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魔王国アディス~アライズ連合国
準備期間七日目③
しおりを挟む魔王城 執務室
「おいおいおいっ!立場が上の者に全く敬意を払わねえっ!本当にこんな奴と一緒なのかっ!?」
昼食後に呼び出され向かった執務室で調査隊に関することだろうとソファーに座り、魔王ルシファスが話を始めようとしたところで獅子の獣人が乱入してきた。
「おいっ!お前のこ」『結界』
煩そうだし俺のことだろうな…と察したので即座に獅子の獣人を結界で囲む。
もちろん音遮断の仕様である。
「………よし、話を進めよう」
「「「ええぇ………」」」
ルシファス、リディア、マサシ、三人ともドン引きである。
何故だ?結界の展開の速さと音遮断を選んで付与した高速思考に「お見事っ!」と称賛しても良いんだよ?
チラリと獣人さんに視線を移すと…
『………………!………………………………!』
何か叫んでいるようだ。
当然、何を言っているのか分からないワケだが…。
「………ぷっ」
おっと、思わず笑ってしまった。
そしてそれを見た獅子の獣人さんは多分青筋を立てて激昂したのであろう、こちらに詰め寄ろうとしている。
………が残念。
結界に当たり、ここで『何か』に遮られているのに気付き前後左右上下を確認。もちろん囲っているワケだが…。
『バンッバンッバンッ』と叩いているのであろうその姿はまるでプロのパントマイムのようである。
端から見ると物凄く上手いのだが、向こうは必死に叩いているのだろう。
もちろん俺は…
「………………」ニヤニヤ
ニヤニヤを隠しもしないのだが…
「「「………………」」」
ソレを見た三人は苦笑を浮かべて、さらに引いていた…。
しかし…
『………………!………………!』
獣人さんはさらに激昂したのか、今度は殴る蹴るに切り替えて結界を破壊しようと攻撃し始めた。
………が、『空間魔法EX』の俺の結界は破れない。
「………アレだな。異世界のパントマイムはレベルが高いな…」
「「「いやいやいやいや…」」」
総ツッコミである。
ルシファスとリディアもツッコんでくるということは異世界にもパントマイムが存在するということか…。一つ勉強になったな。
「ソコじゃないです」
「ソコじゃない」
「ソコじゃないわよ」
もう一度総ツッコミである。
「………で何?俺にコイツと一緒に調査をしろと?」
もちろん結界を展開したまま話を進める。
「………そのつもりだったんだが…」
「………ちょっと無理そうね…」
「………あっ」
ルシファスとリディアがそう言い、マサシが何か気付き声をあげる。
マサシの視線は獣人さん。俺もそちらに視線を移すと…
拳に魔力と気の両方を集めて光を放っていた。
どうやら必殺技的なモノで結界を破壊する気なのだろうが…
『………………!!』
『しーーーん…』
『………………!?』
絶対の自信を持って放ったその拳からの攻撃にも俺の結界はびくともしなかった。
「なん………だとっ!?」みたいな顔で獣人さんは驚いているが…
「トーイチさんの結界………凄いな」
「リディア、今のって…」
「多分、獣王譲りの必殺技じゃないかしら」
獣王譲り………ってことは獣王ではないってことか。
獣王って確か…アライズのお偉いさんだよな?じゃあコイツはその血縁か何かか?
「獣王の息子よ」
俺の顔を見て察したのかリディアが答え、ルシファスとマサシが続く。
「獣王二世『レオンハルト・ラインハルト・クライムハルト』………旧獣人国のNo.2になるんだが…」
「ちょっとトーイチさんとは………合わなそう………ですかね?」
「長いよ名前が………『レオンハルト・ラインハルト・クライムハルト』だから………もう『ハルト』でいいだろう…」
この会話の間も『ハルト』は結界に攻撃を続けていたのだが、全て通じなかったのだろう………膝を抱えて座り込んでしまった。
顔も膝に埋めてしまったので表情は窺えない。
「「………………」」
「ちょっと………泣き出しちゃったんじゃない?トーイチ、出してあげなさいよ」
ルシファスとマサシは何かもう居たたまれない感じで、リディアはストレートにツッコんでくる。
「えぇ………もう少し大丈」「搾り取るわよ」「イエス マムッ!」
一瞬リディアの眼が妖しく光ったような気がした。俺は思わず敬礼してしまった。
やはりリディアはアレだ………ハイエルフではなくハイエ□フなのではないだろうか…。
おい、舌舐めずりすんな。
しょうがないので結界を解除。
「シクシクシクシク…」
マジで泣いちゃってる…。
獣王二世………メンタル弱いな。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
結界=万能
獣王譲りの必殺技=強いはず
ハルト=略された
ハイエ□フ=エ□フの上位種?
新キャラを速攻で弄るトーイチ。
加護でパワーアップしてもリディアには弱いらしいトーイチ。
そして③で終わらなかった…orz
次回もよろしくお願いします。
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