25 / 51
25 守りし者
しおりを挟む
…………あの小娘は、頭大丈夫…ではなかったわね。
「ネェ様……僕はあの令嬢恐ろしいです」
「あらヘンリー、意見が合うわね。フィオ、私…あれはもう理解不能よ」
弟と幼馴染の言葉に、思わず頷いてしまう私。
私も頭が追いつかなくなりそうよ。
「あれは、もうダメですわね。王族に対して尊敬などの気持ちは一切持ち合わせていないみたいだわ」
仕方ないですが、やはり出るしかないのかしらね。
「君は……何を言っているんだ?失礼だが、私には理解出来ないんだが」
小娘の言葉に、アシェリーの思考が一瞬止まりました。
まぁ、無理もないですわね。
こんな可笑しな思考の人間は、アシェリーの人生初でしょうから。
「えぇ~、何でですがぁ?だから、私がアシェリーさまの婚約者になれば、アシェリーさまは周りを気にする必要も無くなりますし、イチャイチャし放題ですよ?」
…………あら?
小娘の言葉に、理解が追いつかなくなったのでしょうね。
アシェリーはオートマタのように、グリンと此方に…私にお顔を向けてきました。
お首の関節……大丈夫かしら。
はぁ…気持ちは分かりますが、まだまだですわ。
こんな時、あなたのお父様でしたら、軽く相手を去なされるでしょうに。
精進しないといけませんわね?アシェ。
さて、では私の出番ですわね…本当、仕方のない「主」ですわ。
私は、弟達を後に、スクリと立ち上がると、真っ直ぐに迷惑な集団へと歩き始めました。
「いい加減、見ているのも疲れましたわ」
その瞬間、小娘をはじめ、後ろの金魚のフ…ゴホン、後ろの男性方が驚いた表情で此方にご注目されました。
まぁ、アシェは初めから気づいていたため、逆に申し訳なさそうですが。
本当にヘタレなんですから。
ギフトを使われたのはご自分でしょうに。
王家の固有ギフトである「統治者」についなす我が家の固有ギフト。
王家を守りし者「監視者」。
よりによって、家を離れてしまう女の私が頂いてしまったギフト。
因みに、兄様も所有していますわね。ヘンリーは上手く別ギフトを頂きましたわ…本当に、羨ましい限りですわね。
「監視者」は、「統治者」の力に反応し、そのギフトを持つ者を主として力を発揮する守護のギフト。
つまり、統治者を持つアシェリーが力を発動させている間は、私はその盾であり剣になる定めなのです。
ここだけ聞くと、まるで奴隷でしょ?
ですが、統治者の力によって、監視者はいかようにも強くなれます。主の能力が強ければ強いほど、そのついの観察者は力を与えられるのです。
因みに、発動条件は、統治者がギフトを使用するだけ。
ギフト発動時、その効果範囲にいる監視者は強制的に力を発動させられるのです。
ある意味本当に迷惑…まぁ、仕方のない事ですが。
現在、アシェは「何故か」小娘に対してギフトを発動なさいました。
追い込まれて…にしてはおかしいので、「何」か二人の間にあるのでしょうが…。
いかんせん、統治者の「目」に映るものを監視者は見る事ができません。
…まぁ、裏技が無いこともないのですが、やりたくないのが本音ですわね。
アシェリーに近づくと同時に、私のギフトの力が増幅しましたわね。
今なら、この学園の建物を半壊するほどの力は余裕でありますわ。
多分、一発でいけますわね。本当、アシェの力は化け物ですわ。
「な、何でアンタが出しゃばって来るのよ!今はアシェリーさまとのイベ…じゃない、ラブラブタイムの最中よ!邪魔しないで」
小娘…今「イベント」と言いかけましたわね。
まぁいいですわ。
いくら小娘が頑張ろうと、このなんちゃってイベントは達成されませんもの。
「ラファエロさん?貴女、何か勘違いされてるのではなくて?私は別にアシェリーが誰と婚約しようが本人が良ければ問題ないと思っていますわよ?」
溜息を交え、よく通る声で小娘にそう言うと、案の定、勘違いなお馬鹿さんは顔色を変えられました。
「何?じやぁ、フィオラさまはぁ~、私とアシェリーさまを応援してくれるって事ですかぁ?なぁんだぁ~」
嬉しそうに、そして不敵にいやらしく笑う小娘。
気持ち悪い以外の何者でもありませんわ。
「あら?そう聞こえまして?やはりオツムが弱い方はいけませんわね。アシェリーが良ければと言いましたでしょ?彼のこの顔が承諾したお顔に見えているなら眼科をお薦めしますわ。しかも、今アシェリーがどんな状態かも気付いていないなんて……まぁ、そこの我が婚約者様はお気付きみたいですが……腐っても騎士の家系でしたわね」
クズ男にしてはよく気付いたものですわ。
アシェリーが纏う統治者の力と、私が纏う監視者の力。
私が纏う力は、アシェリーの力に比例する。
分かる者からすればかなりの「圧」になっているでしょうね。
思わず、クズ男に不敵な笑みをみせてしまいましたわ。
その瞬間、化け物を見るような目で私を見るクズ男。
本当、相も変わらず失礼な男ですわ。
