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潜入!ポークレア王国!!
ep.3出会いと出会いsideトーイチ②
しおりを挟むポークレア王国
『セイト』
『ズリズリ…』
現在進行形で俺は『ヨク=トク』という張飛そっくりな大男に引き摺られているのだが…
『楽』である。
良し、このまま運んでもらおう…そう思った俺は悪くない…。
『ヨク=トク』と一緒に歩いている運び屋の男たちは「「えぇ…」」と言いたそうな顔で見ているが…いや、通りを行き交う人たちや通りに面しているお店の人たちにも見られているな…。
だがもう一度言おう…
『楽』である、と…。
そんな人々の視線をまったく気にする事なく、俺は引き摺られていく…。
『ズリズリ…ズリズリ…』と…。
うん、ごめん…やっぱりちょっと恥ずかしいわ…。トーイチ嘘着きました。
アレだな…俺がやってもまったく可愛いくないな…。
止めてっ!そんな目で見ないでっ!新しい扉が………開かないからっ!
しょうもないことを思いつつ、『タイシュ』の建物に近付く。
通りが一旦切れて石造りの橋を渡る。
「(堀………か。やはり攻められた時のことを考えて造られている感じだな…)」
幅も広く、恐らく深さもあるだろう…そんなことを考える。………引き摺られているけれども…。
石造りの橋を渡ると大きな門。
三國志を彷彿とさせるような立派な門がそこには構えていた。
いや、三國時代がどうだったかは知らないけれど…。
俺の持っているイメージ通りな感じ?………である。
「あっ『ヨク=トク』さん、お帰りなさい」
「おうっ、お疲れさん。お嬢は?」
「自室にいると思いますよ?それより…その男は…?」
門番さんとの会話を黙って聞いていたが、やはり俺に目がいったようだ。
まあ、未だにぶら下がっているような状態だしなぁ…。
「あぁ、アレだ…こいつは軍師さまの客だ。………で『コウ=メイ』はよ?」
「軍師さまの…。あっ、軍師さまなら『タイシュ』と一緒にいると思いますが…」
「そうか…。どうするかなぁ…そのままお嬢のトコには連れていけんよなぁ…」
ここで一つ情報をゲット。
多分…程度だったけれど『タイシュ』と『お嬢』は恐らく同一人物のようだ…。
…ということはこの『ヨク=トク』や『コウ=メイ』が仕えているのが『お嬢』ということになるのだけれど…
「(蜀にそんな『お嬢』と呼ばれるような人物っていたかなぁ…?)」
俺の浅い知識じゃ、ちょっとわからない。
呉なら孫尚香とか…ならワンチャンあるか?
「しょうがねえな………悪いんだがお前、行って聞いてきてくんねえか?俺とこいつはここで待ってるから」
「はっ、了解です」
話がついたようで、門番さんは建物内に走っていき、俺は『ヨク=トク』と門前で待つことに…。
こんながさつなオッサンと待つとか…何かの罰ゲームかしら…。
「お前…、失礼なこと考えてねえか?」
おっと…顔に出ていたか?…いや、後ろ手に首根っこ掴まれているのだから顔は見えないはず…。
心を読まれたか、動物的な勘か何か…か…。
もちろん俺は平然と言い返す。
「考えてましぇんよ…」
噛み噛みだった…。全然、平然としていなかったワケだが…
「………まあ良いけどよ…」
そう言いつつも視線は感じる…。絶対ジトられている…と…。
ここで運び屋の男たち…
「じゃあ『ヨク=トク』さん、俺たちは雇い主のトコ行ってるからよ」
「おうっ、わかった。またな」
そして門の奥にバタバタと走って行く男たち。
「(………逃げたな…)」
そう俺が思っても悪くないだろう…。
そして数分…
門の奥から先ほどの門番さんが戻ってくきた…。
「『ヨク=トク』さん、お待たせしました。『タイシュ』と軍師さまは『タイシュの間』にてお待ちです。そこに連れて来るようにと…」
「おうっ、ありがとなっ!おしっ、お前もいつまでぶら下がってんだ?自分で歩け!」
そう言い『パッ』と手を放される。
『ストン』と尻餅を付くがすぐに「よっ…こいしょっ…」と立ち上がり『パンッパンッ』と叩く。
「お前…若いのに随分と年寄りくせえな…」
「いいだろっ!別にっ!」
「おおぅっ!?何だよ、悪かったよ…。何だ突然…」
ふんっ………どうせ中身はオッサンだからね、ごめんねオッサンで…。
門前での攻防はひとまず終わり、俺は『ヨク=トク』と共にその門内に足を踏み入れた…。
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このノリの方が気楽。
しかし話は進まない…。
次回、いよいよ?
次回もよろしくお願いします。
応援ありがとうございます!
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