134 / 225
魔王国アディス~アライズ連合国
準備期間七日目③
しおりを挟む魔王城 執務室
「おいおいおいっ!立場が上の者に全く敬意を払わねえっ!本当にこんな奴と一緒なのかっ!?」
昼食後に呼び出され向かった執務室で調査隊に関することだろうとソファーに座り、魔王ルシファスが話を始めようとしたところで獅子の獣人が乱入してきた。
「おいっ!お前のこ」『結界』
煩そうだし俺のことだろうな…と察したので即座に獅子の獣人を結界で囲む。
もちろん音遮断の仕様である。
「………よし、話を進めよう」
「「「ええぇ………」」」
ルシファス、リディア、マサシ、三人ともドン引きである。
何故だ?結界の展開の速さと音遮断を選んで付与した高速思考に「お見事っ!」と称賛しても良いんだよ?
チラリと獣人さんに視線を移すと…
『………………!………………………………!』
何か叫んでいるようだ。
当然、何を言っているのか分からないワケだが…。
「………ぷっ」
おっと、思わず笑ってしまった。
そしてそれを見た獅子の獣人さんは多分青筋を立てて激昂したのであろう、こちらに詰め寄ろうとしている。
………が残念。
結界に当たり、ここで『何か』に遮られているのに気付き前後左右上下を確認。もちろん囲っているワケだが…。
『バンッバンッバンッ』と叩いているのであろうその姿はまるでプロのパントマイムのようである。
端から見ると物凄く上手いのだが、向こうは必死に叩いているのだろう。
もちろん俺は…
「………………」ニヤニヤ
ニヤニヤを隠しもしないのだが…
「「「………………」」」
ソレを見た三人は苦笑を浮かべて、さらに引いていた…。
しかし…
『………………!………………!』
獣人さんはさらに激昂したのか、今度は殴る蹴るに切り替えて結界を破壊しようと攻撃し始めた。
………が、『空間魔法EX』の俺の結界は破れない。
「………アレだな。異世界のパントマイムはレベルが高いな…」
「「「いやいやいやいや…」」」
総ツッコミである。
ルシファスとリディアもツッコんでくるということは異世界にもパントマイムが存在するということか…。一つ勉強になったな。
「ソコじゃないです」
「ソコじゃない」
「ソコじゃないわよ」
もう一度総ツッコミである。
「………で何?俺にコイツと一緒に調査をしろと?」
もちろん結界を展開したまま話を進める。
「………そのつもりだったんだが…」
「………ちょっと無理そうね…」
「………あっ」
ルシファスとリディアがそう言い、マサシが何か気付き声をあげる。
マサシの視線は獣人さん。俺もそちらに視線を移すと…
拳に魔力と気の両方を集めて光を放っていた。
どうやら必殺技的なモノで結界を破壊する気なのだろうが…
『………………!!』
『しーーーん…』
『………………!?』
絶対の自信を持って放ったその拳からの攻撃にも俺の結界はびくともしなかった。
「なん………だとっ!?」みたいな顔で獣人さんは驚いているが…
「トーイチさんの結界………凄いな」
「リディア、今のって…」
「多分、獣王譲りの必殺技じゃないかしら」
獣王譲り………ってことは獣王ではないってことか。
獣王って確か…アライズのお偉いさんだよな?じゃあコイツはその血縁か何かか?
「獣王の息子よ」
俺の顔を見て察したのかリディアが答え、ルシファスとマサシが続く。
「獣王二世『レオンハルト・ラインハルト・クライムハルト』………旧獣人国のNo.2になるんだが…」
「ちょっとトーイチさんとは………合わなそう………ですかね?」
「長いよ名前が………『レオンハルト・ラインハルト・クライムハルト』だから………もう『ハルト』でいいだろう…」
この会話の間も『ハルト』は結界に攻撃を続けていたのだが、全て通じなかったのだろう………膝を抱えて座り込んでしまった。
顔も膝に埋めてしまったので表情は窺えない。
「「………………」」
「ちょっと………泣き出しちゃったんじゃない?トーイチ、出してあげなさいよ」
ルシファスとマサシは何かもう居たたまれない感じで、リディアはストレートにツッコんでくる。
「えぇ………もう少し大丈」「搾り取るわよ」「イエス マムッ!」
一瞬リディアの眼が妖しく光ったような気がした。俺は思わず敬礼してしまった。
やはりリディアはアレだ………ハイエルフではなくハイエ□フなのではないだろうか…。
おい、舌舐めずりすんな。
しょうがないので結界を解除。
「シクシクシクシク…」
マジで泣いちゃってる…。
獣王二世………メンタル弱いな。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
結界=万能
獣王譲りの必殺技=強いはず
ハルト=略された
ハイエ□フ=エ□フの上位種?
新キャラを速攻で弄るトーイチ。
加護でパワーアップしてもリディアには弱いらしいトーイチ。
そして③で終わらなかった…orz
次回もよろしくお願いします。
0
お気に入りに追加
6,876
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!
八神 凪
ファンタジー
勇者パーティに属するルーナ(17)は悩んでいた。
補助魔法が使える前衛としてスカウトされたものの、勇者はドスケベ、取り巻く女の子達は勇者大好きという辟易するパーティだった。
しかも勇者はルーナにモーションをかけるため、パーティ内の女の子からは嫉妬の雨・・・。
そんな中「貴女は役に立たないから出て行け」と一方的に女の子達から追放を言い渡されたルーナはいい笑顔で答えるのだった。
「ホントに!? 今までお世話しました! それじゃあ!」
ルーナの旅は始まったばかり!
第11回ファンタジー大賞エントリーしてました!
公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!
秋田ノ介
ファンタジー
主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。
『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。
ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!!
小説家になろうにも掲載しています。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。