なんだか肌寒くて俺は目を覚ます。しばらくぼーっとしていたが、意識が段々と覚醒していっていまの状況を理解し始める。


「…っ!なんだよ…これ…」


そうして理解した状況は夢なのではないかと疑いたくなるものだった。


「鎖…?」


俺の手は鎖で上に繋がれていて、服は何も着ていない。全裸状態だ。少しパニックになっていたが、今の状況を作り出した人物は明確で、すぐに落ち着きを取り戻す。


この訳の分からない状況を作り出したのは最後に見たであろう奏多で、今ここは奏多の部屋のなのだろうと推測できる。


どうにかして手の鎖を外そうともがくが、全く外れる気配が無い。


そうしているうちに静かに部屋のドアが開いた。


入ってきたのは奏多で俺は不満をぶつける。


「…!奏多!何だよこれ!お前がやったんだろ!?外せよ!」


俺がそう叫んでも奏多は何も言わずにこちらにくる。


「おい…奏多!……奏多?えっ…ちょっ…やめ…んっ!…ふ…」


俺の元まで来た奏多は相変わらず無言のまま俺の顎を掴んで強引に自分の口元に近づけるとそのままキスをしてきた。


「ふっ…んむ……やめっ…んっ………」


何度口を離そうとしても、その度に頭を引き寄せられて、手を鎖で繋がれている俺は抵抗など出来ず、離すことができない。


「んっ…ふっ……かな…っ!」


「奏多」そう呼ぼうとしたら舌が入ってきて、俺の口内を犯した。ちゅぷちゅぷと厭らしい音が室内に響いて、段々と思考がぼんやりしてくる。


少しずつ思考が正常に作動しなくっていくのが分かる。そこで奏多に何か口移しをされた。


—-ゴクッ


「…っ!……はぁっ…!何飲ませた!?おい奏多!おい!答え…!んっ……」



そうしてまたキスをされる。今度はさっきよりずっと激しくて、奥深くまで犯される。歯の裏もなぞられ、軽く吸われれば身体はビクッと反応してしまう。その状況に自然と涙が出て来て、精一杯の抵抗も虚しく、酸素が切れる寸前まで口を離してくれない。


「あぅ……ん…」


そうして何度も口の中を犯され、混ざり合ってもうどちらのものか分からない唾液を喉に流し込まれる。


そのねっとりとしたディープキスに自然と熱が集まってきて、酸欠と相まって俺の思考を更に低下させた。


「はぁ…はぁ…」


そうして気付いたら奏多は俺の上に乗っていて、俺は力が上手くだせなかった。


「かな…た…うっ……なんで…こんな…」



羞恥か、悔しさか分からないが、泣きながら奏多に問う。


「…俊は何にも分からなくていいよ。だから、教えない。」


そう言って俺の体を撫でるように触れる。


「………っ!ひあぁぁ……!あぅぅぅ…なに!?あっ…んん……」


奏多が触れたタイミングと同じぐらいに身体にゾクゾクと快感が走る。


「…効いてきたのか」


「んひっ…これなに…?かなっ……!あっ……なにした……!?」


「ちょっと気持ち良くなれる薬を飲んで貰ったんだよ。即効性だからすぐ効いた。」


そういって奏多は乳首を触る。


「んっ…!」


「……」


「やめてぇ……あっ…」


俺の声など聞こえていないと言わんばかりに奏多は俺の乳首をさらに激しく触って来た。


「ひぃっ…!んひゃ!……やっ………」


手を鎖で繋がれている俺は快感の逃場が無くて、どうしようもなく腰を捩って、快感を逃そうとする。でもそれは無意味で奏多が俺の乳首を強く抓ったりり、爪でコリコリしたりするたびに自分の声とは思えないほど甘い声が出る。


「あぅぅぅ……」


「乳首だけでこんなに厭らしくなって感じちゃうんだ?」


「感じてなんか…」


「でも見て?身体は正直だよ…勃起してる…」



「………っ!ちがっ…!これは生理現象で……」


奏多に言われて否定する。実際に乳首をいじられて感じてしまっている自分がどうしようもなく恥ずかしくて、認めたくなかった。


「うぅぅ……ぐすっ……なんでこんな…こんなことすんだよぉ……」


「あぁ、泣くなよ」


その声は冷たくて、いつもの奏多との差に思わずハッと顔を見上げる。


「俊が寝てる間に解しといたんだけどね、もう一回やっとこうか。」


「え…なに…?」


奏多の言っている意味が分からなくて、でもきっとこれ以上のことをされることだけが分かって、俺は必死で足掻いた。だかそれは意味をなさず、俺の抵抗を宥めるように奏多は乳首を触りながらキスをして来た。


「んふっ……ぅぅぅぅ…………」


薬が回っているせいでさっきよりずっと甘い声がでる。強い、ゾクゾクと走る快感に身体が痙攣する。


「ぷはっ……はぁ…はぁ………」


キスが終わっても快楽から頭が働かずただぼーっとしていると、前から音がしてそちらを見る。そこにはローションを持った奏多がいた。


「ぇ……ぁ…なに…する……」


「だからさっきも言ったでしょ?もう一回解そうって」


それだけ言うと奏多は俺の足を持ち上げて開いた。奏多から全てが見えてしまう体制が恥ずかしくて足を閉じようとしたけど、それは足と足の間にいた奏多によって阻まれた。


「やだっ……!やめっ………」


ここまで来ればこの先は容易に想像出来てしまって、ほとんど働かない頭と、力の入らない体で逃げ出そうとする。


「駄目だよ俊。逃げるなんて…ねぇ?お仕置きが必要?」


そう言うとお尻にローションを垂らす。その冷たさに思わず「ひうっ…」と声を出してしまう。そうしてゆっくりと奏多は中指を入れた。


「んひゃっ…!あぅぅぅぅ…んっ」
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