45 / 47
45 ホウレンソウは大事ですわ②
しおりを挟む
私の言葉に一同から言葉が消え、部屋の中が一瞬にして静かになりました。
まぁ、「媚薬」と聞いて皆心穏やかではないでしょうね。
この国での禁止薬にされている「不幸を呼ぶ薬」。
ある「事件」をきっかけに禁止され、今では使用だけでなく所持すらも重罪となった薬物。
「過去を繰り返す訳にはいかんな」
アシェリーの王族としての顔。
久しぶりに見ましたわ…最近ぽやぽやしたお顔ばかりでしたから。
因みに「ある事件」とは、数代前の王家で起こった「とある男爵令嬢」と「当時の第一王子殿下」の引き起こした悲劇ですわ。
まぁ、いつの世でもおバカさんはいるもので、第一王子殿下は婚約者がいながら男爵令嬢と恋仲になり、その後侯爵令嬢だった婚約者様に婚約破棄を叩きつけるテンプレをなさいました。
まぁ、ですが父君である国王陛下から許可が出るはずもなく、第一王子殿下は結果男爵令嬢と引き離される事になりました。
そして、その後どうなったかと申しますと、引き離されて数日、王子殿下が発狂なさったのです。
当初は男爵令嬢との事が原因かと考えられましたが、医師が調べたところ、原因は「媚薬の過剰摂取による副作用」と言う事が分かりました。
そう、王子殿下は、男爵令嬢に媚薬を定期的に摂取させられていたのです。
毒薬と同等の媚薬は、使い方を誤ると使用者を廃人にしてしまいます。
結果、その後第一王子殿下は正気を取り戻す事が叶わず、王家所有の屋敷で亡くなるまで数人の使用人と過ごされたのですわ。
因みに男爵令嬢ですが、王子殿下に媚薬と言う毒を盛った罪で処刑されましたわ。
と言う事で、我が国ではそれ以来「媚薬」は禁止薬になりましたの。
「本当に、困ったお花畑ですわね」
無意識とは言え、媚薬と同等のものを作り出し、それを意中の人間に摂取させた。
まぁ、あの娘からしたらゲームのキーアイテム程度の考えなのでしょうが、実際は大問題ですわ。
「あの三馬鹿の家はどの家も名家ですのに、また同じ過ちを繰り返すどころか、もう時すでに遅しですわね」
次代の子息がことごとく無様に籠絡。
しかも今回の事案はもう救いようがない所まで行ってますし……はぁ、やはりこれは。
「………陛下が喜びそうだな」
あ、思っていましたがあえて口にしませんでしたのに……お兄様言っちゃいましたわね?
「マルク…あえて言わなかったのに、お前は…なんで口にするかなぁ」
ほら、アシェリーだって空気を読んでましたのに…お兄様、そう言うトコですわよ?
普段からズバズバ発言なさるから、令嬢方に「氷薔薇の君」って二つ名をつけられますのよ?
全く、跡取りとしてもう少し自覚をもって頂きたいわ。
「お兄様、少しはオブラートに包むなりなさいませ?そんなだから、令嬢方にしょっちゅう泣かれるんですわよ?」
「は?何を言う。だいたい私の地位と容姿にしか興味のない女など付き合うだけ無駄な時間だ。口を開けば自慢話や他人を卑下する言葉しか吐かん」
………やれやれですわ。
「兄上、そんな事言ってたら婚約出来ませんよ?」
あ…ヘンリー貴方その言葉は地雷ですわよ?
