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潜入!ポークレア王国!!

ep.3出会いと出会いsideトーイチ④

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 ポークレア王国
『セイト』
 タイシュの館 二階 タイシュの間


『ヨク=トク』に連れられ、館に入ってから「(何故、お手伝いさんが西洋風のメイドさんや執事さんの格好なのだろう…?)」という疑問を感じながら、タイシュの間…その扉の前に立つ。

「よし、入るぞっ」

『ヨク=トク』が言ったが早いか、そのまま扉を『ガチャリ』…いや『バァーン』と開け放った。
 いやいや、扉の前で一息吐くとか、ノックするとかあるでしょっ!?
 ノンストップでドアバァーンとか…無いわぁ。

『ヨク=トク』さん…マジ、キングオブGASATSU…。

 そんな事を考えつつ『ヨク=トク』の後ろに続きタイシュの間に入る。

 タイシュの間…と言うだけあり、中は広い。
 造りはポークレア王国の城の謁見の間に近いか…。
 
 そして…

 タイシュの間の奥…

 中央にタイシュであろう人物…。

 その隣に孔雀の羽のような物を持った人物…。

 某ゲームに出ていた人物にそっくりの男…。

 こいつが十中八九、『コウ=メイ』だろう…。

 少し手前…。

 その左右に鎧を身に纏った武将が二人…。

 見た目的に…趙雲と馬超か?

 後ろに戻り『コウ=メイ』のタイシュを挟んで反対側…。

 その立派な髭に右手に持つアレは青龍偃月刀か?

 関羽………三國志の中でも最強と名高い、超が付くほどの有名な武将…。

 ………ん?

 ………となると…

 ………今ここには…

 蜀の五虎大将軍プラス軍師が揃っている?

 そして…

 中央のタイシュ…

 俺は中央の椅子に座るタイシュに視線を移し注視する…。

「………………」






 ………………誰?




 
 いやいや…多分『お嬢』と呼ばれている人物なのは分かるのだけれど…。

 少しウェーブの掛かった紅い髪をポニーテール。瞳もルビーのような紅。
 まだ遠目ではあるが恐らく十人が見れば八~九人は美少女と言うであろう容姿…。

 ………だが…

 一番目に付くのは『仮面』…。

 何故だろう…

 俺はあの『仮面』を見たことがある…ような気がする…。

 ………しかし…






 どう見ても劉備じゃねぇっ!!

 




 ………いや、劉備が美少女に転生したとかワンチャンあるか?





 いや、ぇよっ!?

 無い無い…さすがにソレは無い…。

「………………」

 しかし…となると一体…?




「………あっ………黒髪黒目の…」

 ………ん?

 今、ボソッと聞こえた声…何処かで聞いたような…。

 まだ扉から入ったところだったので、その小さな声はあまり聞こえなかったのだが…。

 ドスドスと進む『ヨク=トク』…。
 
「ほらほら、早く来いっ!」

 肩越しに俺を横目で見ながら言う。

 扉からタイシュたちのいるところまで敷かれている赤い絨毯の上を進み、その表情が分かる程度まで距離は縮まった。
 
 距離にして4~5メートルくらいか…。
 ここまで近付くと武将たちの圧が凄い。特に威圧されているワケではないのだが…。
 強いんだろうなぁ…。

 そしてタイシュの少女…。
 少女…と言っても十代後半くらい…か?近くに来ても分かる…。仮面こそ着けてはいるものの、やはり美少女。

「呼び出しに応じて頂き、ありがとうございます…」

 話し掛けてきたのはタイシュの隣に立つ『コウ=メイ』らしき男。
 いや、その帽子?に孔雀の羽っぽい扇子?を持っている人物なんて孔明しかいないだろう…。と心の中で決め付ける。

「はあ………それで一体…?」

「貴方をお呼びした理由ですが…」

 少し間を空け、再び口を開く…。

「こちらの『セイト太守』である『レン』様に会って頂きたかったのです………トーイチ・ムラセさん…」

 薄い笑みを浮かべ、優しい声で言い放った言葉…。
 
「っ!?」

「っ!?」

 その言葉に驚いたのは俺と太守であるレン。
 レンが驚いているのは何故か知らないが…

「(名前までバレているのか…。これはもう…というか、なんというか…。嵌められた…より踊らされた…が正解か?)」

『コウ=メイ』のその一言に俺は寒気を覚える…。
 こいつは敵に回したら面倒くさいな…と。
 
 そして、太守レンは…

「トーイチ・ムラセ………………ムラセ トーイチ…?………やっぱり、貴方は日本人っ!?」

「………えっ?」

 やはり『コウ=メイ』の言葉に少し動揺していたのだろう…。
 俺は太守レンの言葉に目を見開き反応してしまう。
 
「(………しまったな。反応しなければ別にバレなかったことなのに…。しかし、この太守の反応って…)」

「やっぱりそうなのねっ!?」

 座っている立派な椅子から、少し身を乗り出すように聞いてくる太守レン。
『コウ=メイ』は薄い笑みを浮かべたまま…。反対側の関羽らしき男も微動だにせず、残りの三人も動く気配も見せない。

 俺はどう答えたものか…そう思考する。………前に太守レンが口を開く…。

「あたしはレンッ!前世は日本人の女子高生だった 『霧城 漣』っ!」 

 こうして俺は新たに目の前に現れた日本人との出会うことになった…。






『出会い』と『女子高生』………事案だな、おいっ!と余計な事が頭を過ったのは言うまでもない…。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



漸くサブタイの一つを回収。
このあとのトーイチの動きは果たして…。
次回もよろしくお願いします。
  
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