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44 ホウレンソウは大事ですわ①
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「お嬢様、アシェリー殿下がいらっしゃいました」
軽く叩かれたドアに返事をすると、専属侍女であるカトレアから、アシェリーが我が家に到着したと言う知らせでした。
「あら、随分早かったですわね?」
最近公務が立て込んでいると兄様から聞いていましたが…大丈夫だったのかしら。
ま、「あの」アシェリーですから、心配するだけ無駄と言うものですわね。
さて、これで全員揃いましたし、客間に招集しませんと。
「カトレア、ヘンリーとベルバラを呼んできてちょうだい?お庭にいるはずだから。兄様は私が呼びに行きますわ」
先日兄様に話した通り、今から私達は当事者会議を開催いたします。
現在進行中の「劇場」。
お花畑令嬢「フレア・ラファエロ」のための「舞台」。
名付けて「悪役令嬢と惨劇の乙女」。
ま、この世界でもよくある断罪小説風の題名を私がつけてみたのですが、アシェリーと兄様は複雑そうなお顔をされてましたわね。
「ネーミングセンスが」だとか、「まぁ、フィオだから…」とか、何だか失礼な事を二人が小声で言っておりましたが、オール無視ですわ。
「アシェリー、お前……あの書類の山は終わらせてきたんだろうな?」
…………皆が顔を揃え、ソファーに着席した瞬間、開口一番は兄様からアシェリーへのお仕事の確認でした。
「マルク、お前…」
「何か文句でもあるのか?お前が今日の朝までには仕上げると言ったから私は休暇をとったのだが?」
普段兄様達は「王族」と「家臣」ですが、プライベートでは従兄弟として、まったく壁がありません。
まぁ、お仕事中も大差ないとはアシェリーに聞いてはいましたが、最近二人がセットになっている場面はお城でしか見てませんでしたから、今の二人の雰囲気、少し嬉しいですわね。
「終わらせて来たに決まってるだろ。私が自分でやると言った仕事が出来ないとでも?」
「いや、一応確認だ。あの量だからな…」
「自分が休んだ事に引け目を感じていたと言う事か……まったく。休めと言ったのは私だぞ?」
なるほど。
仕事量が多い中、アシェリーが兄様に休暇を出したんですのね。
で、兄様はそんなアシェリーを心配して質問したと……はぁ。
…………兄様、とんだツンデレですわね。
「ち、ちがう!ただ私は仕事量を考えてだな!」
やだ、兄様お可愛らしいですわ…って、そんな事を考えてる場合ではありませんでしたわ。
今日は「ホウレンソウ会議」の日ですのに!
「兄様、アシェ?そろそろ宜しくて?」
私の一言(お母様直伝の笑み付き)に、一気に姿勢を正す二人。
少々イラッとしますが、まぁ先に進めましょうか。
「あらためまして、「悪役令嬢と惨劇の乙女」についての報告と対策を話し合いたいと思います」
私が作戦名を口にした瞬間の皆様(特にアシェリーと兄様)のお顔がちょっと微妙ですが、サクサク進めますわよ!
とりあえず、学園での実情を知らない兄様の為、最近の出来事からかいつまんで説明開始ですわ。
「とりあえず、コム…ではなかった、ラファエロさんの傾向ですが、中々に楽しい事になっていますわ。まず最近の傾向としては、とにかく三馬鹿がさらにパワーアップ。それから、マーシャル先生が陛下からの命で嫌々彼女のご機嫌取りを始められましたわ。後は、アシェへの態度が急激に馴れ馴れしいものになりましたわね」
「あれは……本当に苦痛だ。先日は許可も出していないのに図書館で横に座ってきた挙句、急に私の腕に自分の腕をからめてきたんだ…しかも、ダメだ…思い出しただけで吐き気がする」
若干青いお顔で静かに口を開いたアシェリーですが……見ていた方の話しでは、アシェリーに腕を絡めた挙句、お胸をこれでもかと押し付けていたらしいです。
しかも、ご立派とは言えないお胸のため、無理やりな体勢だったそうですわ。
……想像したら、ちょっと痛々しいですわね。
それに……ただでさえ、アシェは幼少期から「私と婚約を!」攻撃を高位令嬢方から受けすぎて、圧の強い女性には軽いトラウマがあります。彼にとってこれは相当大打撃だったと思いますわ。
「後は……そうですわね、彼女「怪しい薬」を使用し始めたみたいですわ」
あら、皆様のお顔が一気に引き締まりましたわね。
「まぁ、薬と言う表現で合っているかは分かりませんが……アレは危険ですわ」
実際は、ゲーム内で使用される「キーアイテム」ですが、この現実世界では別の意味をもつ薬になります。
あのアイテム「マジッククッキー」は、相手の好感度を下げない為のアイテム。
つまり、現実になったこの世界であのアイテムは、国での禁止薬「媚薬」に分類されてしまいます。
つまり、あの小娘…………。
「彼女、自身のスキル「魅了せし者」を無意識に使用して「媚薬」に近いものを作り出しているみたいですわ。あの三馬鹿に最近定期的に渡しているみたいですが、日に日にあの三人がおかしくなっていますもの」
