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潜入!ポークレア王国!!
ep.3出会いと出会いsideリディア③
しおりを挟むポークレア王国
『テンダーロ』
領主館内オークション会場
『ガキィンッ…!』
大神官長サケルドース・リエリアの振るうオリハルコン製のメイスと私の愛杖『千の妖精』がぶつかり火花を散らす。
ミスリルの比率が多いがアダマンタイトとオリハルコンとの合金で造られた私の『千の妖精』は魔力伝達の効率が高く、強度も純オリハルコン製にだって負けない。
数合打ち合い、少し距離を取る。
サケルドースの左手に握られた杖が発光し、サケルドースの周りにいくつかの魔方陣が浮かび上がる。
「行きなさい…『魔力誘導弾』」
その言葉と共に魔方陣から矢のような光弾が放たれる。
一見、普通の『魔力誘導弾』に見える…が…
「(魔力が高密度に圧縮されている…なら…)『岩壁:二重』ッ!!」
『ズゴゴゴ…』
会場内に敷き詰められた赤い絨毯を突き破り、強固な岩の壁が立ち上る。
『ドドンッ…ドンッ!!』
『魔力誘導弾』は一枚目の『岩壁』を破壊するも、二枚目の壁に阻まれる。………が…
『バゴオォッ!!』
強度の落ちた二枚目の壁………その中心をメイスで破壊しサケルドース・リエリアが突っ込んで来る。
「っ!!」
魔法で身体強化しているのであろう、凄まじい速さで接近…そのままメイスでの突きが私を狙ってくる。
普通の魔術師ならば魔法戦闘から突然の近接戦闘など対応しきれないだろう…。
でも…
「近接戦闘が得意?…ゴメンね………『私』も得意なのよ?…近接戦闘」
「っ!?」
『私』は魔術師ギルドのギルドマスター。そしてグランドマスターの一人でもある。
決して普通の魔術師ではないのだ。
私の言葉がサケルドースに聞こえたかどうかは知らないし、どうでもいい…。
私は『千の妖精』を右から左に振るい、サケルドースのメイスを払いつつ一回転。
流れるような動作で左後ろ回し蹴りをサケルドースの顔面に叩き込む!
「ふっ!!」
『ドカァッ!!』
「ぐうっ!?」
『ドガガァッ!!』
サケルドースは会場出入り口に近い方へ綺麗に並んでいた椅子を吹き飛ばし、出入り口に殺到していた客たちを巻き込み、壁に叩き付けられたところで漸く止まる。
客たちは、まあ…いいかしら。
どうせ奴隷を買いに来ている、ろくでもない貴族や商人たちだろうし…。
そんなことを考えていると、『ガラガラ…』と壁の瓦礫を掻き分けて出てくる法衣の男…。
「…ふむ、コレは予想外でした…。普通の魔術師なら、先ほどの攻撃で終わるのですがね…」
うん、ソレはさっき私も思ったから…。
「しかし………良い蹴りを持っているものです…」
ペロリ…と、口から少し流れている血を舌舐めずりしながら私の脚を見る。
『ゾクリ…』
背中に寒さを感じる…。
………しまった。
こいつ…『HE・N・TA・I』だった…。
そしてサケルドースは、厭らしい視線と笑みを崩さぬまま…
「さて、コレはちょっと考えを修正しないといけませんね…まあ、とりあえず………第二ラウンドと行きましょうか?」
「………………」
………え?ちょっと…いや…
大分嫌なんですけれど…?
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リディアの愛杖
『千の妖精』
ミスリルの比率を高めに、アダマンタイトとオリハルコンとの合金で造られた杖。
魔力伝導率及び増幅率が非常に高く、また硬度、耐久力も非常に高い。
その名の通り千の妖精が宿っているワケではないが属性魔法との相性は良い。
魔法戦闘にも近接戦闘にも対応可能な、魔術師ギルド・ギルドマスターが持つに相応しい専用武器である。
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始まった第一ラウンド。
ラウンドと言う言葉が異世界にあるかは不明だが、この作品では…。
そして後ろ回し蹴りに悦ぶ大神官長。
次回、第二ラウンド!
次回もよろしくお願いします。
応援ありがとうございます!
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