黒い夢

美咲

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第六話

自覚

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 暗い世界。
そこには何も存在していない。
真っ黒な世界が広がっている。
ただ、一つ今までと違うことがある。
もう走っていない、
逃げていない。
あんなに怖かったはずの何かから。
いや、本当は分かっていた。
その"何か"は、"自分自身"だと言うこと。

"私がしたいこと"

気づいているのに
わからないふりをして
普通のふりを
無理して続けてたこと。

私は、異常なのだ。

正常な人なら街行く人達とすれ違っても
どんな方法で殺害しようか考えたりしない。

子連れの親子を見て、
子供の前で親を鈍器で殴って殺し、
その子に恐怖を味合わせてから
親以上に残虐な方法で始末しようなんて
考えるだろうか。

幸せそうなカップルをみて、
彼女の顔に硫酸をかけてみようか
なんて思いつかないだろう。
顔が化け物みたいに変わってしまっても
果たして隣にいるその男は彼女を変わらず
愛せるのだろうか。

嘆いて叫ぶのだろうか。
泣くのだろうか。
怒鳴るのだろうか。


見てみたい。
それぞれがどんな顔をして顔を歪ませ、
絶望に染まっていくのか。

愛され続けて育った人間は
どんなふうに変わるのだろうか。

この手でこの目で確かめてみたい。

「もう、自分を抑えたりしないよ」







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