軽く叩かれたドアに返事をすると、専属侍女であるカトレアから、アシェリーが我が家に到着したと言う知らせでした。
「あら、随分早かったですわね?」
最近公務が立て込んでいると兄様から聞いていましたが…大丈夫だったのかしら。
ま、「あの」アシェリーですから、心配するだけ無駄と言うものですわね。
さて、これで全員揃いましたし、客間に招集しませんと。
「カトレア、ヘンリーとベルバラを呼んできてちょうだい?お庭にいるはずだから。兄様は私が呼びに行きますわ」
先日兄様に話した通り、今から私達は当事者会議を開催いたします。
現在進行中の「劇場」。
お花畑令嬢「フレア・ラファエロ」のための「舞台」。
名付けて「悪役令嬢と惨劇の乙女」。
ま、この世界でもよくある断罪小説風の題名を私がつけてみたのですが、アシェリーと兄様は複雑そうなお顔をされてましたわね。
「ネーミングセンスが」だとか、「まぁ、フィオだから…」とか、何だか失礼な事を二人が小声で言っておりましたが、オール無視ですわ。
「アシェリー、お前……あの書類の山は終わらせてきたんだろうな?」
…………皆が顔を揃え、ソファーに着席した瞬間、開口一番は兄様からアシェリーへのお仕事の確認でした。
「マルク、お前…」
「何か文句でもあるのか?お前が今日の朝までには仕上げると言ったから私は休暇をとったのだが?」
普段兄様達は「王族」と「家臣」ですが、プライベートでは従兄弟として、まったく壁がありません。
まぁ、お仕事中も大差ないとはアシェリーに聞いてはいましたが、最近二人がセットになっている場面はお城でしか見てませんでしたから、今の二人の雰囲気、少し嬉しいですわね。
「終わらせて来たに決まってるだろ。私が自分でやると言った仕事が出来ないとでも?」
「いや、一応確認だ。あの量だからな…」
「自分が休んだ事に引け目を感じていたと言う事か……まったく。休めと言ったのは私だぞ?」
なるほど。
仕事量が多い中、アシェリーが兄様に休暇を出したんですのね。
で、兄様はそんなアシェリーを心配して質問したと……はぁ。
…………兄様、とんだツンデレですわね。
「ち、ちがう!ただ私は仕事量を考えてだな!」
やだ、兄様お可愛らしいですわ…って、そんな事を考えてる場合ではありませんでしたわ。
今日は「ホウレンソウ会議」の日ですのに!
「兄様、アシェ?そろそろ宜しくて?」
私の一言(お母様直伝の笑み付き)に、一気に姿勢を正す二人。
少々イラッとしますが、まぁ先に進めましょうか。
「あらためまして、「悪役令嬢と惨劇の乙女」についての報告と対策を話し合いたいと思います」
私が作戦名を口にした瞬間の皆様(特にアシェリーと兄様)のお顔がちょっと微妙ですが、サクサク進めますわよ!
とりあえず、学園での実情を知らない兄様の為、最近の出来事からかいつまんで説明開始ですわ。
「とりあえず、コム…ではなかった、ラファエロさんの傾向ですが、中々に楽しい事になっていますわ。まず最近の傾向としては、とにかく三馬鹿がさらにパワーアップ。それから、マーシャル先生が陛下からの命で嫌々彼女のご機嫌取りを始められましたわ。後は、アシェへの態度が急激に馴れ馴れしいものになりましたわね」
「あれは……本当に苦痛だ。先日は許可も出していないのに図書館で横に座ってきた挙句、急に私の腕に自分の腕をからめてきたんだ…しかも、ダメだ…思い出しただけで吐き気がする」
若干青いお顔で静かに口を開いたアシェリーですが……見ていた方の話しでは、アシェリーに腕を絡めた挙句、お胸をこれでもかと押し付けていたらしいです。
しかも、ご立派とは言えないお胸のため、無理やりな体勢だったそうですわ。
……想像したら、ちょっと痛々しいですわね。
それに……ただでさえ、アシェは幼少期から「私と婚約を!」攻撃を高位令嬢方から受けすぎて、圧の強い女性には軽いトラウマがあります。彼にとってこれは相当大打撃だったと思いますわ。
「後は……そうですわね、彼女「怪しい薬」を使用し始めたみたいですわ」
あら、皆様のお顔が一気に引き締まりましたわね。
「まぁ、薬と言う表現で合っているかは分かりませんが……アレは危険ですわ」
実際は、ゲーム内で使用される「キーアイテム」ですが、この現実世界では別の意味をもつ薬になります。
あのアイテム「マジッククッキー」は、相手の好感度を下げない為のアイテム。
つまり、現実になったこの世界であのアイテムは、国での禁止薬「媚薬」に分類されてしまいます。
つまり、あの小娘…………。
「彼女、自身のスキル「魅了せし者」を無意識に使用して「媚薬」に近いものを作り出しているみたいですわ。あの三馬鹿に最近定期的に渡しているみたいですが、日に日にあの三人がおかしくなっていますもの」
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