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15 王都に到着
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小屋に戻り、旅支度をするマリン。
最低限の必要な物だけを鞄に詰め、小屋を後にする。
これからどうなるか分からないけど、とにかく頑張らなくちゃ。
お父さん、お母さん。
どうか私を守ってください。
おばさんに最後の挨拶をするマリン。
事の事情を聞いていたのかおばさんはすんなりとマリンが村を出て行くことを了承した。
「もうすぐ収穫なのに手伝えなくてごめんなさい」
「気にする必要はないよマリンちゃん。どうか体に気を付けて」
「おばさんも、今までありがとうございました。
挨拶を済ませたマリン。
しかしその足取りは重い。
『あのおばさん、涙の跡がくっきり残ってた。マリンが村を出ると知ってずっと泣いていたのね』
「うん。私も、泣かない様にって、決めてたのに…グズッ」
『愛されてるわね。マリン』
村を出るとおじさんからもらった地図を広げる。
「これからこの道を進んだ先にある村に行こうと思うの」
指で行先を指すマリン。
しかしヴィーナの反応が悪い。
『それはやめた方がいいと思う』
「なんで?」
『この村は近い未来、盗賊に支配される』
ヴィーナには女神だけが許される未来視で未来を見た。
そこに写し出されたのは未来の可能性。
約束された未来は無く、最高の結果から最悪の結果まで。
ヴィーナはマリンを守るべくより安全な未来を探す。
女神は世界に深く干渉出来ない。
でも聖女だけは別。
私は絶対にマリンを守る。
だって親友だから。
しかし、マリンは想像の上を行く。
「盗賊!?だったら助けなきゃ!」
『マリン…。確かに助けたいけど無理。私は何も出来ないし、マリンもすぐに倒されちゃう』
「それでも困っている人がいるなら助けなきゃ!どうにか出来ないのかな?」
マリンは本当に優しい子。
これは私も頑張らないと。
ヴィーナは未来視を使い未来を探る。
『マリン、それならこの村に行く前にあの森の頂上を目指して』
「そうすれば村の人を助けることが出来るの?」
『うん。マリンがそれを望むならあの村は救えるよ。絶対に』
ヴィーナの助言を信じるマリン。
早速森の中へと踏む込んだ。
◇◇
王都にあるゼラス教本部大聖堂。
「聖女シーナ様、お待ちしておりました。長旅ご苦労様です」
「本当よ全く。王都ってこんな遠いのね。ずっと馬車に揺られてお尻が痛いわ」
「お疲れの所申し訳ないのですが、すぐにでも神託を聞いていただきたいのです」
ゼラス教は聖女誕生を盛大に祝うとともに更なる信者を増やすことを計画していた。
そのために神託を用いて事前に厄災を防ぎ、民衆の支持を増やす。
シーナに休む暇などない。
「嫌よ」
「え?今なんと?」
ゼラス教本部の人間はあまりの出来事に戸惑いを隠せない。
嫌と申されたのか?
慈愛の塊とされる聖女様が?
いやこれは何かの勘違いだ。
聖女様に限ってそんなことはあり得ない。
「だから私は疲れているの!なんで私が疲れているのに他の人のために働かなくちゃいけないの?今日はもう寝る。あと明日はショッピングするから予定入れないでね」
この発言を聞いたゼラス教本部の人間は泡を吹いて倒れてしまった。
最低限の必要な物だけを鞄に詰め、小屋を後にする。
これからどうなるか分からないけど、とにかく頑張らなくちゃ。
お父さん、お母さん。
どうか私を守ってください。
おばさんに最後の挨拶をするマリン。
事の事情を聞いていたのかおばさんはすんなりとマリンが村を出て行くことを了承した。
「もうすぐ収穫なのに手伝えなくてごめんなさい」
「気にする必要はないよマリンちゃん。どうか体に気を付けて」
「おばさんも、今までありがとうございました。
挨拶を済ませたマリン。
しかしその足取りは重い。
『あのおばさん、涙の跡がくっきり残ってた。マリンが村を出ると知ってずっと泣いていたのね』
「うん。私も、泣かない様にって、決めてたのに…グズッ」
『愛されてるわね。マリン』
村を出るとおじさんからもらった地図を広げる。
「これからこの道を進んだ先にある村に行こうと思うの」
指で行先を指すマリン。
しかしヴィーナの反応が悪い。
『それはやめた方がいいと思う』
「なんで?」
『この村は近い未来、盗賊に支配される』
ヴィーナには女神だけが許される未来視で未来を見た。
そこに写し出されたのは未来の可能性。
約束された未来は無く、最高の結果から最悪の結果まで。
ヴィーナはマリンを守るべくより安全な未来を探す。
女神は世界に深く干渉出来ない。
でも聖女だけは別。
私は絶対にマリンを守る。
だって親友だから。
しかし、マリンは想像の上を行く。
「盗賊!?だったら助けなきゃ!」
『マリン…。確かに助けたいけど無理。私は何も出来ないし、マリンもすぐに倒されちゃう』
「それでも困っている人がいるなら助けなきゃ!どうにか出来ないのかな?」
マリンは本当に優しい子。
これは私も頑張らないと。
ヴィーナは未来視を使い未来を探る。
『マリン、それならこの村に行く前にあの森の頂上を目指して』
「そうすれば村の人を助けることが出来るの?」
『うん。マリンがそれを望むならあの村は救えるよ。絶対に』
ヴィーナの助言を信じるマリン。
早速森の中へと踏む込んだ。
◇◇
王都にあるゼラス教本部大聖堂。
「聖女シーナ様、お待ちしておりました。長旅ご苦労様です」
「本当よ全く。王都ってこんな遠いのね。ずっと馬車に揺られてお尻が痛いわ」
「お疲れの所申し訳ないのですが、すぐにでも神託を聞いていただきたいのです」
ゼラス教は聖女誕生を盛大に祝うとともに更なる信者を増やすことを計画していた。
そのために神託を用いて事前に厄災を防ぎ、民衆の支持を増やす。
シーナに休む暇などない。
「嫌よ」
「え?今なんと?」
ゼラス教本部の人間はあまりの出来事に戸惑いを隠せない。
嫌と申されたのか?
慈愛の塊とされる聖女様が?
いやこれは何かの勘違いだ。
聖女様に限ってそんなことはあり得ない。
「だから私は疲れているの!なんで私が疲れているのに他の人のために働かなくちゃいけないの?今日はもう寝る。あと明日はショッピングするから予定入れないでね」
この発言を聞いたゼラス教本部の人間は泡を吹いて倒れてしまった。
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