異世界召喚されました……断る!

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魔王国アディス~アライズ連合国

調査隊『ティターニア』黒意

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 アライズ連合国
 森林都市サルトゥス


 誘拐事件に関する情報収集の為、旧エルフ国警備隊を率いるエジル・フォン・エルフリアに話を聞こうと森林都市サルトゥスの役所に俺とリディアは足を運んでいた。
 いや、エジルとは今朝も会っていたんだけどね。

 何がとは言わないがNo.1のダークエルフさんのことで頭がいっぱいだったし、ソレをリディアに阻止されたうえ、今朝は賢者モード中だったし…。
 うん、俺は悪くない…多分。

 心の中で責任転嫁を済ませ、現在…。

 チョコチップクッキーを頬がパンパンになるまで含み、口の中の水分を持っていかれたのか…リディアが噎せて紅茶を飲み干す姿に俺とエジルは嘆息し、話し合いの空気が台無しになったところである。

 俺とエジルはお互い目を合わせて『コクリ』と頷き…

「エルフと獣人の誘拐について…」

 無かったことにした…。

 リディアはというと、紅茶を飲み干してしまったのでおかわりをもらうべく、扉から上半身を斜めに出して大声で人を呼んでいた。
 ………………台無しである。(二回目)

 もういいや………と俺とエジルは話を続けることにした…。

「何処でその話を…?」

 その質問にアディスからの経緯を話し、今はアライズ内での情報収集中だと付け加える。

「お恥ずかしい話ですがサルトゥスでも件数は少ないながらも起こっています。一番多いのは王国側国境沿いの辺り………報告を纏めた結果です」

 エジルは一度立ち上がり、自分の机の引き出しから書類を持ってきてドサリとテーブルに置く。

「………どうぞ。報告書と件数・地域を纏めたモノです」

「………いいのか?」

「はい」

 俺はテーブルの書類を手に取り、パラパラと目を通していく…。
 情報らしい情報………というワケではないが、先ほど聞いた通り王国側の方が被害が多い。
 そして被害者はやはりというべきか………子供と女性が多い…。
 
『ザワリ…』

 黒いナニカが沸き上がる感じがする…。ソレは今、意味の無いモノだ…。
 ………落ち着け。

「トーイチ?」
「トーイチさん?」

「………………っ!?ああ、すまんすまん」

 リディアとエジルの呼び掛けにハッとする。

「大丈夫?」

 心配そうに俺を覗きこむように見てくるリディア。
 ………ふむ、顔に出てたかな?
 いかんいかん。は後に取って置かないとな…。
 よしっ………もう大丈夫。

「あぁ、少しぼぉっとしてただげだ…悪いな」

 うん、何か空気がアレだし?サクッと話を変えよう。

「………でエジル、獣人側の情報はないか?」



~~~~~~~~~~~~~~~~


 死の山岳地帯
 中立都市ヘリオ 冒険者ギルド


 何とか有用な情報は聞けないかと、朝からギルドに併設されている酒場で管を巻いている冒険者達の近くに席を取り、エールを注文するリュウジ・ベルウッド。

 三杯目のエールに口をつけたところで『獣人』というワードが耳に入る。

 ………………が、ただのモフリストのようだ。
 
 四杯目を飲み終わったところで「これ以上は無駄か…」と諦めお会計。

 冒険者ギルドを出る頃にはすっかりお昼前。エールとおつまみで腹も膨れている。

「………寝るか…」

 無駄な時間を過ごした………と若干目を腐らせながら、リュウジ・ベルウッドは宿屋へと足を向けた。




「………シーハンの情報に期待するか…」

 宿屋に着いてから着替え、ベッドに入るリュウジはそう独り言ちて、その目を瞑った…。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


賢者モード中だったし=言い訳
モフリスト=トーイチなら「分かる!」と言うと思われる
………寝るか=アルコール入ってちょっと酔った

主人公ちょっと怒る。
サブタイ『黒意』は造語。
次回もよろしくお願いします。
 
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