「……ヘンリー、お前は自分に婚約者がいるからと言う事での発言か?」
「え!いや、そうではなく!あ、兄上だってそろそろ「例のご令嬢」に……って、ヒィ!」
………ヘンリー、自業自得ですわ。
お兄様に想い人がいるのは、近親者なら皆知っていますが、彼女は今隣国に留学中。
帰国をずっと待っている状態ですのに、あえてソコを突かなくても。
「……ジャレてないで話を戻すぞ?」
ナイスタイミングでアシェリーですわ。
アシェ自身、現在頭の中は「したり顔の陛下」でいっぱいでしょうが、仕方ないと諦めている様ですわね。
なんせあの腹黒陛下ですから、悩むだけ心を疲弊させるだけですわ。
「で、今後の方針ですわね?」
「あぁ、フィオはどうするつもりなんだ?私はなるべくなら早めにこの茶番を終わらせたいんだが……気持ち悪くて敵わん」
まぁ、アシェリーはそうでしょうね。
「そうですわね。私もそろそろ次のステップに移行しようかと考えていたところです。それについては「彼女」に協力を願うつもりですわ」
そう、少し前に別邸に家族と出かけた時に「奇跡的」に出会った「彼女」に。
「何故…と聞いていいのかしら?」
そう言いながら、私の膝に視線を落とすベルバラ。
「ふふっ、勿論よ」
部屋に入り、ソファーに腰掛けた時から膝に抱く「彼女」の背をひとなでしながら、私は今後の計画を口にいたしました。
まぁ、結果各々の反応は上々。
皆の反対もありませんでしたので、このまま小娘達を地獄まで一気にご案内と言う形になりましたわ。
まぁ、「媚薬」と聞いて皆心穏やかではないでしょうね。
この国での禁止薬にされている「不幸を呼ぶ薬」。
ある「事件」をきっかけに禁止され、今では使用だけでなく所持すらも重罪となった薬物。
「過去を繰り返す訳にはいかんな」
アシェリーの王族としての顔。
久しぶりに見ましたわ…最近ぽやぽやしたお顔ばかりでしたから。
因みに「ある事件」とは、数代前の王家で起こった「とある男爵令嬢」と「当時の第一王子殿下」の引き起こした悲劇ですわ。
まぁ、いつの世でもおバカさんはいるもので、第一王子殿下は婚約者がいながら男爵令嬢と恋仲になり、その後侯爵令嬢だった婚約者様に婚約破棄を叩きつけるテンプレをなさいました。
まぁ、ですが父君である国王陛下から許可が出るはずもなく、第一王子殿下は結果男爵令嬢と引き離される事になりました。
そして、その後どうなったかと申しますと、引き離されて数日、王子殿下が発狂なさったのです。
当初は男爵令嬢との事が原因かと考えられましたが、医師が調べたところ、原因は「媚薬の過剰摂取による副作用」と言う事が分かりました。
そう、王子殿下は、男爵令嬢に媚薬を定期的に摂取させられていたのです。
毒薬と同等の媚薬は、使い方を誤ると使用者を廃人にしてしまいます。
結果、その後第一王子殿下は正気を取り戻す事が叶わず、王家所有の屋敷で亡くなるまで数人の使用人と過ごされたのですわ。
因みに男爵令嬢ですが、王子殿下に媚薬と言う毒を盛った罪で処刑されましたわ。
と言う事で、我が国ではそれ以来「媚薬」は禁止薬になりましたの。
「本当に、困ったお花畑ですわね」
無意識とは言え、媚薬と同等のものを作り出し、それを意中の人間に摂取させた。
まぁ、あの娘からしたらゲームのキーアイテム程度の考えなのでしょうが、実際は大問題ですわ。
「あの三馬鹿の家はどの家も名家ですのに、また同じ過ちを繰り返すどころか、もう時すでに遅しですわね」
次代の子息がことごとく無様に籠絡。
しかも今回の事案はもう救いようがない所まで行ってますし……はぁ、やはりこれは。
「………陛下が喜びそうだな」
あ、思っていましたがあえて口にしませんでしたのに……お兄様言っちゃいましたわね?
「マルク…あえて言わなかったのに、お前は…なんで口にするかなぁ」
ほら、アシェリーだって空気を読んでましたのに…お兄様、そう言うトコですわよ?
普段からズバズバ発言なさるから、令嬢方に「氷薔薇の君」って二つ名をつけられますのよ?
