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(……これってなんか、あの頃と似てるな)

 黒木先輩のペニスに少しずつおまんこをこじあけられながら、僕は先輩にいじめられていた頃のことを思い出していた。

 あの頃も、僕はこうして黒木先輩から痛みを与えられていた。僕には一切の抵抗を許さず、先輩はしつこく嬲りまわすように僕の身体に痛みを与え続けた。

 ――今、僕が先輩にされていることはあのときと同じだ。

 けれども女の子の身体になり、不格好に組み敷かれて、欲望にまみれた目で見下されながら繰り返し与えられる痛みが、なぜだろう、今はこんなにも気持ちいいなんて……。

 できればこのままずっと処女膜を破られたばかりのおまんこを先輩のペニスでつつきまわされ、この甘やかな苦痛を味わっていたかった。だがそれと同じくらい、早くおまんこの一番奥まで先輩のペニスに入ってきて欲しかった。

 だから先輩のペニスが根本まで僕のおまんこに埋まり、その先っぽが子宮の入り口にキスしたとき、僕はそれが大嫌いな黒木先輩のペニスであることも忘れ、感動のあまり両脚を先輩の腰にまわして全身でその身体にしがみついていた。

「あああああんっ♡ 入ったぁ……♡」

「うん。ぜんぶ入ったよ、気持ちいい?」

「はいっ♡ すごくすごく気持ちいいですぅ♡」

 先輩の大きなペニスがぜんぶ僕のおまんこにおさまったとき、僕の胸は大きな満足感でいっぱいになった。もう本音を隠す気も失せ、先輩と激しくディープキスしながら僕は歓喜に打ち震えた。

 黒木先輩はしばらく動かず、僕のおまんこを先輩のペニスのかたちになじませるようにそのままでいた。先輩はゆっくり処女を奪うという約束を守ってくれている。そう思って僕は嬉しくなった。

 早く動きたいのか先輩のペニスが自分の膣内なかでびくびくと震えるたびに僕の身体の奥に快楽が走り、僕は先輩の身体にしがみつく手脚に力をこめた。

 ……五分か、あるいは十分以上そのままでいたかも知れない。その間、先輩はずっと僕と口づけあい、どちらからともなく愛おしむように舌を絡め合わせていた。

「動くよ? いい?」

「はい……動いてください♡」

 真上からじっと僕の目を見て先輩がそう言ったとき、僕の口は自然と動いていた。だがもう僕には、それが呪いのために口から出た言葉なのか自分の本心なのかわからなかった。 

 先輩が腰を動かしはじめると、僕の頭の中は先輩のペニスがおまんこに出入りする感覚でいっぱいになった。

 やはり最初は少し痛かったが、それ以上にガチガチに勃起したペニスがおまんこに出たり入ったりする感覚は圧倒的で、特に太くてエラが張った先輩のペニスが引き抜かれるとき、全身にぞわっと鳥肌が立つような気持ちよさを覚えた。

 それが何度も何度も繰り返されることで、全身が先輩のペニスの律動による麻薬に侵されたようになり、僕は頭がぼうっとして何も考えられなくなっていくのだった。

「あんっ♡ あんっ♡ あんっ♡ あんっ♡」

「ケイちゃん、気持ちいい? ね、気持ちいい?」

「あんっ♡ あんっ♡ 気持ちいいっ♡ 気持ちいいですっ♡」

「処女なのにこんな気持ちよくなってくれるなんて、俺たち、よっぽど身体の相性がいいんだね!」

「はいっ♡ わたしたちの身体の相性、最高だと思いますぅ♡」

 もう自分でも何を言っているのかわからなかった。

 ロストバージンのセックスがこんなに気持ちのいいものだなんて知らなかった。黒木先輩とのセックスでこんなにも感じている自分が信じられなかった。

 自分が男だったことも、怪しげな店で魔法をかけられて女の子になったことも、女の子になってしたかったこともできなかったことも、そのかわりにこうして先輩のマンションに連れ込まれて女の子としてのはじめてをぜんぶ奪われたことも、ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶどうでもよかった。

 このために女の子になったんだと思った。このセックスをするために、僕は女の子になったんだと思った。

「ねえ、ケイちゃん。中に出していい?」

「はいっ♡ なかにっ♡ 中に出してくださいっ♡♡♡」

 そう口に出したとき、僕はもう何も考えていなかった。

 僕の中には黒木先輩のペニスだけがあって、そこから与えられる気持ちよさがすべてだった。

 だから先輩のペニスが僕の膣内でびくびくと痙攣して射精しはじめたとき、僕はそのあまりの気持ちよさに我を忘れて叫んでいた。

「あああああんっ♡ 気持ちいいよおおおぉぉ♡♡♡」

 びゅっ、びゅっと、僕の膣内なかで先輩のペニスが射精しているのがわかる。おまんこの中で痙攣しながらペニスが精液を吐き出すたびに、僕の身体もびくびくと一緒になって震えた。

 自分の一番大事な部分に無造作に子種こだねを吐き散らされている被虐的な思いと、その信じられないほどの気持ちよさの中に、真っ白になって何も考えられない頭で、黒木先輩のペニスが僕の膣内なかでいつまでもその硬さを失わないのを心地よく感じていた――

* * *

「……ん」

 暗闇の中に目覚めた。いつの間にか眠ってしまっていたようだ。

 時計に目をやると午前一時だった。……結局、女の子になった今日一日を黒木先輩と過ごしてしまった。

 白井先輩にこの姿を見せることは叶わなかった。今ごろ先輩はどうしているのだろう。もう寝てしまったのだろうか――

『一日の間にその先輩とやらの心を射止められなんだが最後、お前さんは二度と男に戻れなくなってしまうじゃろう』

「……っ!」

 そこで不意に、お婆さんの言葉が耳の奥に響いた。一日の間、というのが日付が変わるまでだとしたら、もう手遅れだ。けれど、明日の朝までだとしたら、まだ間に合うかも知れない。

 こんな遅くに迷惑をかけてしまうが、今からでも白井先輩に会いにいくしかない。先輩の家を訪ねて、玄関に出てきた先輩にこの姿を見せれば、きっとその瞬間に先輩の心を――

「――処女なのにこんなに感じちゃう子、はじめてだよ」

「え?」

 背中から声がかかり、思わず振り返った。

 いつの間にか起き上がっていた黒木先輩が、ベッドの上であぐらを組み、どこか暗い感じのする薄笑いで僕の身体を見つめていた。

 先輩の股間では、勃起したペニスがびくびくとおじぎを繰り返している。先輩の次の言葉を悟って、僕は反射的に逃げ出そうと身体を動かしかけた。

 けれど、それよりも先輩の言葉の方が早かった。

「ねえ、ケイちゃん。もう一回セックスしたいでしょ?」

「……はい。もう一回セックスしたいです」

 呆然としたまま僕がそう答えると、黒木先輩は嬉しそうな顔でまた僕の身体を抱き寄せ、首筋に舌を這わせてきた。

(……もうどうでもいいや)

 先輩の愛撫に早くも感じはじめた身体とだらしなくあえぎ声をもらす口を他人のもののように感じながら、もう何もかもどうでもいいや、と自分に言い聞かせるように僕はそう思った。
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