「ネェ様……僕はあの令嬢恐ろしいです」
「あらヘンリー、意見が合うわね。フィオ、私…あれはもう理解不能よ」
弟と幼馴染の言葉に、思わず頷いてしまう私。
私も頭が追いつかなくなりそうよ。
「あれは、もうダメですわね。王族に対して尊敬などの気持ちは一切持ち合わせていないみたいだわ」
仕方ないですが、やはり出るしかないのかしらね。
「君は……何を言っているんだ?失礼だが、私には理解出来ないんだが」
小娘の言葉に、アシェリーの思考が一瞬止まりました。
まぁ、無理もないですわね。
こんな可笑しな思考の人間は、アシェリーの人生初でしょうから。
「えぇ~、何でですがぁ?だから、私がアシェリーさまの婚約者になれば、アシェリーさまは周りを気にする必要も無くなりますし、イチャイチャし放題ですよ?」
…………あら?
小娘の言葉に、理解が追いつかなくなったのでしょうね。
アシェリーはオートマタのように、グリンと此方に…私にお顔を向けてきました。
お首の関節……大丈夫かしら。
はぁ…気持ちは分かりますが、まだまだですわ。
こんな時、あなたのお父様でしたら、軽く相手を去なされるでしょうに。
精進しないといけませんわね?アシェ。
さて、では私の出番ですわね…本当、仕方のない「主」ですわ。
私は、弟達を後に、スクリと立ち上がると、真っ直ぐに迷惑な集団へと歩き始めました。
「いい加減、見ているのも疲れましたわ」
その瞬間、小娘をはじめ、後ろの金魚のフ…ゴホン、後ろの男性方が驚いた表情で此方にご注目されました。
まぁ、アシェは初めから気づいていたため、逆に申し訳なさそうですが。
本当にヘタレなんですから。
ギフトを使われたのはご自分でしょうに。
王家の固有ギフトである「統治者」についなす我が家の固有ギフト。
王家を守りし者「監視者」。
よりによって、家を離れてしまう女の私が頂いてしまったギフト。
因みに、兄様も所有していますわね。ヘンリーは上手く別ギフトを頂きましたわ…本当に、羨ましい限りですわね。
「監視者」は、「統治者」の力に反応し、そのギフトを持つ者を主として力を発揮する守護のギフト。
つまり、統治者を持つアシェリーが力を発動させている間は、私はその盾であり剣になる定めなのです。
ここだけ聞くと、まるで奴隷でしょ?
ですが、統治者の力によって、監視者はいかようにも強くなれます。主の能力が強ければ強いほど、そのついの観察者は力を与えられるのです。
因みに、発動条件は、統治者がギフトを使用するだけ。
ギフト発動時、その効果範囲にいる監視者は強制的に力を発動させられるのです。
ある意味本当に迷惑…まぁ、仕方のない事ですが。
現在、アシェは「何故か」小娘に対してギフトを発動なさいました。
追い込まれて…にしてはおかしいので、「何」か二人の間にあるのでしょうが…。
いかんせん、統治者の「目」に映るものを監視者は見る事ができません。
…まぁ、裏技が無いこともないのですが、やりたくないのが本音ですわね。
アシェリーに近づくと同時に、私のギフトの力が増幅しましたわね。
今なら、この学園の建物を半壊するほどの力は余裕でありますわ。
多分、一発でいけますわね。本当、アシェの力は化け物ですわ。
「な、何でアンタが出しゃばって来るのよ!今はアシェリーさまとのイベ…じゃない、ラブラブタイムの最中よ!邪魔しないで」
小娘…今「イベント」と言いかけましたわね。
まぁいいですわ。
いくら小娘が頑張ろうと、このなんちゃってイベントは達成されませんもの。
「ラファエロさん?貴女、何か勘違いされてるのではなくて?私は別にアシェリーが誰と婚約しようが本人が良ければ問題ないと思っていますわよ?」
溜息を交え、よく通る声で小娘にそう言うと、案の定、勘違いなお馬鹿さんは顔色を変えられました。
「何?じやぁ、フィオラさまはぁ~、私とアシェリーさまを応援してくれるって事ですかぁ?なぁんだぁ~」
嬉しそうに、そして不敵にいやらしく笑う小娘。
気持ち悪い以外の何者でもありませんわ。
「あら?そう聞こえまして?やはりオツムが弱い方はいけませんわね。アシェリーが良ければと言いましたでしょ?彼のこの顔が承諾したお顔に見えているなら眼科をお薦めしますわ。しかも、今アシェリーがどんな状態かも気付いていないなんて……まぁ、そこの我が婚約者様はお気付きみたいですが……腐っても騎士の家系でしたわね」
クズ男にしてはよく気付いたものですわ。
アシェリーが纏う統治者の力と、私が纏う監視者の力。
私が纏う力は、アシェリーの力に比例する。
分かる者からすればかなりの「圧」になっているでしょうね。
思わず、クズ男に不敵な笑みをみせてしまいましたわ。
その瞬間、化け物を見るような目で私を見るクズ男。
本当、相も変わらず失礼な男ですわ。
1
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説

