225 / 225
潜入!ポークレア王国!!
ep.4 決着side:リュウジ②&リディア②
しおりを挟むポークレア王国
『テンダーロ』領主館内
オークション会場
教国の大神官長、サケルドース・リエリアが『魔力誘導弾』を放ち、相対するリディアへ距離を詰めるべく駆ける。
リディアは愛杖『千の妖精』を構え冷静に迎え打つ。
「フンッ!」
『ブォンッ!!』
リディアが放った相殺するための『魔力誘導弾』とサケルドースの放ったモノが相殺され、二人の間に爆発が起こるもサケルドースは勢いを落とすことなく距離を詰め、武器を振るう。
魔法により身体強化されたサケルドースのメイス、激しく振るわれるソレを右に左に後ろにとかわすリディア。
時折、大振りになるサケルドースの攻撃を見逃すことなくカウンターでの攻撃を当てていく。
リディアのカウンターに小さく弾かれるサケルドース。ダメージは喰らった端から即座に回復を行い、次の攻撃へと移る。
先ほどから幾度となく行われるこのやり取りに、突如として変化が生じた。
一直線に攻撃を仕掛けてくるだけだったサケルドースがリディアを中心に回り始める。
その変化にリディアはサケルドースの次の一手に注視する。
「(今さら変化を付けて、どうするつもりかしら…?)」
サケルドースからの如何なる攻撃が来ようともカウンターで対処すべく、さらに集中力を高めるリディア。
対して、何時攻撃に移るか…機を窺うサケルドース。
果たして、その機は直ぐに訪れた。
「ふっ!!」
一息吐き出すとともに、リディアの周囲を旋回していたサケルドースが今まで以上の速さで仕掛ける。…と同時に動き出したのは…リディア。
…ではなくリディアとサケルドースの直線上にいた人物。
リディアからはサケルドースが壁になり、死角に位置した、教国の聖騎士の一人。
………に扮した本物のサケルドース・リエリア。
聖騎士に扮することが可能な体格を持つ本物のサケルドースは、腰に下げていた聖剣を抜き放ち、影武者の背後から重なる様に、静かに、速く、リディアへと接近する。
その顔に…
影武者のサケルドース以上に、邪悪な笑みを浮かべながら…
そして…
『バリィンッ!!』
ソレを許さない人物が…
「(…させるかよっ!!)」
上階の窓を豪快に蹴破り…
乱入する!
愛剣である黒の大剣『グラディマーグ』をその右手に携え、リュウジ・ベルウッドが本物のサケルドースの進路上に降り立つべく、上階から飛び降りていた。
一瞬で動き出した三人………しかし当事者たるもう一人が動かないワケがなかった…。
「やらせね『ガンガンッ…ガンッ!!』えょ………えぇ…」
リュウジ・ベルウッドが降り立った時、影武者と本物、二人のサケルドースは四角形の浮遊物に殴り飛ばされていた。
四角形の浮遊物…浮かんでいる三つのソレは二人を殴り飛ばしたあと、ソレを呼び出した人物の周りに戻り浮遊を続ける。
その人物は…
「トーイチから貰ったこれ…良いわね」
リディア・フォン・エルフリア、その人である。
本物のサケルドースが動き出した瞬間、『ゾクリ』と反応した第六感に、トーイチから貰ったと言い張る切り札『量産型スクエアビット』を三基、即座に顕現させ、攻撃に使用。
完全に死角だったにも関わらず、正確に本物のサケルドースを捕らえ攻撃するあたり、恐ろしい戦闘センスである。
「私じゃあ三基が限界なのだけれど、コレを十二基操るトーイチは凄いわね…」
そう呟きつつ、上階から降り立ったリュウジに視線を移すリディア。
「…で、リュウジは何やっているの?」
ジト…としたリディアの視線に「いやぁ…、ちょっとアレがアレで…?」と言い訳にならない言い訳をする。
「そんなことより…リディアさん」
「そうね…まだ、コチラが終わっていないわね…」
そう言い、視線をそれぞれ移す。
そこには回復を終え、ゆらりと起き上がる…本物と影武者のサケルドース・リエリア。
「そっちが本物のサケルドースなのかしら?」
「……いや、多分…」
リディアの問いに答えようとしつつも続きを言わないリュウジ。
その続きは、答えは本人たちの口から聞こえてきた。
「私たちに」
「偽物も本物も」
「ありません」
「何故なら」
「二人ともが」
「サケルドース・リエリア」
「なのだから」
「「………………」」
肥満体の神官と体格の良い聖騎士で、いやいやソレは無理があるんじゃないかな?…とリディアとリュウジ、二人ともが思ったのは仕方がないだろう…。
とはいっても二人のサケルドースがそう言うのだから、ソレはそうなのだろうと無理矢理に納得し、未だ続く戦闘へ構える。
そして…
「どちらがサケルドースでも本物でも偽物でも別に構わないわ…終わらせるわよリュウジ」
力強く、自分の意思を告げるリディア。
その言葉にリュウジは…
「(…あぁ、もう飽きたんだなリディアさん…)」
そう思ったのは内緒である。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
『量産型スクエアビット』
量産型とは言っても基本性能はあまり変わらない一品。リディアのお願い(脅迫)により急遽作り上げられた。もちろん作:ドゥバルでトーイチが無理矢理作らせたのは言うまでもない。
リディアの精密な魔力操作や空間認識能力、戦闘センスが合わさって初めて扱える。但し使用する魔力はトーイチの魔力の為、ある意味で欠陥品でもある。(使用時はトーイチから魔力供給がされている。ドゥバルがそのような設定にした可能性は大。但しトーイチとリディアにそのことは伝えていない。)
リディア「行きなさいっ!スクエアビットッ!!」
トーイチ「…あれ?なんか魔力吸われてない?」
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
まだ決着しないリュウジ・リディアside。
ついにファン○ル使っちゃうリディアさんと出オチのリュウジ。
二人になった変態と変態(仮)の運命や如何に?
次回もよろしくお願いします。
10
お気に入りに追加
6,876
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1255件)
あなたにおすすめの小説
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!
八神 凪
ファンタジー
勇者パーティに属するルーナ(17)は悩んでいた。
補助魔法が使える前衛としてスカウトされたものの、勇者はドスケベ、取り巻く女の子達は勇者大好きという辟易するパーティだった。
しかも勇者はルーナにモーションをかけるため、パーティ内の女の子からは嫉妬の雨・・・。
そんな中「貴女は役に立たないから出て行け」と一方的に女の子達から追放を言い渡されたルーナはいい笑顔で答えるのだった。
「ホントに!? 今までお世話しました! それじゃあ!」
ルーナの旅は始まったばかり!
第11回ファンタジー大賞エントリーしてました!
公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!
秋田ノ介
ファンタジー
主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。
『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。
ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!!
小説家になろうにも掲載しています。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ドゥバルが量産型スクエアビットを作るのに対価を求めたんじゃないかと
思うんですよね。
ドゥバルの事だから金貨よりもMGプラモでも貰ったのかな?
ありがとうございます。
恐らくお酒(山崎とか高そうな)やMG通りこしてRG辺りをねだったと思われます。
タバコと缶コーヒーを転生した女子高生の前で迂闊でしたね。
そりゃ欲しがるのも当たり前でしょうに。
タブレットPCを入手させるのに何処のダンジョンを紹介するつもりかな?
ありがとうございます。
『欲しがるのも当たり前』…そう思ったので入れた一幕でした。ダンジョンは…特級でも平気そうですねぇ(武将たちいるし)
え?レンの背後に般若のスタンドが?w
次回、ドSとドⅯの戦いに作者の乱入はあるのか?
「密着24時!作者の生態に迫る!食事はやっぱり魔物だね!」にご期待くださいw
ありがとうございます。
スタンド…知ってるだけに出しそうですね。
次回…あれ?リディアさんってドS設定だっけ?魔物って美味しい?