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本編
【第11話】あれからのこと
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――――あれから、数日が経った。
結局、先に手を出した僕が悪いということになり、1週間の謹慎処分となった。そして男は事の発端だが手を出してはいないということで僕より短い5日間の謹慎処分となった。その時クラスメイトからの証言があったが、謹慎期間は変わらなかった。
そして現在5日が経ち、明日は男が学校に登校する日だ。だが男は不登校になるだろう。最近評判の良くなった僕をクラスメイトの前で貶したんだ。もう既に彼のクラスの居場所はないだろう。そして2週間も経てば学校に自主退学の電話が来る。僕はそう確信している。彼はそういう人間だ。
かく言う僕はこの5日間で趣味を見つけた。それは料理である。暇な時間を潰すにはゲームや読書が普通なのだろうが、僕には合わなかった。しかし、料理、特にデザート作りは熱中するほどハマった。
「ただいま~…って、また作ってるの?」
「あぁ。これが案外楽しくてな」
「別に作るのはいいよ?美味しいし。でも食べるの大抵私なんだよね」
「いいだろ、お前甘いもの好きだろ」
「好きだけどさ~…糖分摂りすぎたら肌荒れちゃうしすぐ太っちゃうんだよね」
「大丈夫だろ、お前痩せ型だし。まだ心配しなくてもいいだろ」
「…そういう問題じゃないんだよ~!」
夢叶は頬を膨らませ、顔を赤らめて怒った。…僕は地雷を踏んだのだろうか?女心ってのは分からん。
...そして、2日後。学校に登校する日となり、ドキドキしながら教室に入る。この前夢叶に言われた『僕は以前と変わった』というのは少し分かる気がする。前までなら何も気にせず入っていただろう...。
ガラガラと戸を開けると、クラスの視線がこちらに集まり、一瞬静寂が訪れた。
「真君、久しぶり」
静寂を破ったのは、僕より早く登校していた夢叶だった。
「お前はいつも会ってるだろ」
周りでは苦笑が起こり、すぐに賑やかな教室へと戻った。椅子に座ると、この一週間何をして過ごしていたのか色んな人に問われ、いつもの一人でいる静かな空間ではなく、周りに人がいる騒がしい空間になり、これも案外悪くないと思った。
クラスメイトと話している間、辺りを見渡すと、謹慎処分の原因となった男はいなかった。曰く、あれ以来学校に来ていないらしい。どうやら僕の予想は当たっていたようだ。
そのまま一日は流れ、いつもより騒がしい日は終わった。
「今日は人気者だったね」
「二度とごめんだ、こんな日」
今はいつも通り夢叶と帰路を辿っている。もうすぐ夏休みということもあり、最近は休みに何をしようかという話題ばかりである。
「私は海水浴したいなって思ってるんだ」
「僕は家にいるよ」
「付き合い悪いな~、嫌われるよ?」
「元々嫌われていた身だ、慣れてる」
「むぅ...」
少し悲しそうな表情をする夢叶。僕は別に体づくりをしてる訳じゃない。貧相な体を見せたくないのが理由の一つだ。
「じゃあさ、お祭り行こうよ!」
「...祭り?」
「うん、見てコレ」
そう言われ差し出されたのは、夏祭りのチラシだった。見ると、近場で行われ、花火も打ち上がるらしい。
「...花火か」
「どう、行かない?」
「...確かに1ヶ月引きこもる訳には行かないしな」
「よぉし決定!じゃあこの日は空けててね」
「はいはい...っと、俺はスーパー寄っていくから、先帰ってて」
「はーい」
そう言って僕らは別れた。
花火大会、か。そういえば最後に花火を見たのはいつだったか。久しぶりなので意外と楽しみだったりする。
「...何着よっかな」
まだ先のことだが、そんなことを考えながら僕はスーパーへ向かった。
結局、先に手を出した僕が悪いということになり、1週間の謹慎処分となった。そして男は事の発端だが手を出してはいないということで僕より短い5日間の謹慎処分となった。その時クラスメイトからの証言があったが、謹慎期間は変わらなかった。
そして現在5日が経ち、明日は男が学校に登校する日だ。だが男は不登校になるだろう。最近評判の良くなった僕をクラスメイトの前で貶したんだ。もう既に彼のクラスの居場所はないだろう。そして2週間も経てば学校に自主退学の電話が来る。僕はそう確信している。彼はそういう人間だ。
かく言う僕はこの5日間で趣味を見つけた。それは料理である。暇な時間を潰すにはゲームや読書が普通なのだろうが、僕には合わなかった。しかし、料理、特にデザート作りは熱中するほどハマった。
「ただいま~…って、また作ってるの?」
「あぁ。これが案外楽しくてな」
「別に作るのはいいよ?美味しいし。でも食べるの大抵私なんだよね」
「いいだろ、お前甘いもの好きだろ」
「好きだけどさ~…糖分摂りすぎたら肌荒れちゃうしすぐ太っちゃうんだよね」
「大丈夫だろ、お前痩せ型だし。まだ心配しなくてもいいだろ」
「…そういう問題じゃないんだよ~!」
夢叶は頬を膨らませ、顔を赤らめて怒った。…僕は地雷を踏んだのだろうか?女心ってのは分からん。
...そして、2日後。学校に登校する日となり、ドキドキしながら教室に入る。この前夢叶に言われた『僕は以前と変わった』というのは少し分かる気がする。前までなら何も気にせず入っていただろう...。
ガラガラと戸を開けると、クラスの視線がこちらに集まり、一瞬静寂が訪れた。
「真君、久しぶり」
静寂を破ったのは、僕より早く登校していた夢叶だった。
「お前はいつも会ってるだろ」
周りでは苦笑が起こり、すぐに賑やかな教室へと戻った。椅子に座ると、この一週間何をして過ごしていたのか色んな人に問われ、いつもの一人でいる静かな空間ではなく、周りに人がいる騒がしい空間になり、これも案外悪くないと思った。
クラスメイトと話している間、辺りを見渡すと、謹慎処分の原因となった男はいなかった。曰く、あれ以来学校に来ていないらしい。どうやら僕の予想は当たっていたようだ。
そのまま一日は流れ、いつもより騒がしい日は終わった。
「今日は人気者だったね」
「二度とごめんだ、こんな日」
今はいつも通り夢叶と帰路を辿っている。もうすぐ夏休みということもあり、最近は休みに何をしようかという話題ばかりである。
「私は海水浴したいなって思ってるんだ」
「僕は家にいるよ」
「付き合い悪いな~、嫌われるよ?」
「元々嫌われていた身だ、慣れてる」
「むぅ...」
少し悲しそうな表情をする夢叶。僕は別に体づくりをしてる訳じゃない。貧相な体を見せたくないのが理由の一つだ。
「じゃあさ、お祭り行こうよ!」
「...祭り?」
「うん、見てコレ」
そう言われ差し出されたのは、夏祭りのチラシだった。見ると、近場で行われ、花火も打ち上がるらしい。
「...花火か」
「どう、行かない?」
「...確かに1ヶ月引きこもる訳には行かないしな」
「よぉし決定!じゃあこの日は空けててね」
「はいはい...っと、俺はスーパー寄っていくから、先帰ってて」
「はーい」
そう言って僕らは別れた。
花火大会、か。そういえば最後に花火を見たのはいつだったか。久しぶりなので意外と楽しみだったりする。
「...何着よっかな」
まだ先のことだが、そんなことを考えながら僕はスーパーへ向かった。
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