今更何の御用でしょう? ウザいので止めて下さいませんか?
ノアにゃん
恋愛
私は3年前に幼馴染の王子に告白して「馬鹿じゃないの?」と最低な一瞬で振られた侯爵令嬢
その3年前に私を振った王子がいきなりベタベタし始めた
はっきり言ってウザい、しつこい、キモい、、、
王子には言いませんよ?不敬罪になりますもの。
そして私は知りませんでした。これが1,000年前の再来だという事を…………。
※ 8/ 9 HOTランキング 2位 ありがとう御座います‼
※ 8/ 9 HOTランキング 1位 ありがとう御座います‼
※過去最高 154,000ポイント ありがとう御座います‼

【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中

今更ですか?結構です。
みん
恋愛
完結後に、“置き場”に後日談を投稿しています。
エルダイン辺境伯の長女フェリシティは、自国であるコルネリア王国の第一王子メルヴィルの5人居る婚約者候補の1人である。その婚約者候補5人の中でも幼い頃から仲が良かった為、フェリシティが婚約者になると思われていたが──。
え?今更ですか?誰もがそれを望んでいるとは思わないで下さい──と、フェリシティはニッコリ微笑んだ。
相変わらずのゆるふわ設定なので、優しく見てもらえると助かります。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

私が妻です!
ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。
王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。
侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。
そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。
世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。
5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。
★★★なろう様では最後に閑話をいれています。
脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。
他のサイトにも投稿しています。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

【完結】仕事を放棄した結果、私は幸せになれました。
キーノ
恋愛
わたくしは乙女ゲームの悪役令嬢みたいですわ。悪役令嬢に転生したと言った方がラノベあるある的に良いでしょうか。
ですが、ゲーム内でヒロイン達が語られる用な悪事を働いたことなどありません。王子に嫉妬? そのような無駄な事に時間をかまけている時間はわたくしにはありませんでしたのに。
だってわたくし、週4回は王太子妃教育に王妃教育、週3回で王妃様とのお茶会。お茶会や教育が終わったら王太子妃の公務、王子殿下がサボっているお陰で回ってくる公務に、王子の管轄する領の嘆願書の整頓やら収益やら税の計算やらで、わたくし、ちっとも自由時間がありませんでしたのよ。
こんなに忙しい私が、最後は冤罪にて処刑ですって? 学園にすら通えて無いのに、すべてのルートで私は処刑されてしまうと解った今、わたくしは全ての仕事を放棄して、冤罪で処刑されるその時まで、押しと穏やかに過ごしますわ。
※さくっと読める悪役令嬢モノです。
2月14~15日に全話、投稿完了。
感想、誤字、脱字など受け付けます。
沢山のエールにお気に入り登録、ありがとうございます。現在執筆中の新作の励みになります。初期作品のほうも見てもらえて感無量です!
恋愛23位にまで上げて頂き、感謝いたします。

【完結】護衛騎士と令嬢の恋物語は美しい・・・傍から見ている分には
月白ヤトヒコ
恋愛
没落寸前の伯爵令嬢が、成金商人に金で買われるように望まぬ婚約させられ、悲嘆に暮れていたとき、商人が雇った護衛騎士と許されない恋に落ちた。
令嬢は屋敷のみんなに応援され、ある日恋する護衛騎士がさる高位貴族の息子だと判明した。
愛で結ばれた令嬢と護衛騎士は、商人に婚約を解消してほしいと告げ――――
婚約は解消となった。
物語のような展開。されど、物語のようにめでたしめでたしとはならなかった話。
視点は、成金の商人視点。
設定はふわっと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる