欲に負けた婚約者は代償を払う

京月

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中編2

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少し、昔の話をしよう。
 私、シレラ・ナーヴァは侯爵家令嬢として生を受けた。
 貴族として生まれたこともかなりの幸運だが、それ以上に恵まれたのが私の容姿。

 この国では珍しい綺麗な黒髪は皆の視線を集め、整った顔は男女問わず魅了した。
 初めて好意を伝えられたのは私の歳がまだ片手で足りるほどの時、それから絶えることなく男性からの告白を受けてきた。

 初めて交際をしたのは14の時、そこで私は男性の醜い部分を見ることになる。
 意味の分からない見栄と独占欲、そして……性欲。
 ここから私は恋愛が分からなくなっていった。

 私に好意を寄せる男性は皆私の体を求め、私もそれが普通なのだと思い、受け入れた。
 そうすると不思議なことにさらに男性から好意を寄せられるようになり、逆に女性からは嫌われるようになっていった。

 そんなときに出会ったのが、ローナだった。


「初めましてシレラさん!今日から同じクラスですね。仲良くしましょう」

「……あんまり私と一緒にいないほうがいいわよ。あなたも嫌われるから」

「?他人にどう思われようと関係ないと思いますよ?私はシレラさんと仲良くなりたいから声を掛けたんです」


 その時の一言にどれだけ救われたことか。
 私はローナと親友になった。

 そして……恋をした。


「ゼン先生、私と付き合って」

「……シレラさん、冗談にも限度がありますよ。聞かなかったにするのでもう帰りなさい」


 今まで見た男性は無駄に見栄を張り大きく見せようとしてきたが、ゼン先生はそんなことを一切せずありのままの自分で私と接してくれた。
 それがとても大人に見えて、気が付いたら好きになっていたのだ。
 
 でも私は恋愛の仕方を間違えていた。


「これは…」

「そう。その書類はゼン先生がこの学園で教師になるために行った不正の証拠。ゼン先生、私のパパに頼んでここの先生になったんでしょ?」


 本当に偶然だった。
 学園の上層部で働くパパがお酒に酔った時にポロっと口にしたゼン先生への優遇措置、半信半疑だったけど調べてみたらこの書類を見つけた。
 私はそれを使ってゼン先生を手に入れようとしたのだ。


「なにが……望みですか?」

「愛して」


 私はゼン先生を手に入れた。
 何もかもが上手くいっていた。
 あの日までは。

 親友ローナの婚約者ベルグに空き教室に呼ばれた。


「シレラ!ず、ずっと前から…好きでした」


 何を言っているんだろうかこの男は。
 ここで断っても理由とか聞かれてめんどうくさいことになりそう。
 とりあえず考えさせてと言っておこう。

 ベルグから告白された後、ローナが補修をしている教室に向かった。
 そこで、ゼン先生がローナに告白している所を目撃してしまう。

 ああ、やめてよ。私の大切なものを2つも奪わないで…。
 ……許さない、ローナ!

◇◇◇◇

 宿屋のベットで横になるシレラ。
 一糸まとわぬ姿のまま寝返りをうち、その目にゼン先生の姿を映す。
 
 私はこの人を絶対に逃がさない。
 たとえ親友の婚約者を奪ってでも。

「シレラさん」

「どうしたんですかゼン先生?もしかしてまだ足りないのですか?」

「……この関係を終わりにしましょう」

 何かが崩れる音がした。
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