異世界召喚されました……断る!

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アライズ連合国~ポークレア王国

誘い導き推し測る

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 アライズ連合国
 旧エルフ領にほど近い獣人国の町


 小さな町に到着した俺達三人は、狐人族の町長さんと誘拐事件の現場であると思われる場所に移動した。

 現場は使われなくなった資材置き場でそこら中に木材などが散乱している。
 使われなくなってからそれなりに時が経過しているとのことだが、どうやら子供たちは秘密基地的な感覚でよくこの辺りで遊んでいたらしい。

「資材置き場で遊ぶなんて危険じゃないか?」とはリュウジの言。
 町長は少し困った顔をして…

「子供とはいえ獣人ですから…」

 あぁ、身体能力が高いのね…と納得。

 そして事件である。

 いつものように遊んでいる数人の子供たち。そしていつものようにこの資材置き場の方へ向かうところまでは目撃されているとのこと。
 夕方になっても戻らない子供たちに親が気付き、町中で捜索開始。
 町の衛兵さわ(犬人族)が匂いを辿り、この資材置き場まで特定したものの、忽然と匂いが途切れ今に至る。

「………で匂いが途切れた場所がここなワケか…」

 三人で周囲を伺うも特に変わった物は無い。
 しかし…

「………魔力の残滓が在るわね。これは…」

  リディアの言葉に俺もその箇所を『鑑定』するも結果は奮わない。がリディアは…

「やっぱり………と言うか、これしかないか………と言うべきか…。………転移トラップね」

 数少ない候補の中でも、やはりこちらか………という結果を述べる。

 その言葉に…

「子供たちは一体何処にっ?」

 悔しさを滲ませながら町長がリディアに問う…。

「転移先は分からない。そしてご丁寧に痕跡がゆっくりと静かに消える時限式の術式が組み込まれていた………と思われるわ。今残っている魔力も後一日二日で消えるんじゃないかしら…」

 リディアの言葉に肩を落とす町長さん。心なしか狐目が下がっているようにも見える。
 リュウジもリディアの結果を聞いて、言葉を失っているような状態なのだろう。
 ただし…

 その拳は強く握り締めているが…。

 
~~~~~~~~~~~~~~~~


 俺達は現場を離れ、町長宅へとお邪魔している。町長も少しは落ち着きを取り戻したように見える。

 応接間に通されテーブルを囲み、お茶をいただきながら会議である。

「リディア………今回使われたと思われるトラップって多いのか?」

「多くはないわね。特に転移トラップは使用する魔力量が多くなるから…」

 使用魔力量が多い………そうだろうなとは思っていた。続けて…

「消えたのは数人………子供とは言え、転移させるのはそれなりに魔力が必要なんじゃないのか?」

「えっ?う~~~ん………私は転移が使えないから詳しくは分からないけれど…。かなり必要になるんじゃないかな」

 ちなみに俺は魔力が多いのと高速自動回復のせい(おかげとも言う)で実は魔力消費量など、よく分かっていない。

「その必要な魔力って、どうやって用意するんだ?」

「………魔石だったり補充したり………かな?」

 その辺りのことは俺はあまり知らない。だからこそ持つことの出来る疑問…

………このトラップを設置した後にやっていると思うか?」

「………えっ?」
「………あっ?」

 そして疑問を投げ掛けることで思考が動きだす。

「そうね………多分このトラップは一回きりの使い捨てトラップ…」
「なら魔石の交換や魔力の補充なんてしない…」

 それならばどうするか?

「恐らく込められた魔力もしくは魔石は痕跡を消す時限式魔術の発動分だけ…」
「つまり…」

「転移用の魔力を別のところから引っ張っていた…」

「「………っ!?」」
「なるほど………それなら…」
「時限式魔術だけなら大きな魔石も膨大な魔力も必要ないわね…」

 俺の言葉にどんどんと誘導され、話が進む。
 いや、俺も答えは知らないんだけれどね。ヒントになるっぽいワードを出して、答えに近付いてくれるといいなぁ~ぐらいの感覚だったんだけれど…。

 結構良い線いってるんじゃないかな?



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懲りずに推理パート?
シリアスさん奮闘中。

次回もよろしくお願いします。
 
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