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「……すまない」
いえ、アシェが謝る事ではないのでは?
「何故貴方が謝るのです?」
「いや、その………親だし」
なんだかハッキリしない言い回しですね。
もしかして、アシェ自身が、今回の叔母様の暴走に関与してますの?
「アシェ、貴方も当事者ですか?」
「え!い、いや、そうではないが……そうとも言えるんだろうか?」
…………私に疑問符を投げかけても、知りませんわよ。
このヘタレが。
まぁ、いいですわ。
陛下が絡んでらっしゃる時点で、私から何かを聞いたところで、答えてはくださらないでしょう。
一番考えられる事は。
………推測ですが、多分、小娘の事ですわね。
陛下は、当時の当事者でしたから。
伯母様情報しかありませんが、陛下はあの断罪劇で、「もうやめて!相手のHPはゼロよ!」と言われる位までクズインをボロ雑巾にしたらしいですわ。
悪役令嬢ポジの伯母様が、ドン引きしたらしいです。
「私、彼がヒロインの中の人でなくて、本当に良かったわ」と、溜息混じりに言われたのが、とても印象的でした。
陛下は、溺愛する伯母様に牙をむいたクズインが許せなかったようです。
その陛下が絡んだ、今回のお話。
きっと、最愛の奥様との子であるアシェリーが、大嫌いなクズインとその娘に、ちょっかいを出されたのが気に入らなかったのですね。
「アシェ、愛されてますわね」
「は?」
「陛下も伯母様も、貴方を愛されているから、きっと許せなかったんですわね」
「フィオ?何の事だ?」
「え?………あぁ、話せないのでしたわね。まぁ、私も出来る事は協力しますわ」
ニコリと、アシェリーに笑いかけると、彼は苦々しいお顔になりました。
そんなお顔をされなくても、私はアシェの味方ですわ。
「フィオ………多分違う」
あら、何か解釈を間違えましたでしょうか?
最近の出来事から推測しましたから、多分間違いではないと思いますが。
「フィオ、何故君は頭がいいくせに、たまに斜め上に思考がいくんだ………はぁ、ニブイのは昔からだから仕方ないか」
「アシェ、褒めてますの?貶してますの?」
「いや、褒めてる。君は変わらずにいてくれ」
「?。私は変わるつもりはありませんわ」
まぁ、よく分かりませんが、アシェがいいなら構いませんわ。
そんな中、私の後でフラスコが発光しました。
アシェと話し込んでいて、あやうく忘れるところでした。
私、今実験中でしたわ。
「あら、いけない」
私は急いで踵を返しました。
実験室器具が置かれた机に向かいます。
発光するフラスコからは、大量の魔力が流れ出ておりました。
今、私は白の魔石を使用した、魔法新薬の実験中。
白の魔石は、光属性になります。
因みに、光属性は、回復や清浄の魔法を主としていますわ。
あぁ、そうそう。好きマジのヒロインの属性は「光」でしたわね。
設定で決まっていたとは言え、あの性格で光属性はないですわ。
癒しとは真逆の方ですもの。
悪役令嬢であった伯母様は「闇」。どう考えても、属性逆ですわ。
そう言えば、リンファは元気かしら。
叔母様の契約精霊である、闇の精霊。
あの、ツヤツヤキューティクルな毛並みは素晴らしいですわ。
と、脱線しましたが、私は発光したフラスコを器具から外すと、広げた羊皮紙に中身をぶちまけました。
その瞬間、出てきた液体が、飴玉のようにコロコロと固まってゆきます。
全ての液体を出したころには、羊皮紙いっぱいの飴玉状の薬が出来上がっておりました。
「フィオ、何だソレ」
「え?あぁ、これは、先日アシェに頂いた白の魔石から生成したものです」
「効能は?」
やはり気になりますわよね。
ですが、聞かない方がよいのではないかしら。
「…………回復薬です」
「白を使った時点で分かる。私が聞いてるのは効能だ」
アシェ、研究者のお顔ですわ。
面倒ですわね。
「はぁ、効能ですか?………効能は、ハ…はぁ」
「何故しぶる」
「いえ、ご依頼主が前王様でして…言っていいものか」
「お祖父様?………どこか具合が悪いのか!聞いていないぞ」
早くに退位され、今は御隠居された前王様。
元気すぎる位元気な方ですものね。
アシェが焦るのも分かりますが。
「父上達は知っているのか!」
ですが、この悩みは……ご家族には中々言えませんわよね。
私が言っていいのかしら。
「ご病気…と言っていいのか分かりませんが、陛下や伯母様はご存知ないかと。多分前王妃様はご存じですわ」
「お祖父様は何のご病気なんだ」
うーん、仕方ないですわねぇ。
変に誤解されてもアレですし。
「ですから、ご病気と言ってよいのか分かりませんが……これは「毛生え薬」です」
私の言葉にアシェがピタリと止まりました。
「は?」
「ですから、これはハ…ゴホンッ、薄毛のお薬ですわ」
まぁ、そうなりますわよね。
私も、魔法研究機関を介してご依頼を頂いた時は、「え?」と、なりましたから。
まぁ、男性にはハゲは重大なものとお聞きしましたから、ご依頼をお受けしましたけど。
そうそう、必要な白の魔石が不足していたので、アシェに頂けて良かったですわ。
お祖父様孝行が出来て良かったですねアシェリー。
「毛生え薬、毛生え薬………毛生え薬」
「アシェ、連呼なさらないで」
「…………あ、あぁ」
急に老けましたが、まぁ、気持ちは分かりますわ。
だから、しぶりましたのに。
「…………遺伝」
あぁ、心配されてるのはソコでしたか笑
いえ、アシェが謝る事ではないのでは?