全く、跡取りとしてもう少し自覚をもって頂きたいわ。
「お兄様、少しはオブラートに包むなりなさいませ?そんなだから、令嬢方にしょっちゅう泣かれるんですわよ?」
「は?何を言う。だいたい私の地位と容姿にしか興味のない女など付き合うだけ無駄な時間だ。口を開けば自慢話や他人を卑下する言葉しか吐かん」
………やれやれですわ。
「兄上、そんな事言ってたら婚約出来ませんよ?」
あ…ヘンリー貴方その言葉は地雷ですわよ?
「……ヘンリー、お前は自分に婚約者がいるからと言う事での発言か?」
「え!いや、そうではなく!あ、兄上だってそろそろ「例のご令嬢」に……って、ヒィ!」
………ヘンリー、自業自得ですわ。
お兄様に想い人がいるのは、近親者なら皆知っていますが、彼女は今隣国に留学中。
帰国をずっと待っている状態ですのに、あえてソコを突かなくても。
「……ジャレてないで話を戻すぞ?」
ナイスタイミングでアシェリーですわ。
アシェ自身、現在頭の中は「したり顔の陛下」でいっぱいでしょうが、仕方ないと諦めている様ですわね。
なんせあの腹黒陛下ですから、悩むだけ心を疲弊させるだけですわ。
「で、今後の方針ですわね?」
「あぁ、フィオはどうするつもりなんだ?私はなるべくなら早めにこの茶番を終わらせたいんだが……気持ち悪くて敵わん」
まぁ、アシェリーはそうでしょうね。
「そうですわね。私もそろそろ次のステップに移行しようかと考えていたところです。それについては「彼女」に協力を願うつもりですわ」
そう、少し前に別邸に家族と出かけた時に「奇跡的」に出会った「彼女」に。
「何故…と聞いていいのかしら?」
そう言いながら、私の膝に視線を落とすベルバラ。
「ふふっ、勿論よ」
部屋に入り、ソファーに腰掛けた時から膝に抱く「彼女」の背をひとなでしながら、私は今後の計画を口にいたしました。
まぁ、結果各々の反応は上々。
皆の反対もありませんでしたので、このまま小娘達を地獄まで一気にご案内と言う形になりましたわ。
13
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説
『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……
Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。
優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。
そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。
しかしこの時は誰も予想していなかった。
この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを……
アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを……
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
[連載中]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜
コマメコノカ@異世界恋愛ざまぁ連載
恋愛
王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。
そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。
お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです
めぐめぐ
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。
さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。
しかしナディアは全く気にしていなかった。
何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから――
偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。
※頭からっぽで
※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。
※夫婦仲は良いです
※私がイメージするサバ女子です(笑)
下げ渡された婚約者
相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。
しかしある日、第一王子である兄が言った。
「ルイーザとの婚約を破棄する」
愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。
「あのルイーザが受け入れたのか?」
「代わりの婿を用意するならという条件付きで」
「代わり?」
「お前だ、アルフレッド!」
おさがりの婚約者なんて聞いてない!
しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。
アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。
「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」
「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
わたしは不要だと、仰いましたね
ごろごろみかん。
恋愛
十七年、全てを擲って国民のため、国のために尽くしてきた。何ができるか、何が出来ないか。出来ないものを実現させるためにはどうすればいいのか。
試行錯誤しながらも政治に生きた彼女に突きつけられたのは「王太子妃に相応しくない」という婚約破棄の宣言だった。わたしに足りないものは何だったのだろう?
国のために全てを差し出した彼女に残されたものは何も無い。それなら、生きている意味も──
生きるよすがを失った彼女に声をかけたのは、悪名高い公爵子息。
「きみ、このままでいいの?このまま捨てられて終わりなんて、悔しくない?」
もちろん悔しい。
だけどそれ以上に、裏切られたショックの方が大きい。愛がなくても、信頼はあると思っていた。
「きみに足りないものを教えてあげようか」
男は笑った。
☆
国を変えたい、という気持ちは変わらない。
王太子妃の椅子が使えないのであれば、実力行使するしか──ありませんよね。
*以前掲載していたもののリメイク
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる