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41 シナリオは私が作りますわ。
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盛大に泣きじゃくる小娘。そして、そんな彼女をあやす三馬鹿。
そんな馬鹿馬鹿しい茶番を尻目に、私は一人颯爽と教室に向かいました。
後ろで何やら罵声が飛んでおりましたが、知った事ではありませんわ。
登校時間の真っ只中で「事」を起こしましたからね。
噂が大好きな貴族令嬢や子息達には、絶好の話題になったはずですわ。
「さて、次はアシェの出番ですわね」
廊下を歩きながら、思わず笑みがもれます。
彼、今回あまり乗り気ではなかったですが、結局折れざるをえませんでしたわね。
まぁ、当たり前ですわね。あの小娘が今後もたらすであろう厄災を考えたら。
「さて、ちゃんと演じてくれないと困りますわよアシェリー殿下」
*****
「アシェリーさまぁ!助けてくださぁ~い!」
小娘の間の抜けた悲鳴が教室中に響き渡ったのは、朝の騒動から数時間後の放課後でした。
彼女の登場に、クラス中の視線が刺さります。
皆様朝の騒動をご存知みたいですわね。
なんだか興味津々な視線が沢山ですわ。
それにしても、偉いですわねラファエロさん。
本当、お花畑な可愛いオツムですわ。
私の策略にホイホイ乗ってくださるんですもの。
「私、アシェリーさましかもうたよれません」
ちゃんとゲームに寄せて動いてくれて助かりますわ。
シナリオでのイベントは放課後が多かったですものね。
まぁ、今日は移動教室が多く、貴女がこのクラスに来る時間が無かったのも遅くなった理由でしょうけど、おかげで「私達」も動きやすくて助かりますわ。
そんな中、やる気のないアシェリーが、フワリと………いえ、ぎこちない笑顔でラファエロさんに応えましたわ。
「……ラファエロ嬢、何かあったのかい?」
うん、五十点。
朝から乗り気ではないのは分かってましたが、これはいけませんわ。
ちゃんと演じてくださらないと、小娘に勘ぐられますわよ?
(まったく、嫌いなのは分かりますか)
若干やる気のない返答をするアシェに、私はわざと「ゴホン」と咳払いをしてみせました。
その瞬間、体をビクリと反応させるアシェリー。
あら、そんなに怯えた顔をなさるなら、始めからちゃんとやってくださればいいのに。
「フィオラさまがぁ~!また私に意地悪してきたんですぅ」
とりあえず、小娘は全然気にしてませんでしたわね。ある意味良かったですわ。
「王太子殿下」がこんなに嫌そうに笑顔を作っていても、流れがシナリオに近いと「何も感じないフィルター」が掛かるのかしら。
「イジワル…トハ?」
アシェリー、貴方やる気あるんですの?
なんですか、その棒読みは。
嫌な相手でも笑顔で対応してきた、王族としての貴方は何処に行きましたの?早く帰ってこなければ、私また「ゴホン」ってしますわよ?
「この間新しく買った教科書がバラバラになってたんです!側には「コレ」が落ちててぇ」
ハラハラと泣きながら庇護欲を誘う表情をする小娘。
そして、これ見よがしに「バーン」と、青薔薇の紋の刺繍が入った白いハンカチを両手でかかげました。
間違いなく、私のハンカチですわ。
青薔薇は我が家を表す花。
そして、その造形で個人が分かる仕組みになっています。
因みに、私の紋は、青薔薇に白蛇が巻き付いておりますの。
この紋は王家に嫁ぎ、紋が変わった叔母様から譲り受けたものですわ。
つまり、悪役令嬢と同じ紋と言う事ですわね。
今回、それを上手く利用させて頂きましたわ。
ゲームでもこの紋が入ったハンカチがキーアイテムでしたから。
「それは……、フィオラの」
近すぎる位目の前にかかげられたハンカチを、ちょっと嫌そうな目で確認したアシェは、驚いた表情を作りながら私に視線をもってきました。
「フィオラ、君」
あら、やっとやる気になったみたいですわね。
アシェ、偉い偉いですわよ?
「私が何か?」
私は、真剣な視線を向ける彼と向き合い、鼻で笑い飛ばしました。
そして、自分でも笑える程の冷酷な表情で微笑み返しましたわ。
これぞ「悪役令嬢」ですわね。
「そのハンカチは私が以前紛失したものですわ。ラファエロさん、わざわざ届けてくださったのね?親切にどうも」
「え、何を!」
「でも、コレはもう必要ありませんわね」
無言で微笑みつつ、小娘の手からスルリとハンカチを引き抜きました。
そして、刺繍された紋を魔法で消去。
何故消したかですか?
だって悪用された場合困りますでしょ?
「常識知らずな小娘の触れたハンカチなど要りませんわ」
私は氷の様な目線を小娘に向け、ハンカチをゴミ箱へ落としました。
そんな馬鹿馬鹿しい茶番を尻目に、私は一人颯爽と教室に向かいました。
後ろで何やら罵声が飛んでおりましたが、知った事ではありませんわ。
登校時間の真っ只中で「事」を起こしましたからね。
噂が大好きな貴族令嬢や子息達には、絶好の話題になったはずですわ。
「さて、次はアシェの出番ですわね」
廊下を歩きながら、思わず笑みがもれます。
彼、今回あまり乗り気ではなかったですが、結局折れざるをえませんでしたわね。
まぁ、当たり前ですわね。あの小娘が今後もたらすであろう厄災を考えたら。
「さて、ちゃんと演じてくれないと困りますわよアシェリー殿下」
*****
「アシェリーさまぁ!助けてくださぁ~い!」
小娘の間の抜けた悲鳴が教室中に響き渡ったのは、朝の騒動から数時間後の放課後でした。
彼女の登場に、クラス中の視線が刺さります。
皆様朝の騒動をご存知みたいですわね。
なんだか興味津々な視線が沢山ですわ。
それにしても、偉いですわねラファエロさん。
本当、お花畑な可愛いオツムですわ。
私の策略にホイホイ乗ってくださるんですもの。
「私、アシェリーさましかもうたよれません」
ちゃんとゲームに寄せて動いてくれて助かりますわ。
シナリオでのイベントは放課後が多かったですものね。
まぁ、今日は移動教室が多く、貴女がこのクラスに来る時間が無かったのも遅くなった理由でしょうけど、おかげで「私達」も動きやすくて助かりますわ。
そんな中、やる気のないアシェリーが、フワリと………いえ、ぎこちない笑顔でラファエロさんに応えましたわ。
「……ラファエロ嬢、何かあったのかい?」
うん、五十点。
朝から乗り気ではないのは分かってましたが、これはいけませんわ。
ちゃんと演じてくださらないと、小娘に勘ぐられますわよ?
(まったく、嫌いなのは分かりますか)
若干やる気のない返答をするアシェに、私はわざと「ゴホン」と咳払いをしてみせました。
その瞬間、体をビクリと反応させるアシェリー。
あら、そんなに怯えた顔をなさるなら、始めからちゃんとやってくださればいいのに。
「フィオラさまがぁ~!また私に意地悪してきたんですぅ」
とりあえず、小娘は全然気にしてませんでしたわね。ある意味良かったですわ。
「王太子殿下」がこんなに嫌そうに笑顔を作っていても、流れがシナリオに近いと「何も感じないフィルター」が掛かるのかしら。
「イジワル…トハ?」
アシェリー、貴方やる気あるんですの?
なんですか、その棒読みは。
嫌な相手でも笑顔で対応してきた、王族としての貴方は何処に行きましたの?早く帰ってこなければ、私また「ゴホン」ってしますわよ?
「この間新しく買った教科書がバラバラになってたんです!側には「コレ」が落ちててぇ」
ハラハラと泣きながら庇護欲を誘う表情をする小娘。
そして、これ見よがしに「バーン」と、青薔薇の紋の刺繍が入った白いハンカチを両手でかかげました。
間違いなく、私のハンカチですわ。
青薔薇は我が家を表す花。
そして、その造形で個人が分かる仕組みになっています。
因みに、私の紋は、青薔薇に白蛇が巻き付いておりますの。
この紋は王家に嫁ぎ、紋が変わった叔母様から譲り受けたものですわ。
つまり、悪役令嬢と同じ紋と言う事ですわね。
今回、それを上手く利用させて頂きましたわ。
ゲームでもこの紋が入ったハンカチがキーアイテムでしたから。
「それは……、フィオラの」
近すぎる位目の前にかかげられたハンカチを、ちょっと嫌そうな目で確認したアシェは、驚いた表情を作りながら私に視線をもってきました。
「フィオラ、君」
あら、やっとやる気になったみたいですわね。
アシェ、偉い偉いですわよ?
「私が何か?」
私は、真剣な視線を向ける彼と向き合い、鼻で笑い飛ばしました。
そして、自分でも笑える程の冷酷な表情で微笑み返しましたわ。
これぞ「悪役令嬢」ですわね。
「そのハンカチは私が以前紛失したものですわ。ラファエロさん、わざわざ届けてくださったのね?親切にどうも」
「え、何を!」
「でも、コレはもう必要ありませんわね」
無言で微笑みつつ、小娘の手からスルリとハンカチを引き抜きました。
そして、刺繍された紋を魔法で消去。
何故消したかですか?
だって悪用された場合困りますでしょ?
「常識知らずな小娘の触れたハンカチなど要りませんわ」
私は氷の様な目線を小娘に向け、ハンカチをゴミ箱へ落としました。
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