「何故貴方が謝るのです?」
「いや、その………親だし」
なんだかハッキリしない言い回しですね。
もしかして、アシェ自身が、今回の叔母様の暴走に関与してますの?
「アシェ、貴方も当事者ですか?」
「え!い、いや、そうではないが……そうとも言えるんだろうか?」
…………私に疑問符を投げかけても、知りませんわよ。
このヘタレが。
まぁ、いいですわ。
陛下が絡んでらっしゃる時点で、私から何かを聞いたところで、答えてはくださらないでしょう。
一番考えられる事は。
………推測ですが、多分、小娘の事ですわね。
陛下は、当時の当事者でしたから。
伯母様情報しかありませんが、陛下はあの断罪劇で、「もうやめて!相手のHPはゼロよ!」と言われる位までクズインをボロ雑巾にしたらしいですわ。
悪役令嬢ポジの伯母様が、ドン引きしたらしいです。
「私、彼がヒロインの中の人でなくて、本当に良かったわ」と、溜息混じりに言われたのが、とても印象的でした。
陛下は、溺愛する伯母様に牙をむいたクズインが許せなかったようです。
その陛下が絡んだ、今回のお話。
きっと、最愛の奥様との子であるアシェリーが、大嫌いなクズインとその娘に、ちょっかいを出されたのが気に入らなかったのですね。
「アシェ、愛されてますわね」
「は?」
「陛下も伯母様も、貴方を愛されているから、きっと許せなかったんですわね」
「フィオ?何の事だ?」
「え?………あぁ、話せないのでしたわね。まぁ、私も出来る事は協力しますわ」
ニコリと、アシェリーに笑いかけると、彼は苦々しいお顔になりました。
そんなお顔をされなくても、私はアシェの味方ですわ。
「フィオ………多分違う」
あら、何か解釈を間違えましたでしょうか?
最近の出来事から推測しましたから、多分間違いではないと思いますが。
「フィオ、何故君は頭がいいくせに、たまに斜め上に思考がいくんだ………はぁ、ニブイのは昔からだから仕方ないか」
「アシェ、褒めてますの?貶してますの?」
「いや、褒めてる。君は変わらずにいてくれ」
「?。私は変わるつもりはありませんわ」
まぁ、よく分かりませんが、アシェがいいなら構いませんわ。
そんな中、私の後でフラスコが発光しました。
アシェと話し込んでいて、あやうく忘れるところでした。
私、今実験中でしたわ。
「あら、いけない」
私は急いで踵を返しました。
実験室器具が置かれた机に向かいます。
発光するフラスコからは、大量の魔力が流れ出ておりました。
今、私は白の魔石を使用した、魔法新薬の実験中。
白の魔石は、光属性になります。
因みに、光属性は、回復や清浄の魔法を主としていますわ。
あぁ、そうそう。好きマジのヒロインの属性は「光」でしたわね。
設定で決まっていたとは言え、あの性格で光属性はないですわ。
癒しとは真逆の方ですもの。
悪役令嬢であった伯母様は「闇」。どう考えても、属性逆ですわ。
そう言えば、リンファは元気かしら。
叔母様の契約精霊である、闇の精霊。
あの、ツヤツヤキューティクルな毛並みは素晴らしいですわ。
と、脱線しましたが、私は発光したフラスコを器具から外すと、広げた羊皮紙に中身をぶちまけました。
その瞬間、出てきた液体が、飴玉のようにコロコロと固まってゆきます。
全ての液体を出したころには、羊皮紙いっぱいの飴玉状の薬が出来上がっておりました。
「フィオ、何だソレ」
「え?あぁ、これは、先日アシェに頂いた白の魔石から生成したものです」
「効能は?」
やはり気になりますわよね。
ですが、聞かない方がよいのではないかしら。
「…………回復薬です」
「白を使った時点で分かる。私が聞いてるのは効能だ」
アシェ、研究者のお顔ですわ。
面倒ですわね。
「はぁ、効能ですか?………効能は、ハ…はぁ」
「何故しぶる」
「いえ、ご依頼主が前王様でして…言っていいものか」
「お祖父様?………どこか具合が悪いのか!聞いていないぞ」
早くに退位され、今は御隠居された前王様。
元気すぎる位元気な方ですものね。
アシェが焦るのも分かりますが。
「父上達は知っているのか!」
ですが、この悩みは……ご家族には中々言えませんわよね。
私が言っていいのかしら。
「ご病気…と言っていいのか分かりませんが、陛下や伯母様はご存知ないかと。多分前王妃様はご存じですわ」
「お祖父様は何のご病気なんだ」
うーん、仕方ないですわねぇ。
変に誤解されてもアレですし。
「ですから、ご病気と言ってよいのか分かりませんが……これは「毛生え薬」です」
私の言葉にアシェがピタリと止まりました。
「は?」
「ですから、これはハ…ゴホンッ、薄毛のお薬ですわ」
まぁ、そうなりますわよね。
私も、魔法研究機関を介してご依頼を頂いた時は、「え?」と、なりましたから。
まぁ、男性にはハゲは重大なものとお聞きしましたから、ご依頼をお受けしましたけど。
そうそう、必要な白の魔石が不足していたので、アシェに頂けて良かったですわ。
お祖父様孝行が出来て良かったですねアシェリー。
「毛生え薬、毛生え薬………毛生え薬」
「アシェ、連呼なさらないで」
「…………あ、あぁ」
急に老けましたが、まぁ、気持ちは分かりますわ。
だから、しぶりましたのに。
「…………遺伝」
あぁ、心配されてるのはソコでしたか笑
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