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第十回

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「シラコ、お菓子持ってきて」


 台所からお菓子を持ってきてホーサに渡すシラコ。


「シラコ、雑誌持ってきて」


 机の上に置いてある雑誌をベッドで寝ているホーサに届けるシラコ。


「シラコ、今度のお祈りやっといてくれな痛っだ!!」


 ホーサの後頭部を丸めた雑誌でたたくカナさん。


「何をしているのですか聖女様」


「何ってシラコにお祈りを代わりにやってもらおうと思って」


「何でシラコにお祈りさせようとしてるのですか!あなたでなければ意味ないでしょう!!」


「そうなんだけど、シラコって本当に頭がよくてさ何でもこなしちゃうの。だからおねがいすれば意外と出来るかもって思って」


「確かにシラコは頭がいいですが何でもできますがずっとシラコに頼っていてはダメな人間になってしまいます。ちゃんと自分でこなせることはこなしてください」


「分かりました。それにしても最近なんだかお腹が空くのが早いな…なにか食べる物はないかな」


 台所から食べ物を探すホーサを見てカナさんは異変に気付く。


「あれ聖女様、太りましたか?」


 ゴトン。ホーサは持っていたパン用のジャム瓶を落としてしまうほどの衝撃を受けた。


 確かに最近食べる量が増えたことや運動をしなくなった気はしていた。しかしこんなにも早く体形に変化があるものなのか。ホーサはすぐに洗面所へと向かい鏡で己の姿を確認する。


「ふ、太っている…」


 そこには腹に肉をため腕は太くなり顎は二重になった自分の姿が鏡に映し出されていた。目をそむけたくなる現状に私は心の底から失望した。



「何でこんなことに…」


「これも日々の生活のせいですね。少しは運動したらどうですか?」


「運動…嫌い…」


「…そうですか。ですが聖女様一つ忘れていることがございませんか?」


「何を忘れているというの?」


「聖女様二か月後にあるファッションショーに特別ゲストとして呼ばれていることをです」


 しまった、そうだった!!こんな体形では服を着ることすら危うい。参加を拒否する選択肢もあるがそれは候補にすら上げたくない。なぜなら今回のファッションショー、私の大好きなモデルのルビーちゃんが出るからだ。あの子と同じ舞台に立てるチャンスを逃すわけにはいかない。


「カナさん、私決めた」


「何をですか?」


「私、ダイエットする。痩せてファッションショーでルビーちゃんとあの道を歩く。だから全力のサポートをして欲しい」


「全く、世話の焼ける人ですね。分かりました、このカナ必ずや聖女様のダイエットを成功に導いて挙げましょう」


 こうしてホーサの全力ダイエットが始まった。
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