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潜入!ポークレア王国!!
ep.3出会いと出会いsideリディア①
しおりを挟むポークレア王国
『テンダーロ』
領主館内オークション会場
「………ではお待たせ致しました!本日最後の出品となります。その美しさは正に宝石の如く!どの種族よりも美しいとの言葉に間違いはありません!その若さを永く保ち!延々と貴方の隣にいることでしょう!そしてその魔力は宮廷魔術師を遥かに越え!その戦闘力はS級の冒険者に匹敵するでしょう!」
「ハイエルフ!『ルディア・フォン・エルフリア』ッ!!」
その司会の声に大神官長サケルドース・リエリアのおさわりを警戒していた私の意識を引っ張られ、視線をステージに移す。
大神官長もなのか…、厭らしい笑みを深め、妖しさを増した眼でステージに視線を移していた…。
私と大神官長の………いや、会場中の視線がステージ上に集まる…。
ステージの袖からガラガラと牽かれながら出てくる鉄の牢…。
その中にいる一人の女性…。
エメラルドグリーンの髪にエメラルドグリーンの瞳、薄汚れた貫頭衣を着せられていても衰えることのない美貌…。
内包された魔力を感じ無いのは嵌められている首輪が封印の魔導具か何かなのだろう…。
そしてその表情は薄暗く、瞳には何の力も感じ無い…。
恐らく、あの首輪は魔力の封印だけでなく精神にも作用している…?
「(………あの髪にあの眼の色…、確かにエルフリアの血筋…。………染髪や目の色を変えるなどされていなければ、の話だけれど…。………でも…)」
恐らく封印されているであろう魔力の残り香が私に近い感じがする…。
「………………」
………そうか、もしエルフリアの血筋なら…。かつて潰された貴族派の生き残り………もしくはその子孫なら…。
「(………公爵家の…?)」
どちらにしても私と面識は無い…。
それでも…
私が思考している間にもオークションは進む…。
会場内の男女問わず、誰もが『ルディア・フォン・エルフリア』の美しさに魅力され、オークションは加熱していく…。
それは私の隣にいる男…
大神官長サケルドース・リエリアも例外ではなく、いつの間にか私にセクハラ紛いのことをすることもなく、その視線はステージ上に固定されていた。
そして…
『ゾクリ…』
私の背筋に嫌なモノが流れる…。
感じたモノは『悪寒』…。
その『発端』はやはり隣の男…
その男の眼は妖しさを通り越し、もはや狂気と呼んでいいモノを孕んでいる…。
「アレハワタシノモノダ…」
「………………」
やはり私も『ルディア』を見て冷静ではいられなかったのだろう…。
その男の呟きに…
その言葉に…
『カチリ…』
『スイッチ』が入る…。
加熱したオークションの熱気は最高潮…。
仮面を着けた男女が自らが落札せんと盛り上がっている会場内がその冷気にピタリと静まり返った…。
「何が誰のモノなのか…もう一度言ってくれるかしら?………大神官長サケルドース・リエリアさん?」
私はその冷気を帯びた言葉を、魔力を解放して投げつけた。
ソレを受けた男は、狂気を孕んだ眼を私に移し…
「フン…知っていましたよ?魔術師ギルド・グランドマスター………リディア・フォン・エルフリア…」
大神官長サケルドース・リエリアもまた、『神聖』とは言いづらい厭らしい魔力を解き放ち、その笑みを崩さずに私と眼を合わせた…。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
全力のシリアスさんが通過します。
ボケるところが何処にもなかった…。
そして『ルディア』は…。
次回もよろしくお願いします。
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