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侍女という悪女
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その日は土砂降りの雨だった。
時折雷が垣間見える黒い雲は空を黒く染め、まだ少し明るい時間帯にもかかわらず夜のように暗い。
そんな悪天候の中を走る馬車が一台。
薔薇の造形など豪華な装飾を施してある馬車は貴族街と呼ばれる貴族しか住むことの許されない地区を進み、一軒の家の前に止まった。
止まる馬車から小走りで降りてきたのはドレス姿をした美しい女性、彼女の名前はリンナ、貴族の令嬢だ。
リンナは家の玄関前へと走り雨をしのぐ。
「こんなに振るなんて聞いてないなわよ~。本当に今日は最悪だわ!雨は降るしドレスは濡れるし何より楽しみにしてたローゼとのお泊り会も彼女が体調を崩して中止、踏んだり蹴ったりね」
服についた雫を払い自宅の扉を開けるリンナ。
すると同時に雷が轟音を立てて遠くに落ちる。
「~~~!!!!」
本当になんなのよ今日は!?驚きすぎて声も出なかったわ!ああ、早く家の中に入って同棲している婚約者のマーカスに慰めてもらいたい。
家の中に入るリンナ、しかしいつもと違う家の様子に違和感を抱く。
おかしいわね、普段なら扉を開けた音でマーカスが私に気が付いて駆け寄ってくるのに。ちょっと子犬みたいな可愛さがあるところも素敵なのよねマーカスは!そうだ!このままこっそりと近づいて驚かしてあげましょう。
そう考えたリンナはマーカスがいそうな所を足音をたてないように慎重に探す。
台所にリビング、書斎、いずれもマーカスの姿は見当たらない。
最後は寝室かしら、もしかしたら寝ているのかもしれないわね。
二階にある寝室へとゆっくりに歩き部屋の前につく。
少し扉を開けるとそこから聞こえてきたのはマーカスではない女の声だった。
嫌な予感がリンナを襲う。
少し開いた扉の隙間から寝室を覗くとそこではベットの上で一糸まとわぬ姿をしたマーカスが横たわり上に女性が跨っていた。
リンナはマーカスの上に跨っている女性に覚えがあった。
ルルイ!?なんで彼女がマーカスと!?
ルルイはつい最近雇った侍女で仕事の出来が素晴らしく少しの間の付き合いだがリンナが信頼を寄せていた人物だった。
あまりの衝撃に声を出すことが出来ないリンナ、寝室からはベットがきしむ音と二人の睦言が聞こえる。
「大丈夫なんですかマーカス様、リンナ様という婚約者がありながら私とこんな…」
「何をいまさら誘ってきたのは君の方じゃないか」
「そうですけど、何だか心配になってきてしまって…ここの仕事は凄くやりがいがあるから辞めたくないんです」
「俺もルルイにはまだやめてほしくないな、だから今日のことは二人の秘密、わかったかい?」
「はい…旦那様」
私はただ見ていることしかできなかった。
雷が轟音とともに窓から寝室全体を照らす。
光に照らされたルルイの顔はまるで悪魔のような笑顔だった。
時折雷が垣間見える黒い雲は空を黒く染め、まだ少し明るい時間帯にもかかわらず夜のように暗い。
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薔薇の造形など豪華な装飾を施してある馬車は貴族街と呼ばれる貴族しか住むことの許されない地区を進み、一軒の家の前に止まった。
止まる馬車から小走りで降りてきたのはドレス姿をした美しい女性、彼女の名前はリンナ、貴族の令嬢だ。
リンナは家の玄関前へと走り雨をしのぐ。
「こんなに振るなんて聞いてないなわよ~。本当に今日は最悪だわ!雨は降るしドレスは濡れるし何より楽しみにしてたローゼとのお泊り会も彼女が体調を崩して中止、踏んだり蹴ったりね」
服についた雫を払い自宅の扉を開けるリンナ。
すると同時に雷が轟音を立てて遠くに落ちる。
「~~~!!!!」
本当になんなのよ今日は!?驚きすぎて声も出なかったわ!ああ、早く家の中に入って同棲している婚約者のマーカスに慰めてもらいたい。
家の中に入るリンナ、しかしいつもと違う家の様子に違和感を抱く。
おかしいわね、普段なら扉を開けた音でマーカスが私に気が付いて駆け寄ってくるのに。ちょっと子犬みたいな可愛さがあるところも素敵なのよねマーカスは!そうだ!このままこっそりと近づいて驚かしてあげましょう。
そう考えたリンナはマーカスがいそうな所を足音をたてないように慎重に探す。
台所にリビング、書斎、いずれもマーカスの姿は見当たらない。
最後は寝室かしら、もしかしたら寝ているのかもしれないわね。
二階にある寝室へとゆっくりに歩き部屋の前につく。
少し扉を開けるとそこから聞こえてきたのはマーカスではない女の声だった。
嫌な予感がリンナを襲う。
少し開いた扉の隙間から寝室を覗くとそこではベットの上で一糸まとわぬ姿をしたマーカスが横たわり上に女性が跨っていた。
リンナはマーカスの上に跨っている女性に覚えがあった。
ルルイ!?なんで彼女がマーカスと!?
ルルイはつい最近雇った侍女で仕事の出来が素晴らしく少しの間の付き合いだがリンナが信頼を寄せていた人物だった。
あまりの衝撃に声を出すことが出来ないリンナ、寝室からはベットがきしむ音と二人の睦言が聞こえる。
「大丈夫なんですかマーカス様、リンナ様という婚約者がありながら私とこんな…」
「何をいまさら誘ってきたのは君の方じゃないか」
「そうですけど、何だか心配になってきてしまって…ここの仕事は凄くやりがいがあるから辞めたくないんです」
「俺もルルイにはまだやめてほしくないな、だから今日のことは二人の秘密、わかったかい?」
「はい…旦那様」
私はただ見ていることしかできなかった。
雷が轟音とともに窓から寝室全体を照らす。
光に照らされたルルイの顔はまるで悪魔のような笑顔だった。
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「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
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