異世界召喚されました……断る!

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潜入!ポークレア王国!!

ep.2 潜入side:リディア⑤

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 ポークレア王国
『テンダーロ』
 領主館内オークション会場


 教会残党の中でもトップクラスの重要人物『大神官長サケルドース・リエリア』。
 偶然の遭遇ではあったのだけれど、今すぐにどうにかするつもりは無かった…。

 しかし皮肉にも会場内での席は隣同士という、神の悪戯を疑わずにはいられない状況になるとは、さすがに想定外。
 
 仕方がないので様子と動向を見守ろうと思っていたのだけれど…

『さわ…』
「(ひっ!?)」

『バキンッ』

「おっと………これは失礼。はっはっはっ…」

「………いえ、こちらこそ反射的に…。スミマセン…」

 サケルドースは私の左隣に位置しているのだが、肘掛けに置いた私の左手の甲を触ってきやがったのだ…。
 あまりの気持ち悪さに反射的に右手に持っていた扇子(ミスリル製)で叩いたのだけれど…。

「(この野郎………自分で回復魔法ヒールしながら笑って…。キモい………あとキモい)」

 思わず二回言ってしまったけれど、叩かれた右手を擦るようにしながら自然と魔法を行使するとは…。
 多分、普段もやり慣れている………いや、やられ慣れているのだろう…。
 平気な顔をしているどころか笑うとは…。

 扇子(ミスリル製)の一撃である、多分手の甲の骨が折れたはずなんだけれど…。
 周りにいる護衛も微動だにしないし…。

 ………っ!?

 そうか………分かったわ。
 
 大神官サケルドース・リエリア………あなた…



『HE・N・TA・I』ね…。


 
 私は先ほど手を触られた時に感じたように背筋に寒さを感じる…。
 恐ろしい…。

 そして気持ち悪い………いや、キモいと…。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~


 その後、会場では滞りなくオークションが開始。
 借金奴隷や犯罪奴隷などが次々と落札されていく。

 普段なら私は絶賛不機嫌になっているであろう場面なのだが…

『さわさわ…』
「(ひいっ!?)」

『バキンッ、バキンッ』

「おやおやおや………どうもすみません。はっはっは…」

「………コチラコソ、スミマセン」

 度々続くサケルドースの接触に私は扇子(ミスリル製)を振るう。
 サケルドースの右手が甲を叩き、返す刀で右頬も叩いたのだが…

「………オケガハヘイキデスカ?」

 もはや全力で棒読みの私の言葉に…

「はっはっはっ、な~にこれくらい。慣れておりますから」

 回復魔法ヒールしながら、笑いながら、そう宣うサケルドース。
 慣れんなっ、このHE・N・TA・I野郎っ!

 口から血を流し鼻血も出ているサケルドース。
 それでも動かない護衛。
 なるほど………日常茶飯事なのだと私は理解し、そして護衛の人たちに同情した…。

 しかし、そろそろ私のがまんメンタルも限界である。
 
「(次は………処す…)」 

 拘束魔法で拘束して、身体強化と付与魔法も使って最大威力のスマッシュを叩き込もう。
 会場の外で頑張っているであろうリュウジには悪いけれど…。

 会場内は恐らく騒ぎになるだろうけれど、私は覚悟を決め、その時を待つ…。

 しかし…






「お待たせ致しました!ここからは皆様お待ちかね………亜人の出品ですっ!」



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


とっても残念な大神官長。
動かない護衛。
最大威力のスマッシュとは?
そして…。
次回もよろしくお願いします。
 
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