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アライズ連合国~ポークレア王国

龍は廻り橋を架ける②

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 ポークレア王国
 初級ダンジョン『ウァーアンダーの神殿』前


 リディア・フォン・エルフリアの魔法で構築された土属性魔法『ロックウォールプリズン』………その岩の牢獄の中には盗賊のような格好をした男達『暫定:誘拐犯一味』十九人とリュウジ・ベルウッドがいた…。

 リュウジの挑発に怒りを露にする肩当ての無いプレートアーマーを上半身だけに着込むリーダー格の男。
 自身より頭一つ大きいその男の怒気を真正面から受けるも、全く平気そうな顔でリュウジは対峙していた。

 リーダー格の男はもう許さんっ!とばかりに左腰にぶらせ下げていた大型の曲刀を引き抜き、猛然とリュウジに襲い掛かる。

 袈裟切りに逆袈裟、横薙ぎに突き…。
 見た目通りのパワーに見た目よりもあるように見えるスピード。
 大型の曲刀を軽々と振り回し、あらゆる角度からの斬撃がリュウジを襲う。

 一方のリュウジは斬撃ソレを紙一重で回避し続けていた。
 余裕が無いワケではない…。
 逆に余裕だからこそ大きく動くのを面倒くさがっての紙一重である。
 だからこそリーダー格の男や一味の男達はリュウジは防戦一方だ………と勘違いをするのだが…。

 なんとか躱し続けている………そんな風に思われているリュウジは…

「(………まあ、こんなもんか…)」

 と、そろそろ攻撃に移ろうかな?と考えていた…。

 そしてリーダー格の男は…

「(………………やっべ。攻撃全然当たらないですけど?コイツ、ひょっとしてメチャクチャ強い?)」

 などと考え始めていた。
 
 そんなリーダー格の思いは露知らず…

「あぁ~惜しいっ!」
「早く決めちまってくださいよぉっ!」
「おうっ、てめえもさっさと諦めなっ!」

 勝ちを確信したかのような野太い声援が岩の牢獄の中で飛び交う。
 しかし、その中で…

「………なあ?」
「あん?」

「アイツ………どっかで見たことねえか?」
「そうか?ん~~~………そういえば…」

「あと、あっちのエルフの女も…」
「………………言われて見れば…」

 そんな声もちらほらと聞こえていた…。

 そして…

「(………くそっ、当たらねえっ!)」

 当たらない連続攻撃に疲れが見え始めた頃、紙一重で躱し続けていたリュウジは大振りになったソレに合わせ、少し距離を取った…。

「………もうこっちの番でいいか?」

 ニヤリと笑い、さらに挑発をするリュウジ。

「ぐっ………てめえの番は無ぇよっ!」

 リーダー格の男はそう言い、距離を詰め、渾身の力を込め大上段から曲刀を振り下ろす。

「フンッ!!」
『ブォンッ!!』

 男のパワーと大型の曲刀の重さから、それなりのスピードで振り下ろされるも、リュウジは躱し様、その刀身に掌底を叩き込む。

『パキンッ』
「なっ!?」

 そこそこ厚みがあるはずの大型の曲刀ソレは、軽い音を残して刀身から真っ二つになった…。

「………さあ、どうする?」

「ぐっ………まだだっ!」
『カシャンッ…』

 折れた曲刀を放り投げ、素手で殴り掛かる男。
 武器を破壊されても戦闘を継続するのは意志の強さか、恐怖からなのか…。
 
 二人の戦闘を見ている周囲の男達は、リーダー格の持つ大型の曲刀が折られたことに恐怖し、最初の威勢は見る影もない。

「(………やべえな)」
「(………アイツ、強すぎない?)」
「(………これは死んだかもしれん)」
「(………あのエルフ………美しい…)」

 漸くリュウジの実力に気付き始め、自分たちの置かれた状況を認識し始める。
 ………一部、関係の無いことを考えている者もいるが…。

 素手で戦闘を続けるリーダー格の男。
 武器が無くても、そのパワーが無くなるワケではないが…

 格闘術を修めている………ワケもなく、しかし大きめの体格を生かした攻撃はそれなりに迫力がある。
 だが…

「(う~~~ん、遅い………遅すぎる)」

 全ての攻撃を余裕で躱し続けるリュウジ。
 その拳も………その蹴りも………高レベルの魔物や、何より自身の両親………ソウシとヴィーネの二人に遠く及ばない攻撃に既に飽きてきていた…。

「(まあ、しょうがないか…)」

 曲刀を振り回していた時から、ずっと攻撃を続けているリーダー格の男。
 その疲れが顕著に攻撃に表れる。
 
「ぐっ………ぬんっ!」

 だが………まだ諦めずに放つその大振りの蹴りにリュウジの眼がギラリと光る。

「(チャ~~~ンス…)」





~~~~~~~~~~~~~~~~




「おい………何でこっち来た」

「私にもその椅子出して?」

 リクライニングチェアを倒し、寛ぎながらリュウジの戦闘を見ていると………おっと………『マップEX』を起動させ待機していると、リディアが近寄って来て、そんなことを言ってきた。
 俺はそっと掌を上向きに差し出す。

「………何?」

「………金貨十八枚」

「結構するのね…」

 そう言いながらもサラッと出すリディア。
 リクライニングチェア………安い物を選んだが、それでも一万八千円の物だ。
 レート十倍で十八万円。イコール金貨十八枚は間違いではない。

 金貨を受け取った俺はタブレットで購入してリディアの前にリクライニングチェアを出してやる。
 リディアは直ぐに座り…

「?………?………どうやって倒すの?」

「横のコレをこう引きながら体重を預けるんだ。あっ、一気に倒すなよ」

「こう?………………おおっ!」

 こうして………二人並んで、リクライニングチェアを良い感じに倒してリュウジの戦闘を見物………おっと………見守ることになった。




「(ホント、何してんだあの人たちは…。)」

 イラッとしたリュウジはあとでGフィンガーだな………と二人にお見舞いすることを心に誓った…。
 


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


サブタイの謎にたどり着かず…orz
次回こそ…。
そして何気に仲良し?トーイチとリディアさん。

次回もよろしくお願いします。
 
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