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ー本編(2)ー
11面倒事がどんどん増える!
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ふーん。
まさか「あの国」の人間と直接会えるとは思わなかった。
「エリオットは知っているから大丈夫として、シルビア、彼は隣国エルドラントの王太子であるルドニーク殿だ」
陛下の言葉に、私は舌打ちしそうになる自分を抑えた。
「お初にお目にかかります。シルビア=サフィールと申します」
不敬に当たるため、椅子から立ち上がり、その場で腰を折りながらも、私は内心穏やかではなかった。
「ルドニーク=エルドラント」。
よく知っているさ。
エルドラント家の「とある王子様」が、下の姉上にしつこい位まとわり付いてるからな…。
うちの国の元バカ王太子と並ぶ、クソだ。
おかげで、「オレ」は、この国の事を嫌でも知る事になった。
このルドニーク殿下は関係ないが、そのバカ王子が、こいつの弟なのだ。
因みに、私の二歳年上の下の姉上である「バイオレット=サフィール」は、今、エルドラント国に留学している。
王立学園を卒業後、まだまだ学びたいからと、隣国に留学に行ってしまったのだ。
…まぁ、あの人は、ウチで一番の行動派だからな。
将来学者にでもなるらしいし、家族ではあの人を止められないのも事実。
止めようものなら、家出しかねない。
と、まぁ、その話は置いといて。
「バイオレットが彼の弟と学園で同級生らしい。
先程彼から聞いて驚いたところだ」
にこやかに言う陛下だか……。
この方は知っているはずだ。なぜ態々私にまで…何かあるのか?
その時。
「君は…宰相の御子息だと聞いていたが……私の勘違いだった様だ。………それにしても」
ルドニーク殿下は、そう言うと何故か私の側まで近づいてきた。
そして、そのまま私の手を取り…。
「何と美しいご令嬢だ。我が国でもここまで美しい方は滅多に見かけない。……シルビア嬢、どうか、私と友人から始めてみないだろうか?貴女さえ良ければ将来恋人になってほしい」
殺したい。
いきなりの爆弾発言に、私の隣にいるエリオット様が、目を見開き石化してしまった。
陛下に関しては、手で口を押さえながら、顔を背ける始末だ。
<絶対笑ってるな……>
それにしても、「宰相の息子」だと聞いているなら、なぜそのまま「エリオット様の婚約者」にならないのか。
女が女の婚約者になれる訳がなかろうが!
私は、殿下からスッと手を引くと、満面の笑みで言い放ってやった。
「申し訳ごさいませんが、ワタクシには男性とお付き合いする趣味はごさいません。それに、エリオット様と言う婚約者を持ちながら、他の方とお付き合いなど…」
その言葉に、殿下が動きを止めた。
「だっ、だが、君は女性だろ?幾ら何でも女同士での結婚は…」
分かってないらしい。
はっきり言わないと通じないのか?
「殿下?私は「男」ですよ?」
その瞬間、目の前の殿下は、一気に顔を赤めた。
それから数秒後。
「貴様!私を憚ったな!よくもその様な姿で!……幾ら友好国の宰相子息とは言え、許されんぞ!」
…………うーわーっ。
弟だけでは無かったようだ。
………こいつもか。
確かに私は今ドレスを着て、髪型もハーフアップにしている。
家の侍女に軽く化粧までされ、どこから見ても女性にしか見えない。
だからと言って、他国の侯爵家に事情も聞かず、頭ごなしに文句を言うとは。
しかも。
幾ら王太子とは言え、他所の国の宰相の息子に言うセリフか?
「やめて、ルドニーク!シルビアの家には事情があるの。彼が好き好んでしている訳ではないわ」
「だか、エリオット!こいつは変態だぞ!」
ったく、どいつもこいつも!
どっかの元男爵夫人と同じ事を言うな!
てか、話噛み合ってないし。
そして、ルドニーク殿下が次に発した一言に、場の空気が一気に冷えたのだった。
「こんな変態にお前はやれん!エリオット!私の妻となり我が国に来い!」
まさか「あの国」の人間と直接会えるとは思わなかった。
「エリオットは知っているから大丈夫として、シルビア、彼は隣国エルドラントの王太子であるルドニーク殿だ」
陛下の言葉に、私は舌打ちしそうになる自分を抑えた。
「お初にお目にかかります。シルビア=サフィールと申します」
不敬に当たるため、椅子から立ち上がり、その場で腰を折りながらも、私は内心穏やかではなかった。
「ルドニーク=エルドラント」。
よく知っているさ。
エルドラント家の「とある王子様」が、下の姉上にしつこい位まとわり付いてるからな…。
うちの国の元バカ王太子と並ぶ、クソだ。
おかげで、「オレ」は、この国の事を嫌でも知る事になった。
このルドニーク殿下は関係ないが、そのバカ王子が、こいつの弟なのだ。
因みに、私の二歳年上の下の姉上である「バイオレット=サフィール」は、今、エルドラント国に留学している。
王立学園を卒業後、まだまだ学びたいからと、隣国に留学に行ってしまったのだ。
…まぁ、あの人は、ウチで一番の行動派だからな。
将来学者にでもなるらしいし、家族ではあの人を止められないのも事実。
止めようものなら、家出しかねない。
と、まぁ、その話は置いといて。
「バイオレットが彼の弟と学園で同級生らしい。
先程彼から聞いて驚いたところだ」
にこやかに言う陛下だか……。
この方は知っているはずだ。なぜ態々私にまで…何かあるのか?
その時。
「君は…宰相の御子息だと聞いていたが……私の勘違いだった様だ。………それにしても」
ルドニーク殿下は、そう言うと何故か私の側まで近づいてきた。
そして、そのまま私の手を取り…。
「何と美しいご令嬢だ。我が国でもここまで美しい方は滅多に見かけない。……シルビア嬢、どうか、私と友人から始めてみないだろうか?貴女さえ良ければ将来恋人になってほしい」
殺したい。
いきなりの爆弾発言に、私の隣にいるエリオット様が、目を見開き石化してしまった。
陛下に関しては、手で口を押さえながら、顔を背ける始末だ。
<絶対笑ってるな……>
それにしても、「宰相の息子」だと聞いているなら、なぜそのまま「エリオット様の婚約者」にならないのか。
女が女の婚約者になれる訳がなかろうが!
私は、殿下からスッと手を引くと、満面の笑みで言い放ってやった。
「申し訳ごさいませんが、ワタクシには男性とお付き合いする趣味はごさいません。それに、エリオット様と言う婚約者を持ちながら、他の方とお付き合いなど…」
その言葉に、殿下が動きを止めた。
「だっ、だが、君は女性だろ?幾ら何でも女同士での結婚は…」
分かってないらしい。
はっきり言わないと通じないのか?
「殿下?私は「男」ですよ?」
その瞬間、目の前の殿下は、一気に顔を赤めた。
それから数秒後。
「貴様!私を憚ったな!よくもその様な姿で!……幾ら友好国の宰相子息とは言え、許されんぞ!」
…………うーわーっ。
弟だけでは無かったようだ。
………こいつもか。
確かに私は今ドレスを着て、髪型もハーフアップにしている。
家の侍女に軽く化粧までされ、どこから見ても女性にしか見えない。
だからと言って、他国の侯爵家に事情も聞かず、頭ごなしに文句を言うとは。
しかも。
幾ら王太子とは言え、他所の国の宰相の息子に言うセリフか?
「やめて、ルドニーク!シルビアの家には事情があるの。彼が好き好んでしている訳ではないわ」
「だか、エリオット!こいつは変態だぞ!」
ったく、どいつもこいつも!
どっかの元男爵夫人と同じ事を言うな!
てか、話噛み合ってないし。
そして、ルドニーク殿下が次に発した一言に、場の空気が一気に冷えたのだった。
「こんな変態にお前はやれん!エリオット!私の妻となり我が国に来い!」
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