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魔王国アディス~アライズ連合国
調査隊『ティターニア』和解
しおりを挟むアライズ連合国
港町プエルト
『ゴゴゴゴゴ…』
召喚主である俺よりも圧倒的な強者感を醸し出す海龍神さん。
その背中?にオノマトペが見えそうな程の威圧感と存在感である。
突然自身の背後に現れた海龍神にシードラゴンは…
『チラッ………………チラッ………………っ!?』
二度見して物凄くビックリしている。
………………魔物って二度見するんだなぁ…と思った俺は悪くないと思う。
目を剥くほどビックリしたのであろうシードラゴンさんは再び港側に頭を戻し…
「えっ?ちょっ………誰?誰が呼んだの?………えっ?………マジでっ?」
みたいな感じで涙目でアタフタしている。
その姿にエルフ漁師さん達も港の商人達もポカーンとしているのはしょうがないだろう。
俺は、うんうん…、黒竜さんもそんな感じだったなぁ…。と、ちょっとシードラゴンさんが可哀想だな…とも思い始めていた。
とりあえず、海龍神………~もう『リヴァイアさん(仮)』でいいか~リヴァイアさん(仮)が攻撃しようとしていたので…
「(あぁ~………、港とエルフさん達に被害が出ないようにしてね)」
とお願いしておく。
『ラジャ』と軽い感じでの返事に、軽いな?おいっ!とイメージとのギャップにツッコミを入れたのは秘密である。
そしてリヴァイアさん(仮)がその龍眼を光らせると、シードラゴンが円形の水の膜に覆われ水面から浮かび上がる。
ゆっくりと、しかし確実に宙を上がっていくシードラゴンに、俺もエルフ漁師さん達も商人達も視線はどんどんと上に…。
膜に覆われたシードラゴンはリヴァイアさん(仮)よりも高い位置で上昇が止まり浮遊している。
結構高い位置なので見上げ過ぎで首がアレだが…。
しかしあの位置で何かするということは息吹系統の技なんだろうな、と勝手に予想。
てっきり大津波的な技だと思ってたよ…。
えっ?そっちも出来る?そっちの方が得意だって?いやいや、そっちだと被害出そうだからさっきお願いしたのよ?
何だぁ~残念………とがっかり感を出さないように。
そして高い位置に水の膜に覆われて浮遊中のシードラゴンさんは…
息吹の準備をするリヴァイアさん(仮)が『ガパッ』と開けた顎を眼下に…
その竜眼からドバドバと水を流し…
マジ泣きしていた…。
~~~~~~~~~~~~~~~~
その後…
あまりにもシードラゴンさんが可哀想だったので、俺はリヴァイアさん(仮)にストップをかける。
助かった喜びからかシードラゴンさんの嬉し泣きに水の膜内は涙で満ちそうになっていた。
どんだけ泣いてんだ…。
そして水の膜から出たシードラゴンさんとリヴァイアさん(仮)が何やら話をしたあと、シードラゴンさんはゆっくりと港に近付き、何枚かの『水竜の鱗』と『水竜の尾』をそっと置いて海へと帰っていった。
尾を自分で切っていたけど大丈夫なの?二~三ヶ月で生える?あぁ、そう。
リヴァイアさん(仮)によると一年に一回、また港に来て『水竜の鱗』と『水竜の尾』を置いていくことを約束させたらしい。
そしてそのことをどうやったのか、エルフ漁師さん達や商人達にも伝え、港には歓喜の歓声が挙がる。
伝え終わったリヴァイアさん(仮)は水面に魔方陣を展開させて還っていった…。
こうして水竜襲来という騒ぎが一段落したのだが、港ではそのまま祭りが始まった。
商人達は『水竜の鱗』をどうするか酒を片手に話し合いが始まり、エルフ漁師さん達は『水竜の尾』を捌きバーベキューを始め、港は再び混沌と化していた。
そして俺は…
「美味っ!!」
『水竜の尾』料理に舌鼓を打ち、シレッと祭りに参加していたのは言うまでもない。
後に…
港町プエルトでは、この日を『水竜記念日』とし翌年から『水竜祭』を開催。旧獣人国や旧ドワーフ国、魔王国や帝国からも観光客が訪れるようになる一大イベントとなったそうだ…。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
被害が出ないように=言っても結界あるので多分大丈夫だった
大津波的な=広範囲に被害が出るから…
どうやって伝えた=念話的な
『水竜の尾』料理=多分刺身でも美味い
水竜祭=暴れない水竜が間近で見れると大人気。鱗もレア素材だし、肉も美味いし
シードラゴンさん討伐されず。この後、会える水竜として人気に。
トーイチはバレずに祭りに混ざってました。
次回もよろしくお願いします。
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