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4話 グルマ家の栄光
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ベルゾルが学園に戻ってから1ヶ月。
サーマ王女との仲が急激に進展した様で、王も大変喜ばれているという手紙が届いた。
その手紙にはある事業に関する承諾についても書いてあったらしい。
これを読んだバーファーは上機嫌になり、その日はかつてないほど酒を飲んだ。
親族を集めた宴会を開き、時計の針が12時を記す頃にはバーファーは酔いどれとなっていた。
副メイド長してレナがバーファーの介護にあたる。
「バーファー様、今宵は大変機嫌がよろしいようでございます。何かございましたか?」
「ああ!素晴らしいことがあった!!いつもうまい紅茶を用意してくれた例だ教えてやろう!実は新しい流通網の開拓とそれにかかる費用の使用が許可されたのだ!!」
「新しい流通網ですか?」
バーファーの話によるとこうだ。
現在の流通網は商人たちが独自に見つけた道や村人が人を呼び込むために作ったもので、タダで通ることが出来た。
しかしバーファーは国営の街道を作り、それを利用した商品以外の売買を禁止、通行料を取ることで新たな財源を作ることを提案していたのだ。
ベルゾルとサーマ王女の関係が順調ということもあり、王がそれにかかる費用の使用について許可を出したことに、バーファーは上機嫌だったのだ。
確かにこれで国は潤うだろう。
しかし自分たちで道を作った村などは街道から外れてしまえば生きていくことすらできない。
ましてやそんな街道を作ると言っても場所がない。
「この事業は国が買えるほどの金がかかる。なにせ、国民の住んでいる土地を無理やり買い上げ無ければならないからな。いくら2足3文で買い上げると言っても桁が違う。最初は王も渋っていたが、よくやったぞベルゾル!!」
上機嫌に笑うバーファーの横には冷たく無表情のレナがいた。
その日から横暴ともいえる土地の買い上げが行われ、街道作成の準備がほぼ整った。
街道作成の前祝いとして祝杯を挙げるとベルゾルも屋敷に呼び戻していた。
「ベルゾル、良く戻ってきた。お前のおかげでグルマ家は一生の安泰を約束された」
「おめでとうございます父上。私も次期当主として努力を怠らぬようにしなければ。それで、例の権利書を拝見したいのですがよろしいでしょうか?」
権利書とは国民から無理やり買い上げた土地の権利書である。
これがなければ土地を国の物として主張できないため厳重に保管されているだが、次期当主たるベルゾルの願いならバーファーは断らなかった。
自室に作られた隠し通路。
薄暗く何も見えない道を松明で照らしながら地下へと降りると広い部屋へとたどり着いた。
その奥に佇む金庫、それ開けると大量の権利書が積まれている。
「これが権利書、これで全てですか?」
「ああ。まさしくグルマ家の未来そのものだ」
「その通りだと思います」
そう言って権利書に近づいたベルゾルは持っていた松明で権利書の山に火を付けた。
そして火を背に向けバーファーと向き合う。
「先日、サーマ王女との婚約を破棄してきました。これでグルマ家はお終いです」
サーマ王女との仲が急激に進展した様で、王も大変喜ばれているという手紙が届いた。
その手紙にはある事業に関する承諾についても書いてあったらしい。
これを読んだバーファーは上機嫌になり、その日はかつてないほど酒を飲んだ。
親族を集めた宴会を開き、時計の針が12時を記す頃にはバーファーは酔いどれとなっていた。
副メイド長してレナがバーファーの介護にあたる。
「バーファー様、今宵は大変機嫌がよろしいようでございます。何かございましたか?」
「ああ!素晴らしいことがあった!!いつもうまい紅茶を用意してくれた例だ教えてやろう!実は新しい流通網の開拓とそれにかかる費用の使用が許可されたのだ!!」
「新しい流通網ですか?」
バーファーの話によるとこうだ。
現在の流通網は商人たちが独自に見つけた道や村人が人を呼び込むために作ったもので、タダで通ることが出来た。
しかしバーファーは国営の街道を作り、それを利用した商品以外の売買を禁止、通行料を取ることで新たな財源を作ることを提案していたのだ。
ベルゾルとサーマ王女の関係が順調ということもあり、王がそれにかかる費用の使用について許可を出したことに、バーファーは上機嫌だったのだ。
確かにこれで国は潤うだろう。
しかし自分たちで道を作った村などは街道から外れてしまえば生きていくことすらできない。
ましてやそんな街道を作ると言っても場所がない。
「この事業は国が買えるほどの金がかかる。なにせ、国民の住んでいる土地を無理やり買い上げ無ければならないからな。いくら2足3文で買い上げると言っても桁が違う。最初は王も渋っていたが、よくやったぞベルゾル!!」
上機嫌に笑うバーファーの横には冷たく無表情のレナがいた。
その日から横暴ともいえる土地の買い上げが行われ、街道作成の準備がほぼ整った。
街道作成の前祝いとして祝杯を挙げるとベルゾルも屋敷に呼び戻していた。
「ベルゾル、良く戻ってきた。お前のおかげでグルマ家は一生の安泰を約束された」
「おめでとうございます父上。私も次期当主として努力を怠らぬようにしなければ。それで、例の権利書を拝見したいのですがよろしいでしょうか?」
権利書とは国民から無理やり買い上げた土地の権利書である。
これがなければ土地を国の物として主張できないため厳重に保管されているだが、次期当主たるベルゾルの願いならバーファーは断らなかった。
自室に作られた隠し通路。
薄暗く何も見えない道を松明で照らしながら地下へと降りると広い部屋へとたどり着いた。
その奥に佇む金庫、それ開けると大量の権利書が積まれている。
「これが権利書、これで全てですか?」
「ああ。まさしくグルマ家の未来そのものだ」
「その通りだと思います」
そう言って権利書に近づいたベルゾルは持っていた松明で権利書の山に火を付けた。
そして火を背に向けバーファーと向き合う。
「先日、サーマ王女との婚約を破棄してきました。これでグルマ家はお終いです」
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