【R-18】吉原遊廓

京月

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第九話

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「あっ…あっ…あっ…」


「気持ちいいぞ…ふんっ…ふんっ」


「もうダメ…あああっ!!」


「っ!くぅぅぅ!!」


 藤十郎は今日も女郎を抱きに吉原に来ていた

 今は事を終え二人で寝ながら休んでいる


「藤十郎様聞きましたか、花魁の話」


「花魁?いや聞いていないな」


「この前近くの女郎屋にいた花魁の身請け話が決まったそうなのです」


「それはすごいな」


 花魁はすぐには客の相手をしない

 花魁と遊ぶためには茶屋で豪勢にお金を使い花魁を紹介してもらう必要がある

 紹介して貰ったら次は初会という顔見せだ、これだけでも莫大な金がかかるが口すらきいてもらえない

 二回目の裏では少し近くに寄ってもらえるが基本初会と変わらない

 三回目でやっと床入りができるのだ

 身請けとなればそれこそ何度も花魁の元へ出向かなければならず多少金がある藤十郎でも聞けばぞっとするほどの金が動いているのだろう


「花魁を身請けしたのはどんな人なのだ」


「なんでも幕府に仕えるお偉いさんらしいのです」


「確かにそれなら身請けもできるだろう」


「ですが、妙な噂があるのです」


「妙な噂?」


「はい、もともと花魁の身請け話はかなり前から別の人で進んでいたそうなのですが急に今回の人に変わったのです」


「ほう、それで」


「今回身請け人は前の身請け人の上司で無理やり話をなかったことにされたのではないかという話が」


「そんなまさか」


「いえ、その女郎屋の楼主はかなりの守銭奴で金を多く出す人を優遇することも考えられます」


「それが本当ならなんともやりきれんな」


「全くです」


 この吉原にも男女の恋愛は存在する

 しかし存在はしても実ることはほとんどない

 女に自由がない、それだけで二人の愛の妨げになってしまうのだ


 その一週間後吉原で大火災が起きた

 後の調べで火災の原因を作ったのは花魁の前の身請け人だった

 花魁と彼はお互いを愛しておりやっと身請けまでこぎつけた矢先に上司の介入

 どうしようもなくなった結果今回の犯行を決めたらしい

 火事と喧嘩は江戸の華

 そんなことが出来上がるほど吉原では火事が多発していた

 男が金で女を買える場所などに幸せなどないのだ

 人より多く吉原を歩いた藤十郎は不思議と悲しくなどなかった

 彼は本当に女郎の幸せを願う男であった

 𠮷原遊廓がない世の中こそ本当に女性が幸せに生きられると分かっていたからだ

 吉原はこれまで何度も火災で全焼しているがそのたびに復興している

 吉原が禁止される300年の間多くの出来事があったが決まって流れるのは女の涙だった
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